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84.33  作者: ゴリラ
2026 三月
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89/93

四月十七日 金曜日

花のころ 実家で会うは 他人顔

はなのころ じっかであうは たにんがお


実家に用事があり、車で出かけました。

坂を登りきると、右手に桜の並木がありました。

スピードを緩め、一時停止します。

お昼にはまだ早い時間です。

日光は、笑むように、優しく注いでいました。

「もう、葉桜だなぁ」

私はハンドルに両手をかけて、体を前のめりにして、フロントガラスの上の方を覗きました。


春の初め、蕾を見上げ、花を心待ちにしていました。

そして、桜が咲いたと思ったのは、ついこの間です。

今は、もう、散っています。

移ろいが、はっきりとわかりました。


壁掛けの時計や腕時計では、気づきません。

私たちは、繰り返しの中で暮らしています。

それは、モルモットの回し車に似ています。

砂時計はどうだろう。

それは、少し残酷です。

「ほら、見なさい。もう、刻一刻と過ぎるのですよ」

チリチリと落ちる砂に、手がじっとりしてきます。

でも、桜の移り変わりは、時を優雅に教えてくれます。

 

実家の玄関につき、チャイムを鳴らしました。

「はい、どうぞ」

鍵を開けた母の声がしました。

私が一歩入ると、「あらー、どうぞ、入ってくださぁい」と言いました。

老いた母は、私を嫌っています。

面白いのは、人は老いると嫌悪を隠せなくなるのです。


虐待をする人は、心に鬼を飼っています。


母は、好きなドラマの話を私にしました。

それが風に吹かれたように途切れると、「最近、病気はどう?」と私を気遣ってくれました。

「薬を飲めるようになって、楽になったよ」

私はそう言い、母の顔を見つめます。

母は、大きく二、三度頷きました。

「うーん、そう、良かったなぁ」

おばさんたちの茶話会で、よくあるシーンです。

母はすぐに笑わない目になり、顔をテレビへ向けました。

互いを労わる会話をして、私は用事を済ませ、帰宅しました。


お芝居の一幕に拍手。

もう、戻らないように、強く生きていかないと。


英語

Time of the flowers

Back home meeting again

The eyes of guests


中国語

樱花开

相逢在故乡老家

尽是陌生脸













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