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第18話 格式高き【日本創紀学園】と、チートすぎる【移動支援】システム

魔法監査院のトップである貴族を、平民のガンツさんがお掃除アプリで撃退した翌日。

俺は学園の全生徒と教職員(精霊たち)をグラウンドに集め、朝礼を開いていた。

「みんな、昨日はよくやってくれた。貴族の横暴を退けたことで、この学園の独立性はさらに強固になった」

生徒たちから、誇らしげな歓声が上がる。

「そこで、今後の対外的な活動も見据えて、この学園の正式名称をアップデートすることにした」

俺は空中にシステム画面を展開し、光の文字で新しい校名を浮かび上がらせた。

「今日からこの場所は、【日本創紀学園】と名乗ることにする」

「にっぽん……? レクト理事長、それはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか?」

第一王女のアリシアが、不思議そうに首を傾げる。

「俺の故郷の言葉で『日の本(太陽の昇る場所)』を意味する。ただの『創紀学園』よりも、ずっと格式高く、絶対的な響きがあるだろ?」

「太陽の昇る場所……! なんという神々しく、畏れ多い響き……!」

アリシアが両手を組んで祈るようなポーズをとり、ガンツたち生徒も「おおおっ……!」と感嘆の声を漏らす。

王国の権威にも、帝国の武力にも屈しない、独立した最高峰の教育機関。

それを知らしめるためには、これくらいハッタリの効いたプレステージ(威信)が必要だ。

「さて、名前もかっこよくなったところで、今日は初めての【校外学習】に行くぞ」

「校外学習、ですか? 座学ではなく、外で実践的な技術を学ぶのですね!」

アリシアが目を輝かせる。

「ああ。タブレットで組んだ魔法アプリを、実際に魔境のフィールドで試してみようと思う。だが、徒歩で移動するのは面倒だし危険だ」

そこで俺は、事前に【バグ】で組み上げておいた新しいシステムを起動した。

【System_Call:Mobile_Support_Vehicle(移動支援車両)】

ゴゴゴゴゴッ!

空間が歪み、グラウンドの中央に巨大な鉄の塊が出現した。

それは地球の大型観光バスをベースにしつつ、流線型の未来的なデザインと、装甲車のような堅牢さを兼ね備えた【空飛ぶチートバス】だった。

「ひぃっ!? 鉄の魔獣!?」

「安心しろ、これは俺が開発した【移動支援】システムだ。これに乗れば、どれだけ危険な場所でも、安全かつ超快適に移動できる」

俺は自動ドアを開き、生徒たちを車内へと案内した。

車内はふかふかのリクライニングシートに、完璧な温度管理(ガンツさんのアプリ内蔵)、さらにはドリンクバーまで完備されている。

「す、座席が雲のように柔らかいです……! それにこの冷たい飲み物、最高ですぞ!」

ガルド騎士団長が、さっそくコーラを片手にくつろいでいる。

「よし、全員乗ったな。それじゃあ、出発するぞ」

俺が運転席のパネルを操作すると、バスは音もなくふわりと浮き上がり、目にも留まらぬ速度で空へと飛び立った。

向かった先は、魔境のさらに奥深く。

Sランクの凶悪な魔物が徘徊し、王国軍ですら立ち入れない未踏の資源地帯【クリスタル・キャニオン】だ。

【一方その頃】

クリスタル・キャニオンの谷底では、王国のエリート冒険者パーティーが絶望的な死闘を繰り広げていた。

「くそっ! このロックドラゴンの鱗、硬すぎる!」

彼らの目的は、谷底にのみ自生する超希少鉱石【星降りの水晶】を一つでも持ち帰ること。

しかし、水晶を守るAランク魔物の前に、手も足も出ずに全滅の危機に瀕していた。

「リーダー、もう魔力が……! このままでは全滅です!」

「諦めるな! ここで水晶を持ち帰らなければ、王国の技術開発は止まってしまうんだ!」

リーダーが悲痛な叫びを上げた、その時だった。

上空から、巨大な影が彼らを覆い隠した。

「な、なんだあれは……!? 空飛ぶ鉄の箱……!?」

冒険者たちが唖然と見上げる中、ホバリングするバスの窓から、レクトと生徒たちが顔を出した。

「お、ロックドラゴンがいるな。ガンツさん、ちょうどいいから【あのアプリ】のテストを頼む」

「はいっ、理事長! いきます!」

ガンツは手元のタブレットを操作し、新たなアプリを起動した。

【Application_Start:Targeted_Resource_Extractor(指定資源自動回収ツール)】

ピィンッ。

バスの底から、淡い光のトラクタービームが谷底に向かって照射された。

「グォォォォッ!?」

ロックドラゴンが威嚇の咆哮を上げるが、光のビームはドラゴンを完全に【無視】して、地面に生えている【星降りの水晶】だけをピンポイントで包み込んだ。

スポポポポポポーンッ!!!

「えっ……?」

下で戦っていた冒険者たちの目の前で。

彼らが命がけで挑んでも一つも採れなかった超希少鉱石が、大根でも抜くような軽い音と共に、次々と空飛ぶバスの中へと吸い込まれていった。

「な、なにが起きて……」

さらに、怒り狂ったロックドラゴンがバスに向かって炎のブレスを吐き出したが。

バチィッ!

バスの周囲に展開された【移動支援用・絶対防壁】に弾かれ、ドラゴン自身の顔面に跳ね返って自爆した。

「グギャァァァ……」

ドラゴンは白目を剥いて気絶し、谷底には静寂が訪れた。

「よし、水晶の回収完了。目標数達成だな」

上空から、レクトの軽い声が聞こえる。

「さて、せっかく景色のいいところに来たんだし、このまま空中ピクニックといくか」

「わーい! レクト様、私がお弁当を取り分けますね!」

「ガンツ殿のアプリ、見事な資源回収でしたぞ! ささ、コーラで乾杯しましょう!」

空飛ぶバスの中からは、死の魔境とは思えないほど楽しげな談笑の声が響いてくる。

そしてバスは、呆然と立ち尽くすエリート冒険者たちを置き去りにして、優雅に空の彼方へと飛び去っていった。

「俺たちの……命がけの死闘は、一体なんだったんだ……」

冒険者のリーダーは、完全に心が折れた音を聞きながら、膝から崩れ落ちるのだった。

【キャラクター・プロフィール】

【レクト】

役割:主人公(日本創紀学園・理事長)

状況:学園の名称をより格式高い【日本創紀学園】にアップデート。安全で快適な校外学習を実現するため、【移動支援車両チートバス】を開発し、生徒たちと空中ピクニックを満喫した。

【ガンツ】

役割:日本創紀学園・生徒

状況:農業や採掘を効率化する【資源自動回収アプリ】を開発。命がけの素材集めを、文字通り「ワンクリックのお使い」レベルにまで引き下げてしまった。

【王国のエリート冒険者たち】

役割:かませ犬

状況:Aランク魔物に殺されかけていたところを、上空からやってきた日本創紀学園のバスにすべてを持っていかれる。あまりの次元の違いに、冒険者としてのプライドを完全に粉砕された。

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