第21話 【3月決算】への変更と、精鋭部隊『RED』の結成
エゾ商会の買収劇から数週間。
日本創紀学園の運営は、アカザワの加入によって劇的な効率化を遂げていた。
しかし、完璧主義の俺とアカザワは、一つのシステム的な「ズレ」に気付いていた。
「レクト理事長。学園の魔力備蓄と、領地の資金運用サイクルに無駄が生じています」
理事長室で、アカザワがスプレッドシートのグラフを指差した。
「王国標準の暦に合わせているため、魔力の決算期と実際の消費ピークが合っていません」
そこで俺たちは、領地専属の【魔税理士】を招いて協議を行った。
その結果、3月18日付けで、俺は重大な経営判断を下すことになった。
「学園および領地全体の【決算期】を、すべて3月に変更する」
俺がシステム画面で全体設定を【3月決算】に書き換えた瞬間。
ピィンッ。
学園全体を覆うマナの循環が最適化され、無駄な魔力コスト(税金のようなもの)が極限までカットされた。
「素晴らしい……! これで浮いたリソースを、さらなる生徒の生活支援(福祉)に回せますね」
アカザワが満足げに頷く。
「ああ。そして、その支援を拡大していくために、新しい実動部隊を編成した」
俺は理事長室のドアを開け、外で待機していた5人の生徒を招き入れた。
「彼らが、今日から学園の特務支援チームとなる、コイケ、ミクニ、タダ、アンドウ、そしてタダノだ」
5人は一糸乱れぬ動きで、俺の前に整列した。
彼らは皆、かつては無能と見下されていた平民や落ちこぼれだったが、俺の【バグ】アプリと過酷な訓練を経て、一流の【伴走者】へと成長した精鋭たちだ。
「コイケ、ミクニ。お前たちは前線での状況分析とルート確保を」
「ハッ!」
「タダ、アンドウ。お前たちは対象者のメンタルケアと、物理的な障壁の排除を」
「承知いたしました!」
「タダノ。お前はチームの遊撃として、あらゆるイレギュラーに対応しろ」
「お任せください、理事長!」
彼らの目には、俺に対する狂信的とも言える忠誠の光が宿っている。
「お前たち5人のチーム名は、今日から【RED】とする」
俺が命名すると、5人の顔がパッと輝いた。
「赤い炎のように熱く、そして迅速に対象者を救済する。それがお前たちの任務だ」
「「「おおおおおっ!! 我ら【RED】、レクト理事長のために身命を賭して働きます!!」」」
そんな彼らの最初の任務は、すぐにやってきた。
「理事長! 北方の寒冷都市【サッポロ】で、またしても古い貴族の残党が、学園の支援物資を積んだ馬車を足止めしているとのことです!」
ミレナが慌てて報告に駆け込んできた。
「サッポロか。あそこは雪深くて独自のローカルルール(サービスコード)が複雑な土地だが……まあいい」
俺は顎でしゃくり、結成されたばかりの【RED】に視線を向けた。
「初陣だ。行ってこい」
「「「了解!!」」」
数時間後。
北の都サッポロの関所で、通行税を不当に搾取しようとしていた貴族の私兵たちは、完全にパニックに陥っていた。
「な、なんだこいつら!? 魔法の詠唱もなしに、我々の防壁を次々と……!」
「タダノ! 右翼の魔力反応を無効化しろ! アンドウ、対象の武装を強制パージ!」
コイケの的確な指示のもと、【RED】の5人はタブレット端末を駆使し、まるで流れるような作業で私兵たちを無力化していく。
彼らの戦い方は、単なる暴力ではない。
相手の力を削ぎ、戦意を失わせ、最後には「どうしてこんな無駄なことをしていたんだろう」と精神的に改心させてしまう、究極の【伴走型コンサルティング戦闘】だった。
「ひぃぃぃっ! わ、わかった! 通行税はもう取らない! だから我々の領地の経営も、その……コンサルしてくれないか……!?」
最後には、足止めをしていたはずの貴族自身が、彼らのあまりの有能さに泣いて教えを乞う始末だった。
報告を受けた俺は、理事長室のデスクで温かいコーヒーを飲みながら、満足げにスプレッドシートの【サッポロ地区・制圧完了】の文字を見つめた。
「よしよし。これで北方の福祉と物流も完璧だな」
俺の異世界での影響力は、優秀な【伴走者】たちの手によって、もはや国境すら越えて拡大し続けていた。
【キャラクター・プロフィール】
【レクト】
役割:主人公(日本創紀学園・理事長)
状況:魔税理士との協議の末、3月18日付けで学園の決算期を【3月】に変更するチート経営手腕を発揮。さらなる福祉支援のため、特務部隊を設立した。
【魔税理士】(New)
役割:領地の財務顧問
状況:レクトの常識外れの魔力運用に驚愕しつつも、的確な税務アドバイスを行い、決算期の変更を進言した。
【特務支援チーム『RED』】(New)
メンバー:コイケ、ミクニ、タダ、アンドウ、タダノ
状況:レクトが直々に選抜した5人の精鋭部隊。タブレットを駆使した【伴走型】の戦闘とコンサルティングを得意とし、初陣である寒冷都市サッポロでの任務を完璧に完遂。敵すらも味方に引き入れる圧倒的な有能さを見せつけた。




