決戦
第13章 決戦
外縁星域と中央星域の境界付近。
小規模星間乱流帯の近く。
ここがレイグナーが選んだ戦場だった。
そして中央星域艦隊が選ばされた戦場だった。
***
待つこと約五時間。
ブラッククラウン号の待機座標に奇襲部隊が到着した。
「全部で九十隻。高速巡洋艦と駆逐艦だけ。大型艦はいないよ。」
ノアがセンサーで確認する。
同時に奇襲部隊の旗艦から通信が入る。
通信スクリーンにレイグナーの副官の顔が映る。
「レイグナー閣下の副官ルーカス・ハルトマン大佐です。」
リアとガロンが顔を見合せた。
「本体の到着まで、まだ一時間弱あります。
チューブを抜けるには、どのくらいかかりますか?」
アルクが答える。
「チューブの延長は約十万キロでほぼ一定してるが、座標は安定していない。
全速は出せないので通過に三十分から四十分ぐらいかかる。」
「あまり時間がありませんね。
ブラッククラウン号の航法システムと各艦のシステムをリンクさせてください。
我々の部隊は単縦陣で、ブラッククラウン号を追従します。」
アルクがうなずく。
「ノア」
アルクがノアを見る。
「少し待って。」
待つこと数分。
「システムを開放した。リンクできるよ。
パスワードを送る。」
アルクがハルトマンに説明する。
「システムのパスワードを送った。リンクしてくれ。」
「少し時間を下さい。」
五分程で九十隻の艦との通信リンクが確立する。
「各艦の航法システムを自動追尾にセットしてくれ。
チューブの座標が変動した場合に、連絡する余裕はない。」
大佐は一瞬、ためらったが、すぐに了解して各艦に指示した。
奇襲部隊の到着から十五分ほどで、乱流帯への突入準備が整う。
「出発するか?」
アルクが大佐に尋ねる。
「行きましょう!
お願いします。」
アルクはうなずいて通信を切る。
「みんな行くぞ!」
クルーに声をかけ、乱流帯に向けて舵を切る。
そして無言で宙を見ながらゆっくりとして速度で乱流帯に突入した。
ブラッククラウン号は、しばらくの間、揺れたがすぐに安定する。
チューブに入ったのだ。
外周スクリーンには言葉で表現できない、奇妙な空間が映し出されている。
「センサーはほとんど効かないけど、チューブの直径は約七千キロ。」
ノアが報告する。
「センサーが効かないのに、なんで分かるの?」
ルナが尋ねる。
「七千キロまでしかセンサーが効かないから。」
ガロンが笑う。
ノアが続ける。
「進路を間違えると約一分で乱流帯に突っ込む……」
リアが唇に指を当てて、ノアに話を止めるよう注意する。
チラッとアルクの方を見る。
ノアもそれに気が付いて慌てて話題を変える。
「ところで、ハルトマン大佐が挨拶したときに、リアとガロンが変な顔してたけど?」
「ああ、あれか」
ガロンが説明する。
「司令官のレイグナーは中将だろう。その副官が大佐というのがな。」
ノアはガロンの言葉の意味が分からず首を傾げている。
「中将の副官はほとんどが少佐、まれに中佐なんです。
大佐というのは珍しくて。」
リアが補足する。
「それに大佐が九十隻の艦隊指揮官というのも異例です。
よほど有能で人望の厚い方なのでしょう。」
「そうなんだ。」
ノアが納得して大げさにうなずく。
それからは艦橋に話声が響くことはなかった。
クルーは皆、無言でアルクの様子を見つめた。
アルクは精神を集中して操縦桿を操る。
何度か急に舵を切り船の進路を変える。
奇襲部隊はその跡を自動追尾で付いて来る。
途中、一隻の巡洋艦が進路変更に追随できず、乱流帯に突入して戻らなかった。
「今の艦、自動追尾にセットしていなかったんだな。」
ガロンがポツンと言う。
「なんでだろう?」
ルナが不思議そうに言う。
「俺たちはアルクを信じてるから心配してねえが、帝国の軍人にしてみれば海賊のブラッククラウンに命を預けろと言われているようなもんだ。
自分たちで操艦しようとする者がいても不思議じゃねえ。」
ガロンが暗い声で言う。
「運が悪かったな。」
リアが時計を見る。
突入から約三十分。
「そろそろでしょうか?」
皆がアルクの方を見る。
***
その頃。
レイグナー艦隊と中央星域艦隊は接近を続けていた。
距離二十万キロ。
戦闘開始距離。
司令室に緊張が満ちる。
作戦参謀が言った。
「ミサイル戦の交戦距離に到達します。」
レイグナーは短く命じた。
「ミサイル戦隊形。」
それを受け航法参謀が各艦隊に細かい指示を出す。
七百隻の艦が球形陣を組む。
中心にレイグナーの旗艦。
その周りをミサイル戦防御力の低い駆逐艦、巡洋艦が取り囲み、最外周に少し前進して戦艦が配置される。
奇襲部隊との通信は三十分ほど前の『チューブに突入』との連絡を最後に途絶えている。
作戦通りなら、間もなく敵の背後に現れるはずだ。
レイグナーは命じた。
「全艦、ミサイル第一射。」
作戦参謀の命令を通信士が伝達。
全艦に命令が伝わる。
次の瞬間。
七百隻のミサイル発射管が一斉に開いた。
艦体上面、側面の装甲が開き、内部の格納セルのハッチが開いていく。
そしてミサイルが射出される。
白い推進光が輝き、宇宙を埋める。
一隻につき数十発から数百発。
十万発を超える同時発射だった。
対する中央星域艦隊も撃ちかえしてくる。
同規模、同密度、同速度のミサイルが飛来し、宇宙空間が光の河になる。
ミサイル同士の無数の軌道が交差する。
戦場が光で満たされる。
十数万キロの距離を越え、敵ミサイル群がレイグナー艦隊に到達する。
迎撃が開始された。
七百隻の艦の戦術システムがネットワークを構成し、迎撃を分担する。
その中心となる前衛の戦艦は数百発の迎撃ミサイルを発射。
敵ミサイル群の前に壁のように立ちはだかり、接触直前に弾頭を分離。子弾をばらまく。
広域で敵ミサイルが爆発。
空間が破裂する。
突破して来るミサイルに対しては、個艦防御用の近接レーザーが迎え撃つ。
無数の光線が伸び、接近するミサイルを焼き、切断し、爆発させる。
誘爆、誘爆で爆発が連鎖する。
戦艦の防御網を突破したミサイルは巡洋艦、駆逐艦の防御網が迎え撃つ。
個々のミサイルに対する迎撃成功率は百%。
双方とも飽和攻撃で敵防御網の突破を図る。
十万発を越えるミサイルのほとんどが途中で迎撃される。
それでも一%に満たないわずかなミサイルが突破し、シールドを直撃する。
高エネルギー弾頭の爆発で生じるエネルギーの奔流が艦を襲う。
戦艦、巡洋艦のシールドは数発の同時着弾に耐える。
しかし駆逐艦のシールドは直撃に耐えられない。
爆発のエネルギーがシールドを貫き、一瞬遅れて装甲を貫く。
艦体が揺れ、駆逐艦が裂ける。
回転しながら爆発、四散する。
双方で駆逐艦、巡洋艦に損害が拡大する。
「第二射、敵艦隊の右側面に攻撃を集中」
レイグナーが命じる。
乱流帯は敵艦隊の右側面に位置する。
ミサイルの爆発エネルギーで敵艦隊のセンサーを攪乱を狙う。
奇襲部隊の出現を敵に悟らせないためだ。
その後も、双方から第三射、第四射と攻撃が続く。
損害が続出する
それでも、戦列は崩れない。
両艦隊は接近を続ける。
「敵艦隊との距離、八万キロ。
間もなく、砲撃戦の射程距離五万キロに入ります。」
航法参謀からの報告。
「損害の程度は?」
レイグナーが作戦参謀に確認する。
「駆逐艦、巡洋艦に撃沈四十二、中大破して戦列を離れた艦三十八。」
作戦参謀が報告する。
「敵艦隊の損害は?」
「当艦隊の半分程度と推測されます。
戦艦が多い分、防御網が厚いので。」
レイグナーはうなずいた。
作戦参謀が耳打ちする。
「ミサイルの残弾が減ってきました。
このままミサイル戦で戦力を削り合っては、当艦隊が不利です。
奇襲部隊を当てにせず、敵艦隊に突入して乱戦に持ち込むという選択もあります。」
レイグナーは目をつむって考えた。
戦闘開始から二十分。
作戦上、奇襲部隊が攻撃を開始するはずの時間は過ぎていた。
中央星域艦隊の乗組員の士気が低下していても、敵艦隊を瓦解させるためには止めとなる一撃が必要だ。
奇襲部隊の攻撃がその止めになるはずだったが、それが無理なら艦隊決戦で敵に大きな損害を与えるしかない。
しかし艦隊を突撃させて敵味方が混在していては、奇襲部隊が現れても攻撃ができない。
奇襲部隊を信じてミサイル戦に耐えるか、思い切って突入するか……。
選択を迫られる。
決断しようとしたその時――。
「敵艦隊の後方で大量のエネルギー反応!
主力艦の爆発光も探知!」
観測員から報告が入った。
***
少し前。
奇襲部隊旗艦。
指揮官のハルトマン大佐は時計を見ていた。
出発から四十分が経過している。
予定では攻撃を開始している時間だ。
前方スクリーンを見る。
言葉では表現できない奇妙な空間。
長く見つめていると、めまいがしてくる。
戦闘を進むブラッククラウン号。
その後ろを単縦陣で八十九隻が続く。
ブラッククラウン号の航跡だけが安全な航路。
帝国軍のセンサーでは周囲の状況がほとんど把握できない。
観測員が報告する。
「リンク維持、支障なし。」
「各艦に再度、リンク維持を厳命。」
通信士から報告。
「全艦、リンク維持を確認。」
時間が過ぎていく。
大佐は両手の掌を握りしめた。
艦橋を静寂が包む。
突然、通信が入った。
ブラッククラウン号からだった。
アルクの声が通信機から流れる。
『もうすぐ出る。』
待ちに待った知らせだった。
大佐は深く息を吸った。
そして命じた。
「全艦戦闘準備。
ミサイル発射用意。」
全艦に命令が伝わる。
次の瞬間、視界が晴れた。
光の瀑布が目を射る。
ミサイル戦で爆発する膨大な数のミサイルの光だ。
「敵艦隊の位置確認!」
大佐が命じる。
観測員が即座に答える。
「敵艦隊、方位角三百十七度、仰角プラス十二度。距離七千キロ!」
予定通り、至近距離だ。
「左に回頭しつつ、全艦ミサイル“全弾”発射!
誘導限界を超えても構わん。
弾を惜しむな!」
八十九隻の巡洋艦、駆逐艦のミサイル発射管が開く。
搭載する全ミサイルを次々に発射する。
総数五万発。
第三射以降に発射されたミサイル、全体の七割は無誘導になる。
しかし、発射時点でだいたいの方向が合っていれば敵艦隊の防御網を攪乱する役には立つ。
敵艦隊が全く予想していない方向からミサイルが接近していく。
***
中央星域艦隊後方。
その瞬間――。
各艦の監視員が一斉に叫ぶ。
「熱源検出!
多数!」
スクリーンが検知した熱源で埋まっていく。
「距離七千キロ!
急速接近!
着弾まで十五秒!」
近すぎる。
各艦の指揮命令系統を通じた迎撃命令は間に合わない。
各艦の戦術システムは自動的に迎撃態勢に入ろうとした。
しかしレイグナー艦隊との決戦中、各艦の戦術システムはネットワーク化され、一体となっている。
ミサイル戦の場合、艦隊は球形陣を組むが、その重点はミサイルが飛来する方向に置かれる。
最重点は正面、次いで艦隊の上下左右。後方は配置される艦も少なく、防御が薄い。
後方からのミサイルを探知しても、前方からのミサイル攻撃が続いている状況では、戦術ネットワークは主攻たる前方重視を変更することはできない。
後方配置の少数の艦のみで防御に当たることになる。
結果、大量のミサイルが防御線を突破する。
複数ミサイルの直撃を受け、爆散する巡洋艦、駆逐艦が続出する。
***
中央星域艦隊、旗艦艦橋。
後方配置の艦隊から次々と被害報告、救援要請が入る。
「第四、第七艦隊、被弾多数!」
「複数の戦隊が壊滅!」
「損害、増大しています!」
通信員、観測員から次々に報告が入る。
司令官が叫ぶ。
「何が起きている!」
その瞬間。
前方のレイグナー艦隊から主砲が発射された。
戦艦の重粒子砲、巡洋艦の粒子砲、そして駆逐艦の重レーザー砲。
無数の光が艦隊を貫く。
シールドが歪み、装甲が蒸発し、艦体が裂ける。
損害報告が止まらない。
「第四、第七艦隊は半数の戦隊が壊滅!」
「後方からも粒子砲の攻撃! 損害発生!」
「通信混乱! 後方の艦隊、統制不能!」
司令官が叫ぶ。
「戦列を維持しろ!
第五、第十一艦隊を後方に回せ!」
しかし――
「第五艦隊の第七巡洋戦隊が戦列から離脱していきます!」
「第十一艦隊の第三、第二駆逐戦隊も離脱!」
「他の艦隊からも離脱する戦隊が出ています!」
離脱報告が次々と届く。
「動揺するな!」
司令官が怒鳴る。
「我々が退けば帝国は崩れる!」
誰も反論しなかった。
辺境の混乱はすでに限界に達している。
航路は乱れ、物流は停滞し、統治は揺らいでいる。
ここで帝国軍の中核たる中央星域艦隊が敗れれば、それは戦術的敗北に止まらない。
帝国そのものの崩壊につながりかねない。
「我々はただ命令に従って戦っているのではない!」
司令官は続けた。
「帝国を守っているのだ!」
艦橋の空気が、わずかに張り詰めた。
ここで退けば、帝国の栄光は戻らない。
しかし――
離脱は止まらない。
それは連鎖的な崩壊だった。
司令官が怒鳴る。
「残った艦で隊形を再編しろ!」
「無理です! 離脱艦多数! 統制不能!」
艦隊参謀長が叫ぶ。
「なぜだ!?」
司令官が呆然としてつぶやく。
「各艦隊の司令官、副官、参謀は、みな帝国の再興を誓った同志のはずだ。
なぜ戦わずに逃げる?」
参謀長が答える。
「司令官級の士気は高くとも、その下の戦隊級の将兵は違います。
離脱は戦隊単位、個艦単位で発生しています。」
「下が付いて来ないということか……」
司令官が自嘲気味につぶやいた。
「前方、後方からのビーム攻撃続いています!」
観測員の叫び。
***
レイグナー艦隊旗艦の戦術表示盤には、整然と並んでいたはずの敵戦列が、ゆっくりと崩れていく様子が映っていた。
離脱した戦隊の識別符号が一つ、また一つと隊形の外へ流れていく。
誰も声を出さなかった。
参謀たちは沈黙したまま表示盤を見つめている。
それが意味するところを全員が理解していた。
「……始まったな。」
レイグナーが低く言った。
作戦参謀が静かに応じた。
「はい。」
帝国軍はかなり前から一つではなくなっていた。
同じ旗の下にありながら、異なる帝国を守ろうとしていた。
レイグナーは静かに言う。
「我々は選んだのだ。」
レイグナーの覚悟だった。
「我々が守るべき帝国を。」
誰も答えなかった。
だが全員がレイグナーの考えを理解していた。
***
中央星域艦隊の前後から、粒子砲、レーザー砲による攻撃が続く。
無数の光の矢が艦隊を貫く。
隊形が完全に裂ける。
艦隊が崩壊していく。
***
ブラッククラウン号の艦橋。
「艦隊が崩壊していく。」
ノアの報告。
「脱落艦多数。どんどん増えていく。」
「終わりだな。」
ガロンがほっとした声で言う。
***
中央星域艦隊旗艦艦橋。
損害報告、離脱報告が止まらない。
「ほとんどの艦隊が戦列を離脱しました。
残っているのは第一、第八、第九、第十二艦隊だけです。」
参謀長の声は沈んでいる。
司令官が命じる。
「撤退する。」
参謀長が尋ねる。
「一時撤退して再編ですか?」
司令官は無言で首を振る。
「完全撤退だ。
離脱した艦隊が内部の統制を回復するには時間がかかる。
それもかなりの。」
参謀長も無言でうなずいた。
***
作戦参謀の報告。
「敵艦隊、完全に崩壊しました。
我が方の勝利です。」
レイグナーはうなずいた。
「おめでとうございます、閣下」
レイグナーは暗い顔でゆっくりと首を振った。
「帝国軍同士の戦いだ。
素直に喜べん。」
そして命じた。
「追撃は不要。
漂流者、負傷者の救助に全力を尽くせ。」
作戦参謀は無言で敬礼した。
14章 決戦の後
決戦は終わった。
だが戦場は静かではなかった。
漂う無数の残骸が決戦の規模を物語っていた。
損傷を受けて航行不能になった艦から通信が入る。
投降信号。救助要請。
戦場はまだ動いていた。
***
通信参謀から報告。
「中央星域艦隊の一部が合流を求めています。
閣下の傘下に入りたいとのことです。」
レイグナーは一瞬、考えて答えた。
「受け入れる。
艦隊編成への組み入れは作戦参謀に任せる。」
「大丈夫でしょうか?」
通信参謀が心配そうに言う。
レイグナーは答えた。
「味方は多いほうがよい。
元々は同じ帝国軍の仲間だ。」
レイグナーは戦いの先にあるものを見ていた。
***
ブラッククラウン号の艦橋。
「勝ったね。」
ルナが笑顔で言う。
「よかったですね。」
リアが言う。
「問題はこの先だ。」
ガロンが言う。
アルクは無言でうなずいた。
レイグナー艦隊から通信が入る。
レイグナー本人だった。
「よくやってくれた。
ありがとう。」
その短い言葉には、心からの感謝とわずかな戸惑いが感じられた。
***
中央星域艦隊は敗れた。
だが殲滅されたわけではない。
戦力的には無傷の艦がまだ大量に存在している。
***
その頃。
中央星域首都星の皇帝宮殿。
静かな執務室で皇帝は側近から報告を受けていた。
「中央星域艦隊は敗北し、構成する各艦隊は散り散りに敗走したようです。」
皇帝は黙って聞いている。
「遠征艦隊の勝利です。
親衛艦隊はご命令通り、出撃せず待機しております。」
皇帝は静かに言った。
「それでよい。」
***
辺境の惑星エリオス。
執行官府の会議室。
ケードとセレノスが向かい合って座っている。
「帝国は変わるでしょうか?」
ケードが問う。
セレノスが言う。
「変わります。間違いなく。」
沈黙。
そして二人は同時に言う。
「問題はその方向ですね。」
セレノスはうなずいて続けた。
「軍の役目はここまでです。
ここから先は政治の領域になります。」
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
本日で第7巻が終了しました。
明日から、いよいよ第8巻、黒冠のアルク第1部の最終巻に入ります。
第7巻では、帝国軍の分裂、内戦、そして大きな決戦へと、物語が一気に動いていきました。
アルクたちとブラッククラウン号が選んできた航路。
辺境の人々が守ろうとしてきたもの。
帝国の中で積み重なってきた対立。
それらがぶつかり合い、物語はいよいよ大詰めへ向かいます。
第8巻では、これまで続いてきた黒冠航路をめぐる戦いに、ひとつの答えが出ることになります。
アルクたちは、最後に何を選ぶのか。
ブラッククラウン号は、どこへ向かうのか。
そして、帝国と辺境の未来はどうなるのか。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
続きも毎日20時過ぎに更新予定です。
少しでも「最後まで見届けたい」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援いただけると、とても励みになります。
引き続き、よろしくお願いします。




