修羅場後編
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ロザミアの一言で場の空気が一気に凍りつく、一瞬ギルドが静かになる気がした。
ロザミアに近寄り「ん、何か言った?小娘ちゃん」異常に怖い笑顔のエーラ。
ロザミアは気にした素振りもなく立ち上がり「感じ悪いって言ったのよ、おばさん」と返す。
ドカドカーーン
お互いの胸が当たって潰れてる、、、普通で見たらとても刺激的な光景なのにまるでそそられない、寧ろ背中に冷や汗が湧き上がってくる。リカリカもオロオロしてる。
「ちんちくりんの小娘の癖に随分生意気じゃないか」
「下品な胸してるおばさんには苦労が多そうだから感じ悪いのね」
その一言が引き金になった。ほぼ同時に後ろに跳びエーラは腰から木の棒を、ロザミアはエストックを抜く。その瞬間聞き耳を立てていた周りの客達が輪になり歓声をあげる。
「マジかよ、、、」俺は急に始まった争いに目が点になる。
「怪我位は覚悟しなよ、小娘」
「手加減出来なかったらごめんね、おばさん」
何てくだらない喧嘩をするんだこの2人、お互いに殺気まで出してやがる。
桜児の目方ではエーラの方がデキるように見えるがどこか痛めてるのか少しぎこちない。何にせよこのまま戦いが始まるといい事はおきない、ヘタすれば大怪我になるだろう。
桜児は止める事にした、と言っても会話で間に入れる自信は無い、、、ならば自信のあることで割って入ろうじゃないか。
2人がお互いに向かって走り出し武器を振り下ろそうとした時桜児は間に飛び込んだ。
「!!」「エイジ!」当の2人は既に武器を止められない、桜児に攻撃が当たると誰もが思った次の瞬間ー
同時に宙に転がされたのはエーラとロザミアだった。
短い滞空時間の後2人は桜児の両腕に優しくキャッチされる。
「2人共いい加減にしろ!エーラさんは大人なんだしロザミアは失礼すぎる。悪いのはロザミアだが挑発にのったエーラさんも同罪です」
交互に2人の顔を見ながら話す。
「聞いてますか?」ポーッとするエーラにたずねると素直に「うん、ごめんよ」と返ってきた。
ロザミアの方を見ると何があったのか全く分かっていない顔で俺を見ている。
とりあえず2人を立たせると周りの観客共も自然と散っていった、一様に桜児に驚きながら。
「あんたどうやって?」
ロザミアに問われ「力の受け流しと誘導」と簡潔に答える。
桜児がやった事はこの世界に来てすぐゴブリンにやった事と一緒の原理だ。相手の力を利用しつつちょっと方向を変える、2人の力が強かった為に宙を舞うオマケがついただけだ。
「とりあえずエーラさんは俺の知り合いで色々お世話になってる恩人だ。その人が嫌がる言葉を言うなら俺はロザミア達とはメシは食えない」
そう言って桜児は別の離れた席に座るとエーラはロザミア達に目もかけず桜児を追う。そんなエーラに桜児は
「本当すいませんでした。そんなに面識は無い2人ですが俺が連れてきてかつエーラさんに嫌な思いをさせたのは確かです」と詫びる。
「そんなこと無いよ、エイジ。あたしも大人気なかったし。少なくともあんたが気にすることじゃないさ」
「そう言ってもらえると助かります。でもエーラさん、やっぱり強かったんですね」
「実は元冒険者でこれでも金まで行ったんだ。ただ怪我をしちまって引退したって感じさ」ペロッと上着をめくると腰に大きなキズ痕がある。
「エイジも知ってると思うけど神官に傷を治してもらうには莫大な金がかかる、何とかあった金で治してもらったけど途中で神官の魔力が切れちまってこのザマ。傷痕や痛みを綺麗に消すためもう一回って金はあたしには残ってなかったのさ」
光の魔法は実は俺と凄い相性がいい魔法だ。人体の仕組みを武術で知っていると言う事と普通の魔法より遥かに魔力を使うが俺には莫大な魔力があると言う事だ。
再生していく間ずっと魔力を垂れ流しにするのが光の魔法の性質でこれがなかなかハードでこの時どれだけ魔力の量を流せるかで回復の医力が変わる、ここがとても俺向きな理由でもある。
この世界では高い寄進のもと神官だけが唱えられると思われているが実は教会によって呪文を秘匿されているだけなのだ。
その傷痕を見て俺はエーラさんの手を取り隣に座らせる。そして周りのだれも見ていないか確認(ちらっとロザミアとリカリカを見るとリカリカが凄い剣幕でロザミアを怒っていてる)する。
「内緒ですよ」「え?何を、、、ぁん」エーラの傷痕に手を当て魔力を流していく。するとみるみる傷痕は消えていく、ほんの数秒で傷は完治したのだ。
「嘘だろ、傷痕も痛みも消えてる、、、」
「良かったです」不意に女の人に直で触れた事が恥ずかしくて下を向いてしまった。
「本当、、、エイジは何者なんだよ」呟く様に声を出すエーラ。
「普通の冒険者です、、、」
ロザミアは本当爆弾娘ですね、、、勝手に暴走して行きますw




