第2話 【バグ】スキルの検証と、瀕死の少女
デス・ドラゴンが放った業火を、ただのシャボン玉に変えてしまった俺。
ポカンとする竜を尻目に、俺は頭の中に浮かぶシステム画面をじっくりと観察した。
【Target: Death_Dragon / Status: Confused】
「なるほど、相手のステータスも丸見えってわけか」
ならば、と俺は再び文字列をいじってみる。
【Status: Confused】を【Status: Sleep】へ書き換え。
ドスゥゥゥンッ!
地響きと共に、見上げるほど巨大な黒竜がその場に倒れ込んだ。
スヤスヤと穏やかな寝息を立てている。
「……マジかよ。Sランクの魔物を、指先一つで無力化できちゃったぞ」
【翻訳家】という職業は、単なる言語の翻訳じゃない。
この世界のあらゆる現象を構成するシステム言語を読み解き、改変できる。
いわば、世界の管理者権限を扱うチートスキルだったのだ。
「これなら、この死の魔境でも余裕で生きていけるな」
俺が安堵の息を吐いたその時。
ガサガサッ、と近くの茂みが揺れた。
警戒して視線を向けると、そこから血だらけの少女が転がり出てきた。
透き通るような銀髪に、頭には獣の耳が生えている。
「……た、すけて……」
少女は俺の足元に崩れ落ち、そのまま意識を手放した。
【Target: Ciel / Race: Divine_Wolf / Status: Cursed_to_Death】
「神狼族……しかも、死の呪いを受けてる?」
普通なら、強力な高位聖職者でもなければ解呪は不可能だ。
だが、今の俺にはこの世界のシステム画面が見えている。
「呪いだろうが何だろうが、バグ修正してやるよ」
俺は少女を救うため、システムコードの書き換えを開始した。
【キャラクター・プロフィール】
【レクト】
役割:主人公
職業:翻訳家(真の姿:システム・アーキテクト)
年齢:18歳
状況:Sランク魔竜をデバッグで眠らせ、自身の規格外な力に確信を持った。
【シエル】
役割:メインヒロイン
種族:神狼族(精霊の長)
年齢:外見16歳前後
状況:何者かに【死の呪い】をかけられ、魔境を逃亡していたところをレクトの足元に倒れ込む。




