第一話 不良少年の秘密
少し、ファンタジー系(?)になったかも
俺は神樹墨。今年から小4。
クラスの奴らは、俺のことを『不良』と呼んで怖がっている。
いつも顔や腕に新しい傷が増えているし、誰とも群れずに冷たい目で睨みつけるかららしい。
勝手に言ってろ、と思う。
誤解を解く気なんてサラサラない。
今日も放課後、クラスの連中が「ゲームしようぜ」と騒ぐ声を背に、俺は一人で教室を出た。
背中にあるのは、ランドセルだけじゃない。ギターケースに偽装させた、浅間大社の由緒正しき御神刀だ。
俺がいつも傷だらけなのは、人と喧嘩をしているからじゃない。
この街に現れる、一般人には見えない『化物』―――人ならぬ者を刀でブッ叩き斬っているからだ。
神社の裏山、夕闇が迫る境界線で、俺は静かに刀の柄に手をかけた。10歳の身体に宿る霊力が、指先から文字を綴るように、空中に鋭い結界を描き出していく――。
◇◆◇
「――次、神樹くん、自己紹介どうぞ」担任の声に促されて、俺はゆっくりと教壇へ歩き進めた。
新しいクラスの奴らの視線が、一斉に俺の顔や腕に集中するのがわかる。
「あいつ……噂の『神樹』だろ?」
「おい見ろよ、腕にある傷……」
「新学期早々、またどこかで喧嘩してきたんじゃ……」
教室内が、ひそひそとした怯えとざわめきに包まれる。
教壇の上から、怯えるクラスの奴らを一瞥する。
「神樹墨。終わり」それだけ言って、俺は自分の席に戻った。
担任のあわてた声や、教室のざわめきがさらに大きくなるが、どうでもいい。
俺は本が好きだ。図書館、本屋、図書室、――本があればいつまでも生きていけそうだ。(いけそうな気がしてるだけだが)
席に戻ったので本を読むとしよう。
席に戻った俺は、バッグから文庫本を取り出した。
周囲のひそひそ話など、活字の海に飛び込んでしまえばただの雑音だ。
今読んでいるのは、古い本。
ページをめくろうとした指先が、ピクリと跳ねる。 「……」 胸の奥が冷たくなるような、不快な気配。文字が歪んで見える。
普通の人間には、この気配は感じ取れないだろう。
俺は本を閉じ、窓の外を見た。
まだ昼過ぎだというのに、神社の裏山の向こうから、どす黒い雲のような霊気の塊が這い出してきている。
◇◆◇
クラスの連中が「放課後ゲームしようぜ!」と騒ぎ出すのを横目に、俺は誰とも目を合わせずに教室を出た。
廊下を歩く俺を避けるように、他クラスの奴らまで距離を取るのがわかる。
「おい、神樹が睨んできたぞ……」
「またどこかで喧嘩か?」
勝手に言ってろ。 俺は一度家に帰り、いつもの「準備」を整えてから、夕闇が迫る神社の裏山へと向かった。
背中には、あえてギターケースに入れた神社の御神刀。
10歳の子供が刀を持って歩いていたら、怪異より先に警察に捕まってしまうからな。
裏山の境界線。
結界の境目に足を踏み入れた瞬間、空気が一変した。
「……」
目の前に現れたのは、蛇のような姿をした化物。
人間の頭ほどもある禍々しい目が、俺を捉えて爛々と輝く。
「……おいおい、新学期早々、ずいぶんとデカい宿題だな」
俺はギターケースのジッパーを引き裂くように開け、中から由緒正しき御神刀を抜いた。
刃が夕日を浴びて、神聖な銀色の光を放つ。
化物が牙を武器に、俺の顔を目がけて突進してくる。
今朝治りかけたばかりの頬の傷が、風圧でズキリと痛んだ。
だが、恐怖はない。
俺は静かに、刀の柄を握る手に力を込めた。
「神樹墨の名において、命じる――」
10歳の身体に宿る霊力が爆発した。
俺は空中に向かって、文字を綴るように滑らかに、かつ鋭く指先を動かす。
だが、間に合わなかったらしい。蛇の野郎が牙を剥き、突っ込んできた。
牙が、目の前まで迫る。
――間に合わない。
次の瞬間、肩に、鋭い痛みが走った。
牙が掠めたらしい。
「……チッ。遅れたか」
――その瞬間、結界が作動した。
虚空に青白い光の文字が浮かび上がり、 化物の動きを完全に縛り付ける強固な結界へと変化する。
「お前に、俺の領域を荒らす資格はない」
結界の中で身動きが取れなくなった化物に向かって、俺は御神刀を高く構え、一気に地を蹴った――。
俺は御神刀を振り下ろす。
――刃が、化物の身体を貫く。
その瞬間、化物から霊気が一気 に刀に吸われた 。
眼の前のデカい蛇がみるみるうちに小さくなっていく―――
そして20センチぐらいの大きさになった途端、逃げ出した。
「逃げたか」
だが、俺は追わない。
「もう、バケモンになるんじゃねぇぞ」
俺は刀を鞘に収めた。
誤字脱字やアドバイスがあれば言ってくださると助かります。




