第九話:第五禿、現る
朝。
コンビニ前。
「……で、これどうすんの」
タケルが手に持つ。
高級シャンプー(試供品)
街頭で配られていた試供品。
シン。
「使う」
マワル。
「流れが変わるかもしれない」
タケル。
「その理論もう信用してねぇからな」
結局――
使った。
三人で。
コンビニのトイレで。
数分後。
外。
「……どうだ?」
タケルが聞く。
シン。
「……軽い」
マワル。
「……指通りがいい」
タケル。
「感想が普通!!」
その時。
ピカッ。
紙が光る。
『対抗因子:微弱発現』
「なんか強くなってるっぽいぞ!!」
シン、目を細める。
「……気配が増えた」
タケル。
「またかよ」
マワル。
「来てるな」
「お前の“来てる”は信用ならねぇ!!」
場所――
商店街。
シャッターが半分閉まった店。
看板。
「BARBER イヌオカ」
「理容室か」
中。
カランコロン。
誰もいない。
と思った次の瞬間――
**チョキン。**
「いでぇ!!?」
タケルの声。
振り向く。
そこにいた。
白衣。
無表情。
ハサミを持った男。
そして――
完璧なスキンヘッド。
「うわ」
タケル。
「完成されてる」
男が口を開く。
「……遅い」
「何が!?」
男は床を見る。
そこには――
大量の髪。
シン。
「……フサフサ四天王のじゃないよな」
男、タケルを見る。
じっと。
「お前」
「な、なんだよ」
スッ。
ハサミを向ける。
「整っていない」
「急に美容指導入った!!」
男。
一歩近づく。
「俺は」
「剃刀の禿」
犬岡ソル(いぬおか ソル)」**
「また寄せてきた!!」
ソルは言う。
「無駄な毛は、切る」
「思想が怖ぇ!!」
その瞬間。
シュッ!!
タケルの前髪が――
消える。
「うわああああああ!!」
「見えない斬撃!?」
シン。
「……速い」
マワル。
「流れ、鋭いな」
ソル、無表情。
「整える」
連続。
シュシュシュッ!!
空気が裂ける。
タケル。
「ちょ、ちょっと待て!!」
「敵じゃないのか!?」
ピタッ。
止まる。
ソル。
「違う」
「じゃあ何で斬ってくんだよ!!」
「気になった」
「美容師の衝動で理髪するな!!」
シンが前に出る。
紙を見せる。
ソルの目が変わる。
「……それ」
ポケット。
取り出す。
同じ紙。
同じ紋。
「来ていた」
「またかよ!!」
ソル、短く言う。
「理解した」
「何を!?」
「敵は、フサフサ」
「ざっくりしてるな!!」
ソルはハサミを閉じる。
「俺も行く」
「理由は!?」
「整っていないからだ」
「世界観が美容基準!!」
マワルが笑う。
「いいな」
「何がだよ」
「こいつ、流れを“断つ”タイプだ」
ソル、少しだけ目を細める。
「……分かるのか」
「なんとなくな」
タケル。
「なんとなくで判断すんな!!」
その時。
ピカッ。
四人+ソル。
紙が光る。
『五禿、認証』
床の髪が――
ふわっと浮く。
「うおっ!?」
ソルが言う。
「揃ってきたな」
タケル、頭を押さえる。
「俺の前髪も揃えられたけどな!!」
外。
風。
遠くのビル。
フサフサ四天王。
ミスト。
「……一人、増えましたね」
長髪。
「想定内だ」
短髪。
「次のターゲット、確定」
オールバック。
「切り崩す」
消える。
戻る。
商店街。
ソル。
「任せろ」
マワル。
「流れ、来るぞ」
タケル。
「誰も信用できねぇ!!」
カクレ。
「……これで五人ですか」
少し笑う。
「やっと“形”になってきましたね」
残り、三禿。




