第十五話 初夏の丘と花冠
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捕らえた襲撃者たちは、騎士たちによってその場で拘束されていた。
負傷した者には応急処置が施され、逃げた者については王都へ知らせるため、一人の騎士が馬を飛ばしている。
丘の上にはまだ戦闘の跡が残っていたが、ひとまずの危険は去っていた。
ユリアナたちは馬車へ戻り、侍女が用意した紅茶を口にしていた。
もっとも、ユリアナは自分で席に座っているわけではない。
クラリッサに抱きかかえられ、その腕の中にすっぽりと収まっている。
「……クラリッサ様」
「もう少し、このままでいさせてちょうだい」
「……はい」
特に断る理由もないので、ユリアナは素直に頷いた。
向かいでは、エドワードが紅茶を一口飲んでいる。
しばらく、誰も口を開かなかった。
襲撃を受けたばかりなのだから、当然と言えば当然だった。
やがてエドワードがカップを置く。
「さて、ユリアナ」
「はい?」
穏やかな声だった。
しかし、その目は真剣だった。
「なぜ、あんな無茶をした?」
「……無茶?」
ユリアナは首を傾げた。
その反応に、エドワードの眉がわずかに上がる。
「無茶をした自覚がないのか?」
「……何のことでしょうか?」
迷いのない返事だった。
クラリッサが思わずユリアナの顔を覗き込む。
「本当に分からないの?」
「……?」
ユリアナは不思議そうにクラリッサを見る。
おそらく、エドワードが問題にしているのは、自分が魔法を使って騎士たちの援護に入ったことだろう。
だが、ユリアナ自身は、あの場で必要なことをしただけだと考えていた。
エドワードは小さく息を吐く。
「では、聞こう。私が馬車へ行くよう言ったのに、なぜ前へ出た?」
「十人ほどの敵が、こちらへ向かっていました」
「ああ」
「その時点で、相対する騎士様は二人でした」
ユリアナは淡々と続ける。
「二人で十人を相手にするのは困難です。何人かはこちらへ抜けてくる可能性が高いと判断しました」
エドワードは黙って聞いている。
「しかも、敵と騎士様たちが入り混じってしまえば、広い範囲へ魔法を使えません」
「そうだな」
「ですから、接触する前に敵の動きを止めるのが最も安全だと判断しました」
ユリアナはそこで言葉を切った。
「実際、その通りになりました」
「……そうだな」
エドワードは腕を組んだ。
「君の魔法で敵の動きを止め、その隙に騎士たちが攻撃した。おかげで敵を足止めし、騎士たちもこちらへ戻ることができた」
「はい」
エドワードは少し考える。
「確かに、合理的な行動だ」
「はい」
「論理的でもある」
クラリッサがすぐさま口を挟んだ。
「エドワード、納得しないでくださいな」
「しかしだね」
「しかしではありません」
クラリッサはユリアナを抱きしめたまま、エドワードを見る。
「この子は、あなたに馬車へ行くよう言われていたのですよ?」
「それも分かっている」
「それなのに、自分から戦いの中へ出ていったのですよ?」
「それも分かっている」
「では、なぜそんなに冷静なのですか」
「……私にも分からなくなってきた」
エドワードは苦笑した。
ユリアナは二人の会話を聞きながら、やはり不思議そうに首を傾げている。
自分の判断のどこが問題なのか、まだ分からなかった。
「いくら魔法が使えるといっても、あんな危険な場所へ出ていくなんて……」
クラリッサがユリアナの頭を撫でる。
「あなたはまだ幼いのですよ」
「ですが――」
ユリアナが口を開く。
「訓練なら、積んでいますし……実戦の経験もあります」
「…………」
「…………」
エドワードとクラリッサが同時に黙った。
「……はい?」
クラリッサが聞き返す。
「いつ?」
エドワードも尋ねた。
ユリアナは少し考えた。
「前世で、です」
二人の表情が固まる。
ユリアナは気にせず続けた。
「海外の医療支援活動に参加していた頃ですが、活動する地域によっては、反政府ゲリラの襲撃を警戒する必要がありました」
「……反政府ゲリラ?」
「はい。反乱軍のようなものです」
「それは……かなり危険な場所だったのではないか?」
「そういう地域もありました」
ユリアナは頷いた。
「そのため、現地へ入る前には、襲撃を想定した戦闘訓練も受けていました」
エドワードが言葉を失う。
クラリッサも、ユリアナを抱く腕を緩めないまま目を丸くしていた。
「それから、ライオンに襲われたこともあります」
「……ライオン?」
「前世に存在した、大型の肉食獣です。百獣の王と呼ばれていました」
エドワードの表情から苦笑が消えた。
「なぜ襲われた?」
「餌だと認識されたようです」
「…………」
「その時は頑丈な車両へ逃げ込んで、何とか助かりました」
あまりにも淡々とした説明だった。
クラリッサはユリアナを見つめたまま、何も言えない。
「それから、ハイエナの群れに囲まれたこともあります」
「……ハイエナ?」
「肉食獣の群れです」
「何匹くらいだね?」
「正確には覚えていませんが、十数匹はいたと思います」
「それで……どうした?」
「護衛の方や医療班の人たちと協力して追い払いました」
エドワードは額へ手を当てた。
先ほどまで、幼い少女が危険な場所へ飛び込んだことを心配していた。
だが、聞けば聞くほど、自分たちが想像していた「幼い少女」の姿から遠ざかっていく。
ユリアナはそんな二人の様子を見ながら続ける。
「ですから、危険な状況でどう動くべきかについては、ある程度の実戦経験があります」
「ある程度……」
エドワードが呟いた。
「それを『ある程度』で済ませるのか……」
「はい?」
ユリアナはまた首を傾げた。
クラリッサは何も言わず、ただユリアナを抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。
エドワードはしばらく黙り、ユリアナの話を整理するように考え込んでいた。
「……つまり、君は前の人生で、危険な地域へ赴いていたわけか」
「はい。医療支援が必要な場所でしたから」
「それで、襲撃に備えた訓練まで受けていた」
「そうです」
「ライオンにも襲われた」
「はい」
「ハイエナの群れにも囲まれた」
「はい」
エドワードは深く息を吐いた。
「……随分と、いろいろ経験しているんだな」
「そうですね」
ユリアナは少しだけ考えてから、苦笑した。
「危険なことがあれば、その都度どうすれば助かるかを考えていました」
「怖くはなかったの?」
クラリッサが尋ねる。
ユリアナは少し考えた。
「怖かったですよ」
意外な答えに、クラリッサが目を瞬く。
「怖くなかったわけではありません。ただ、怖がっているだけでは何も解決しませんから」
「……そう」
「まず状況を確認して、どうすれば安全に抜けられるかを考えます」
ユリアナは淡々と続ける。
「今回も同じです」
エドワードが顔を上げた。
「今回も?」
「はい」
「……確かに、そうだな」
エドワードは認めるしかなかった。
ユリアナの思考と行動には、感情的な勢いも無謀さもない。
あの場で見えていた状況から、必要な手段を選んだだけなのだ。
クラリッサが困ったようにエドワードを見る。
「あなたまで納得してしまうと、私が何を言えばいいのか分からなくなるわ」
「私だって困っている」
エドワードは苦笑した。
「理屈だけなら、反論するところがない」
ユリアナは二人を見上げる。
それでも、やはり自分の何が問題なのかは分からなかった。
「では、魔法についてはどうだ?」
「魔法、ですか?」
「あれほど正確に敵だけを狙えた理由だ。前世には魔法などなかったのだろう?」
「訓練していましたから」
「……訓練?」
「はい」
ユリアナは膝の上へ手を置き、説明する。
「大夜会に備えて、実戦を想定した練習をしていました」
エドワードは大夜会の時のことを思い出した。
「その後も続けているのか?」
「はい。毎日ではありませんが、基礎練習は続けています」
「具体的には?」
「魔力を狙った場所へ集めること。威力を調整すること。それから、途中で止めることです」
ユリアナは少し考える。
「複数の対象がいる場合は、味方と敵を分けて考えながら魔法を使う練習もしています」
エドワードは黙った。
図書室にこもる合間、時折裏庭で何かをしているのは知っていた。だが、今の今まで、花でも愛でているものと思っていた。
一体この娘はどんな場面や敵を想定して、あれほど実戦を意識した訓練を続けていたのだろうか。
先ほどの光景が頭に浮かぶ。
十人の敵へ向けて放った土砂混じりの風は、騎士たちが踏み込むところで止められていた。敵と味方の位置を見極めたうえで、魔法の届く範囲まで計算していたのだろう。
隊長の背後から弓を構えた男へ水槍を放ったときも、狙いに迷いはなかった。
魔狼との戦いでは、騎士の位置を確認したうえで、危険の迫る方向を声で知らせていた。
あの場でユリアナが行ったことは、ただ魔法を放っただけではない。周囲の状況を見ながら、味方の動きを妨げないように攻撃の位置とタイミングを選んでいた。
それがすべて、普段から続けていた訓練の結果なのだとすれば――。
エドワードは、改めてユリアナを見る。
「……なるほどな」
エドワードが呟く。
「だから、あれほど迷いがなかったのか」
「はい」
ユリアナは当然のように頷いた。
「生存する可能性を高めるには、あの方法が最適だと判断しました」
エドワードは苦笑した。
「君にとっては、そこが基準なのだな」
「はい」
クラリッサは黙って二人の会話を聞いていた。
確かに、ユリアナの判断は正しかった。
あの状況で魔法を使ったことも、敵の動きを止めたことも、騎士たちと敵が接触する前に魔法を止めたことも、結果だけを見れば非の打ち所がない。
エドワードも、同じことを考えているのだろう。
「……確かに、判断にも魔法の使い方にも問題はない」
エドワードは静かに認めた。
「理屈の上ではな」
ユリアナは小さく首を傾げる。二人が何を問題にしているのかは、まだ理解できなかった。
「……でも」
クラリッサがユリアナの髪をそっと撫でる。
「私は、やっぱり怖かったわ」
「怖かった?」
「ええ」
クラリッサはユリアナを抱いたまま、その顔を見つめた。
「あのとき、あなたが一人で前へ出ていったでしょう?」
「はい」
「あなたが正しい判断をしたことは分かっているの」
「……はい」
「でも、もし矢が当たっていたら。
魔法を使う前に斬り込まれていたら。
ほんの少しでも状況が違っていたら…――そう思うと……」
「……」
クラリッサの声には、まだ緊張の名残があった。
エドワードも静かに頷く。
「私も同じだ」
「ですが――」
ユリアナが口を開く。
「結果として、問題はありませんでした」
「ええ」
クラリッサは否定しなかった。
「だから困っているのよ」
「……?」
「あなたの言っていることが間違っていないから」
ユリアナはさらに首を傾げる。
エドワードが苦笑した。
「正しい判断だったことと、私たちが心配したことは、別の話なんだ」
「別……ですか?」
「そうだ」
エドワードは穏やかに答える。
「君が正しかったからといって、私たちが心配してはいけない理由にはならない」
ユリアナはしばらく考えた。
論理としては理解できる。
だが、やはり感覚としては分かりにくかった。
クラリッサがそんなユリアナを見て、少しだけ笑う。
「今すぐ分からなくてもいいわ」
そして、抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。
「今日は、こうしていさせてちょうだい」
「……はい」
ユリアナは抵抗しなかった。
クラリッサの腕の中に収まったまま、静かにエドワードを見る。
その時、丘の下から複数の馬の蹄音が聞こえてきた。
エドワードが顔を上げる。
「来たようだな」
ほどなくして、王都守備隊の一団が丘へ上がってきた。
先頭の騎士が馬から降りると、エドワードのもとへ駆け寄る。
「ライゼン様!」
「ああ。ご苦労だった」
「襲撃者について、確認させてください」
エドワードは丘の上へ視線を向けた。
「拘束した者が複数いる。負傷者もいるが、こちらで応急処置を済ませている」
「逃走した者は?」
「いる。人数と逃走方向については、護衛隊長から確認してくれ」
「承知しました」
守備隊の騎士が隊長へ向かう。
エドワードもその後に続いた。
「それから、捕らえた者の身元確認を頼む。装備や所持品も含めて、分かることを調べてほしい」
「はい」
守備隊の騎士たちが、それぞれの確認へ散っていく。
エドワードも数歩進んだところで、振り返った。
「クラリッサ、少し話をしてくる」
「ええ」
馬車の中では、クラリッサが変わらずユリアナを抱いている。
ユリアナも、特に嫌がる様子はなかった。
エドワードはそれを見て小さく苦笑すると、守備隊のもとへ向かった。
しばらくして、クラリッサが静かに口を開く。
「……ユリアナ」
「はい」
「あなたは、本当に強い子なのね」
「そうでしょうか?」
「ええ」
クラリッサは微笑んだ。
「今日のことだけではないわ。自分で考えて、自分で判断して、自分で動くことができる」
「……はい」
「きっと私たちが知らないことも、たくさん知っているのでしょうね」
ユリアナは少し考えた。
「知っているというより、経験したことが多いのだと思います」
「そうね」
クラリッサは頷く。
そして、ユリアナの頭に乗った花冠へ目を向けた。
今日、二人で作った花冠。
楽しい休日の記念になるはずだった。
それが今は、襲撃を生き延びた一日の記憶まで含んでいる。
クラリッサは花冠へそっと触れた。
「でもね」
「はい」
「どれだけ強くても、心配する人はいるのよ」
「……?」
ユリアナが顔を上げる。
クラリッサは、その瞳をまっすぐ見つめた。
「あなたが自分で危険を判断できることも分かったわ。今日の判断が間違っていなかったことも」
「はい」
「それでも、私は心配するわ」
クラリッサは少しだけ笑った。
「あなたを大切に思っているもの」
ユリアナは黙った。
何と答えればいいのか、すぐには分からなかった。
「だから、これからも無茶をするなとは言えないわ」
「……?」
「あなたが必要だと思えば、きっと動くのでしょう?」
「はい」
「だったら、せめて私たちにも一緒に考えさせてちょうだい」
ユリアナの目がわずかに見開かれる。
「一人で全部決めなくてもいいのよ」
その言葉は、ユリアナの胸に静かに残った。
前の人生では、自分で判断しなければならない場面が何度もあった。
助けを求めるより先に、自分で動かなければならないこともあった。
だから、自分で考えて行動することが当たり前になっている。
けれど、今は違う。
自分の判断を心配してくれる人がいる。
無事だったことを喜び、こうして抱きしめてくれる人がいる。
ユリアナはクラリッサの腕の中で、ゆっくりと頷いた。
「……分かりました」
「本当に?」
「はい」
少し考えてから、ユリアナは続けた。
「次からは、できるだけ相談します」
クラリッサが嬉しそうに笑う。
「それで十分よ」
やがてエドワードが馬車へ戻ってきた。
「守備隊への引き継ぎは終わった。あとは任せて帰ろう」
「ええ」
クラリッサが頷く。
エドワードはユリアナを見ると、わずかに苦笑した。
「今日はもう、ゆっくり休むとしよう」
「はい」
御者が馬車へ乗り込み、侍従たちも帰り支度を終える。
護衛騎士たちが周囲を固める中、馬車はゆっくりと丘を下り始めた。
窓の外へ流れていく花畑を見ながら、ユリアナは小さく息を吐く。
朝は、ただ花を見に来ただけだった。
クラリッサに花の名前を教えてもらい、三人で食事をして、花冠を作った。
それが、ほんの短い時間の間に、襲撃へ変わった。
それでも今は、三人とも無事に馬車の中にいる。
それだけで、ユリアナは少し安心していた。
車内では、ユリアナとクラリッサ、エドワードの三人が向かい合って座っている。
クラリッサは先ほどから変わらず、ユリアナの隣に座っていた。
「今日は……本当にいろいろあったわね」
クラリッサが窓の外を見ながら呟く。
エドワードも苦笑した。
「花冠を作っているときは、まさかこんなことになるとは思わなかったな」
「私もです」
ユリアナは素直に頷く。
「ですが、襲撃があった以上、仕方ありません」
「……仕方ない、か」
エドワードが苦笑する。
「君は本当に切り替えが早いな」
「そうでしょうか?」
「私なら、今日のことをしばらく引きずると思う」
「エドワード様がですか?」
「私だって人間だからな」
ユリアナが少しだけ目を丸くする。
クラリッサがくすりと笑った。
「エドワードは、あなたが思っている以上に心配していたのよ」
「そうなのですか?」
エドワードは答えず、ただ苦笑を浮かべた。
ユリアナは少し考える。
自分の判断が間違っていたとは、今でも思っていない。
それでも、クラリッサが心配していたことについては、少し分かるようになってきた。
ユリアナは隣に座るクラリッサを見る。
「……申し訳ありません」
「何が?」
「ご心配をお掛けしたことです」
クラリッサが目を瞬く。
エドワードも一瞬だけ黙った。
「それが分かっているなら、今日はそれでいい」
エドワードは穏やかに笑った。
「はい」
ユリアナは頷いた。
馬車の揺れが続く。
しばらくすると、車内には落ち着いた静けさが戻ってきた。
窓の外には、夕方へ向かう王都の街並みが少しずつ近づいている。
今日の出来事については、守備隊が調べることになっている。
今は、その結果を待てばいい。
ユリアナは窓の外を眺めながら、ふと今日一日のことを思い返した。
「……今日は、楽しかったです」
ぽつりと呟く。
クラリッサがユリアナを見る。
「本当に?」
「はい」
ユリアナは頷いた。
「また、こういう機会があれば嬉しいです」
「ええ。また行きましょうね」
クラリッサがすぐに答える。
エドワードも頷いた。
「次は、もう少し安全な場所を選ぼう」
その言葉に、クラリッサが思わず笑う。
「そうね」
ユリアナも二人を見て、少しだけ口元を緩めた。
やがて馬車は王都へ入り、ライゼン家へ向かう道を進んでいく。
車窓から見える街並みは、出掛けた朝と変わらない。
店先には明かりが灯り始め、道を行き交う人々の姿も多い。
いつもと変わらない夕方の街だった。
ユリアナはその景色を眺めながら、今日のことを思う。
慌ただしい一日だったが、それでも――ユリアナにとっては、楽しい一日だった。
やがて馬車が屋敷の前で止まった。
侍従が扉を開ける。
「到着いたしました」
「ありがとう」
エドワードが先に降り、クラリッサが続く。
ユリアナが降りようとすると、クラリッサが手を差し出した。
「おいでなさい」
「はい」
ユリアナはその手を取った。
屋敷へ向かう途中、ふと頭へ手をやる。
そこには、ずっと大切にしていた花冠が乗っていた。
ユリアナは花冠にそっと触れる。
「……今日は、良い日でした」
クラリッサが隣で微笑む。
「ええ」
エドワードも二人の後ろから頷いた。
「そうだな」
三人はそのまま屋敷へ入っていった。
初夏の風が、静かに吹いていた。
お読みいただきありがとうございました。
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