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13話

お読み下さりありがとうございます。


今回、くどくどしい内容に

なってしまいました。


サクッと読んで頂けると幸いです。



 ドゥルッセン公爵邸からの帰り道。

 馬車の中で、ルキの膝の上に乗せられた私は先程の茶会で明かされなかった事件の詳細を聞いていた。


 マルロー男爵は、王都でファウルドを誘拐した後、ラファイエ様と警護団の出方を見るため、当面の間は商会の事務所地下に軟禁する予定だった。


 しかし、誘拐を実行した次の日にドゥルッセン公爵邸でレンとラファイエ様主催のお茶会があったため、それに合わせて王都からファウルドをマルロー男爵領に移送することにしたらしい。


 成り上がり男爵が領地を持って、まだ3ヶ月も経っていない。

 この計画を実行するために、バインダル公爵が小さな領地をマルロー男爵に用意したと思われる。


 そして、幸いに移送途中で馬車の後方の車輪が外れ、そこにリュシーが居合わせた。


 リュシーと別れた後、マルロー男爵は男爵領にある今は使われていない教会の地下室にファウルドを閉じ込めた。


 男爵と御者が教会から馬車を走らせ手前の森の道に入ったところでダン様に確保され、教会に戻りファウルドを救出。

 ダン様は、ファウルドの無事を確認してから狼煙を上げたという。


 その後、二人に主犯を聞き出し教会の地下室に閉じ込めた。


 ダン様は、馬に一緒にファウルドを乗せ、馬車の馬を連れて王都に戻る。その途中で、ルキとラファイエ様たちと合流し、ドゥルッセン公爵家の騎士を教会へ向かわせた。


 教会では主犯を取り押さえるために、二人はそのまま地下室で監禁することに。


 次の日の夜、ルキがガトゥーラ侯爵邸にマキシを呼びにきたのは、バインダル公爵が夜中に教会まで来ることになったからだ。


 マルロー男爵に「毒が効かない」と手紙を書かせバインダル公爵に送らせたところ、次の日の夜中に公爵自身が教会まで来るという返事が来たのだ。


「毒?毒殺しようとしていたの?」


「あぁ、マルローはバインダル公爵から毒を渡されていたんだ。その毒は揮発性で、体内に入ると30分で毒の痕跡がなくなるらしい」


 この国には無い毒だった。隣国で、高価な揮発性の毒があると聞いたことがあると王宮医師が言っていた。


 多分、マルローが毒を盛るのを躊躇したのかもと思ったんだろう。金になるからだ。なので、公爵自身が男爵の領地まで来たのだ。


「でも、なぜマキシ?」


「マキシリアンから何も聞いてないのか?」


「魔方陣が組めるっていうことは、知っているけど···あとはルキから聞いてって言われたよ」



 マキシは、特殊体質で魔力を自分の血液に流し込むことができ、その血液で魔術を展開すれば、魔力を使わず術式が起動し続けるという。


「まずは、私が持ってる瓶の中と、ファウルドの容姿に変装させたマキシリアンの口内に転移の魔方陣を組んだんだ」


 教会に着いたバインダル公爵は容姿を変えていて、見慣れない一人の男を連れていた。


 マルロー男爵が教会の中に二人を招き入れ、容姿をファウルドに変えたマキシの口の中に毒を注いだ。


 注がれた毒は、ルキが持っていた瓶の中に移動した。そうして、物的証拠を入手した。


 その後二人を拘束し、マキシリアンの魔術により魔力を奪うと、魔力が無くなり変えていた容姿を保てなくなった。


 拘束した一人の見慣れない男は、仕込んでいたであろう毒で自害した。

 今も調査中だが、どこかの国が関わっていたと思われるが分からず終いらしい。


 バインダル公爵は、上位貴族の連行は警護団だけでは無理だったので、ファイニール辺境伯が連れていき牢に入れた。


 ルキは陛下に詳細を伝えに王宮へ。


 その後、取り調べを受けるバインダル公爵。マキシが公爵の背中に魔方陣を組んで、嘘をつけなくしていたので、何でもペラペラ話をしたらしい。


 そして、バインダル公爵家に与えられた罰は子爵に降爵。邸は没収され、田舎の領地を与えられた。

 マルロー男爵は商会を取り上げられ、一生商売に関する事ができなくなった。


 王家は、甘いと思われる決定を下したが、実際は甘くなく、これから最高上位貴族に頭を下げ続ける罰と、今まで蔑んできた貴族たちとの交流、初めての領地運営など内容は屈辱であろう。

 未遂で終わったにせよ、これから辱めを受け続ける罰を与えた。







「この全ては、極秘だ。マキシリアンのことを知っている者は限られている」


「うん。マキシ···天才だと思ってたけど。それ以上だったんだね」


「マキシリアン一人で、この国を崩壊させることが出来てしまうからな」


「あいつは、小さい頃は籠の中の鳥だったんだ―――」



 特殊体質のマキシは、王宮で祖父に監禁に近い生活をさせられていた。自由がなかった。

 それを知っているのは、陛下とマキシの祖父だけだったらしい。


「両親は?知らないのですか?」


「あぁ、今も知らされていない。マキシリアンは、生まれてからすぐに死んだことになっている」


「えっ?·····そんな···」



 ルキがマキシリアンと出会ったのは、王宮裏にある魔術の塔だった。王宮から渡り廊下でつながっている塔への扉はいつも閉まっている。その日は、扉が開かれていた。


 塔の中に入ると、人の声があちらこちらから聞こえてきた。見つからないように先に進んでいくと陛下の姿があった。近くの扉に入り隠れると、後ろから小さな声で「あなたは誰?」と声を掛けられた。振り向いた先にいたのがマキシリアンだった。


 紅茶色の髪と瞳が大きく見開かれ、うるうるした瞳で覗き込まれる。


「僕、マキシリアン。君は王子様?陛下の髪の色と同じだからさ」


 その後、色々な話をして仲良くなった。そろそろ帰らなくてはと思うが、どうやって帰ればいいのかと相談する。すると、左手を出すように言われた。マキシは、自分の右手の人差し指に針を刺し、ルキの差し出した掌に魔方陣を描いた。


「これで、王宮図書館に転移できるよ。また遊びに来てくれる?図書館から僕の部屋ならいつでも転移できるようにしたから」


「マキシリアンは、魔術が使えるの?分かった。また来るよ」


 何度目か遊びに行ったときに、マキシリアンの祖父にバレてしまい、陛下を塔に呼ばれ二人で叱られた。


 そのとき、マキシリアンはもう会えないかも知れないと思ったらしく、いつも身につけている針で自分の掌をたくさん傷つけた後、血だらけの手で私の手を握った。


 すると、マキシリアンとルキの全身が光に包まれた。よく見ると体には無数の文字が浮かび上がっていた。すぐにそれらは消えたが―――。


「主従の紋様だった」



 次に立つ国王陛下と交わすはずの一度限りの紋様を、ルキに刻んだのだ。


「マキシリアンの祖父は大パニックだった。くくっ····。陛下の顔も、相当だったぞ」


 早くマキシリアンを外の世界に出してあげたかったが、学院に入るまで待たせてしまった。



「学院に入学した日が、マキシリアンの冒険が始まった日なんだ」



 ルキは馬車の窓から遥か遠くを微笑みながら見ていた。




誤字脱字申し訳ありません。

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