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里美八禿伝(さとみはちとくでん)  作者: レモンティー


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9/12

第九話:第五禿、現る

朝。

コンビニ前。

「……で、これどうすんの」

タケルが手に持つ。

高級シャンプー(試供品)

街頭で配られていた試供品。

シン。

「使う」

マワル。

「流れが変わるかもしれない」

タケル。

「その理論もう信用してねぇからな」

結局――

使った。

三人で。

コンビニのトイレで。

数分後。

外。

「……どうだ?」

タケルが聞く。

シン。

「……軽い」

マワル。

「……指通りがいい」

タケル。

「感想が普通!!」

その時。

ピカッ。

紙が光る。

『対抗因子:微弱発現』

「なんか強くなってるっぽいぞ!!」

シン、目を細める。

「……気配が増えた」

タケル。

「またかよ」

マワル。

「来てるな」

「お前の“来てる”は信用ならねぇ!!」

場所――

商店街。

シャッターが半分閉まった店。

看板。

「BARBER イヌオカ」

「理容室か」

中。

カランコロン。

誰もいない。

と思った次の瞬間――

**チョキン。**

「いでぇ!!?」

タケルの声。

振り向く。

そこにいた。

白衣。

無表情。

ハサミを持った男。

そして――

完璧なスキンヘッド。

「うわ」

タケル。

「完成されてる」

男が口を開く。

「……遅い」

「何が!?」

男は床を見る。

そこには――

大量の髪。

シン。

「……フサフサ四天王のじゃないよな」

男、タケルを見る。

じっと。

「お前」

「な、なんだよ」

スッ。

ハサミを向ける。

「整っていない」

「急に美容指導入った!!」

男。

一歩近づく。

「俺は」

剃刀カミソリの禿」

犬岡ソル(いぬおか ソル)」**

「また寄せてきた!!」

ソルは言う。

「無駄な毛は、切る」

「思想が怖ぇ!!」

その瞬間。

シュッ!!

タケルの前髪が――

消える。

「うわああああああ!!」

「見えない斬撃!?」

シン。

「……速い」

マワル。

「流れ、鋭いな」

ソル、無表情。

「整える」

連続。

シュシュシュッ!!

空気が裂ける。

タケル。

「ちょ、ちょっと待て!!」

「敵じゃないのか!?」

ピタッ。

止まる。

ソル。

「違う」

「じゃあ何で斬ってくんだよ!!」

「気になった」

「美容師の衝動で理髪するな!!」

シンが前に出る。

紙を見せる。

ソルの目が変わる。

「……それ」

ポケット。

取り出す。

同じ紙。

同じ紋。

「来ていた」

「またかよ!!」

ソル、短く言う。

「理解した」

「何を!?」

「敵は、フサフサ」

「ざっくりしてるな!!」

ソルはハサミを閉じる。

「俺も行く」

「理由は!?」

「整っていないからだ」

「世界観が美容基準!!」

マワルが笑う。

「いいな」

「何がだよ」

「こいつ、流れを“断つ”タイプだ」

ソル、少しだけ目を細める。

「……分かるのか」

「なんとなくな」

タケル。

「なんとなくで判断すんな!!」

その時。

ピカッ。

四人+ソル。

紙が光る。

『五禿、認証』

床の髪が――

ふわっと浮く。

「うおっ!?」

ソルが言う。

「揃ってきたな」

タケル、頭を押さえる。

「俺の前髪も揃えられたけどな!!」

外。

風。

遠くのビル。

フサフサ四天王。

ミスト。

「……一人、増えましたね」

長髪。

「想定内だ」

短髪。

「次のターゲット、確定」

オールバック。

「切り崩す」

消える。

戻る。

商店街。

ソル。

「任せろ」

マワル。

「流れ、来るぞ」

タケル。

「誰も信用できねぇ!!」

カクレ。

「……これで五人ですか」

少し笑う。

「やっと“形”になってきましたね」

残り、三禿。

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