第二話 不良少年に絡む奴
「……チッ」
.俺は舌打ちをした。
面倒なやつが現れたからだ。
(面倒だ……)
よりにもよって人間が化物に襲われている。
その人間は小学生。
ここらにいるということは、同じ学校なのだろう。
「おい、お前の相手は俺だ」
俺はそいつの前に出た。
その生徒は、驚きを隠せず、固まっている。
今回の怪異は蛇ではない。ヒョウだ。
ヒョウだからなのか、ネコ科動物だからなのか、分からないが……
蛇より素早く、怪我をすれば大怪我を負いそうだ。
ヒョウは俺を一睨みすると、襲いかかる。
「うわっ」
ヤツは鋭い爪を一振りし、俺の頬に一筋の赤いすじを作る。
間一髪で逃げ切れていなければ死んでいただろう。
「お前………やるじゃねぇか」
俺は笑みを浮かべた。
「………上等だ。やってやるさっ」
刀を構え直し、ヤツを見据える。
愛刀と言っても過言ではない程、馴染んでいるこの刃は御神刀だ。
(御神刀の力×俺の刀裁き×俺の霊力でとんでもないダメージを与えられるはずだ)
俺は刀を確認する。
(だが、ここは戦場だからな)
そう思った瞬間、もう一撃、繰り出される。
先程の傷の下にもう一本、すじが追加され、真っ赤な雫が頬を伝う。
(これぐらいなら……)
俺は指先に霊力を込め、自分に回復術をかけた。
「――『ヒーリング』」
淡い光が頬を包み込み、刻まれたばかりの傷がみるみるうちに消えてゆく。
回復した俺は結界を作った。
「神樹墨の名において、命じる――」
綴った文字が、青白い結界を作る。
身動きができなくなった。やつは暴れまわった。
俺は素早く御神刀を突き刺した。
蛇の怪異と同じようにヒョウも小さくなっていく―――。
やがて猫ぐらいになり、大人しくなった。
「帰れ」
「?」
只の可愛い猫と化したヒョウはこてっと首を傾げた。
そして、俺の足元で遊んでいる。
存在を忘れていたが、人間がいたな………?
口止めをしておかねばならない
「お前、誰かに言ったが最後、ただじゃ置かねぇからな?覚悟しとけよ」
「っひゃい」
そいつはビクッと肩を震わせて逃げていった。
(そして、問題は……こいつだな)
「いい加減、帰ってくれよな」
「にゃ〜?」
言葉を理解しているのかわからないが、話しかけると返事をするようだ。
だが、帰る気はサラサラないらしい。
困るのは、それだけではない。
何故か、俺が帰ろうとするとあとについてくるのだ。
引っ剥がしてもすぐ付いてくるので、諦めてしまった墨であった。




