表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒冠のアルク ― 帝国航路に背く者たち ―  作者: 久遠 恒 


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/10

第6話 待ち伏せ

第11章 待ち伏せ


帝国艦隊が進路を塞いでいる。

リアはアルクがとる航路を読み、待ち構えていた。

漆黒の宇宙に浮かぶ艦影は、散開して逃走経路を封じている。

リアの乗る艦隊は、一か月前からブラッククラウンを追跡していた。

数日前、自治ネットワークの組織した救援船団の存在と、それをブラッククラウンが護衛しているという情報を入手し、ブラッククラウンを待ち伏せしていたのだ。

「前方、駆逐艦三。」

ノアの報告。

報告の後、すぐにノアにしては少し慌てて、

「後方にも敵艦! 駆逐艦三。退路を遮断された。」

「待ち伏せされたんじゃないの、アルク!

 罠にはめられたんじゃ!」

ルナが取り乱す。

アルクは航路図を見つめている。

帝国艦隊から通信が入る。

『こちら帝国艦隊。

 ブラッククラウン号、航行を停止せよ。』

リアの声だった。

冷たく硬い声。

アルクは落ち着いて応じる。

待ち伏せと分かった時点で、帝国艦隊にリアがいることは予想していた。

「久しぶりだな、リア。」

一瞬、沈黙。

『…任務です。投降してください。』

「できない相談だ。」

『逃げ切れませんよ。』

「逃げるつもりはない。守るつもりだ。」


第12章 艦隊戦、第一段階「包囲」

帝国艦隊が作戦行動に入る。

照準ビームが照射され、ロックオン警報がブラッククラウン号の艦橋に鳴り響く。

「捕捉された!」

ルナが叫ぶ。

「回避運動、入るね。」

ルナの操縦で、ブラッククラウン号は速度と方向を不規則に変える。

アルクは落ち着いている。

帝国側はブラッククラウンを包囲しようとしている。

駆逐艦が立体的に散開し、高速艇がその間を埋め、逃げ道を潰す。

ノアが淡々と告げる。

「電子戦、来たよ。」

艦内通信に干渉が入る。

だがノアは先手を打っていた。

妨害を受け、艦内系統をすぐに予備に切り替える。

「予備回線に迂回路設定。…問題なし。」

「ガロン、シールド展開。」

アルクの指示。

「了解、船長。

 長くは張れねえよ。」

「敵艦から、攻撃、来るよ。」

ノアから警告。

細いビーム。

命中させるというより、回避運動の癖を読むための射撃。

アルクはそれを見て、微笑んだ。

「向こうも、こちらの出方を見ているようだ。」


第13章 艦隊戦、リア視点

旗艦セレスティアの火器管制室。

リアは戦術卓に立ち、ブラッククラウン号の航跡を追っていた。

「目標、回避行動。……癖があるな。」

副官が言う。リアよりも年上だ。

リアは答えない。

癖があるのは当然だ。彼の癖を、彼女はよく知っている。

幼い子どもの頃、同じ展望台でよく星を見た。

アルクはいつも不思議なことを言っていた。

宙を指さして、

「あそこが航路の入口、こっちが出口。隣のコロニーまでの航路はこう。それで、その隣に……。」

あの頃はアルクが何を言っているのか、よく分からなかった。

彼はあの頃から、数字ではなく感覚で航路を掴んでいた。

火器管制員が報告する。

「照準固定、全艦、発射準備完了。

 リア特任少尉。発射許可、願います。」

命令を出そうとしたリアの喉が詰まる。

“声が出ない。”

艦隊の指揮は提督が執る。

だがこの作戦の“捕縛のタイミング”は彼女に委ねられている。

若さは免罪符にならない。責任が重い。

命令は、

『捕縛が最優先。撃沈は避けろ。だが逃がすな。』

“逃がすな。”

その命令は、彼女の心を締めつける。

(捕まえれば、生きられる。)

(止めれば、生きられる。)

だけど………。

「…発射、待て。」

火器管制員が一瞬、言葉を失う。

「特任少尉?」

リアは小さく息を吐いた。

「照準は維持。撃つなとは言わない。…しかし、まだだ。」

リアの喉が、また詰まる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ