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第二十話

 アルフさんは俺たちが洞穴に帰ってきてからから口が開きっぱなしである。

 帰ってきたときにはアルフさんはもうすでに目を覚ましていて、起きたばかりの目を見開いてこちらを見ている。

 

 「あ・・・あなた様は!?」

 アルフさんに様付けで呼ばれたのは初めてな気が・・・。

 「アルフさん、僕ですよ。そんなかしこまった話し方じゃなくて大丈夫ですよ?」

 「なに!?ユウトだと?」

 こんなに取り乱したアルフさんは初めてだ。

 アルフさんもさっきのケイゴと同じように信じられないと言った顔で見ている。表情が分かりずらいから本当にそうかは分からないけど。

 「そうです、ユウトです。」

 「き・・・貴様エルデドラゴンだったのか!」

 エルデドラゴン・・・。艦長さんが前に言ってたっけ。この世界に唯一存在する青い竜。

 「良く分からないけど、艦長さんから聞いた話ではそうらしいです。」

 「ならば気を失った私をここまで運んだのも?」

 「そうです、僕です。」

 「そうか。」

 「今まで黙っててごめんなさい。」

 一応頭を下げた。

 「いや、そんなことはいいんだが・・・まさか生きている間にエルデドラゴンに会えるなんて思ってもみなくてね、それにこんな近くにいたとは・・・まったく吃驚だな。」

 「そんなに凄いことですか?」

 自分がその立場だと、自分の珍しさとかさっぱり分からない。だいたいこの世界のこともよく知らないし。

 「当たり前だ!エルデドラゴンは世の中が乱れるときしか現れない竜だ。そういうことから神の使いと思われていたりもする。そんな凄い竜と話したり出来るってことは、竜族の中では最高に名誉なことなのだ。」

 そんなに俺って凄いの?世の中が乱れるときに現れるってことは、俺も何らかの使命を持ってここにいるのだろうか・・・・・・知りたい。

 「おいお前ら何見つめあってんだ?」

 唐突にケイゴが割り込んできた。ケイゴは念話を知らないんだ・・・さっき教えてあげればよかった。

 「今アルフさんと“念”で会話してたのさ。」

 「“念”?何話してたか俺にも聞かせてくれ!」

 さっきはケイゴとも念話が出来たんだから、もしかしたら同時に三人の会話を共有することが出来るかもしれない。アルフさんから届いた念をそのままケイゴにも送ればいいんだから多分出来る。今度話すときは実践してみよう。









 

 ケイゴにアルフさんと話したことを伝えた後、ケイゴが「海が見たい」と言ったので、ケイゴとともにさっき真実を伝えた砂浜まで戻ってきた。アルフさんはまだ疲れが取れていないようで、「私は残る」って言ったから洞穴で休んでもらっておくことにした。

 「なぁユウト。」

 さっきからずっと俺の背に乗っているケイゴが話しかけてきた。

 「なに?」

 「海、奇麗だな・・・。こんなに透き通った海は見たことないや。」

 ケイゴは目の前に広がる壮大な海に見とれている。

 「気に入ってくれた?」

 「もちろん!俺のいた島から見た海よりもよっぽどきれいに見えるよ。気持ちの問題かもしれないけど。」 

 そう笑ってケイゴは言った。

 「ケイゴの島にはケイゴ以外人はいなかったの?」

 今になってこんな疑問が浮かんだ。

 「一人もいなかった。俺以外・・・。」

 今まで聞いてきた話から多少は察しがついたけど、やっぱりそうか。

 




 そんな話をしているところにアルフさんがやってきた。あら?残るって言ってましたよね?

 「どうしたんです?」

 俺はアルフさんに尋ねた。

 「私も海を見たくなってな。」

 

 「おいおい!二人で向かい合って何話してんだよ!頼むから俺にも聞かせてくれよ。」

 ケイゴが突然話に割り込んできた

 あ・・・そうだった三人で念話を共有する訓練をしなくちゃ。

 「ごめんごめん」

 早速念話の共有開始だ。

 三人・・・人?現在竜2、人1の比率だからここでは三竜・・・?紛らわしいから三人ということにして・・・三人そろったことだし、俺はこれからのことについて話し合うことに決めた。

 「これからどうします?」

 アルフさんもいるから一応敬語で話すことにしよう。ん?なんで俺はアルフさんに敬語で話してるんだ?アルフさんの方が年上そう・・・いや多分年上だからか?でも、竜的に言えば俺の方が目上だから敬語で話さなくてもいいのか?さっき俺がユウトだと分からなかったとき「あなた様」なんて呼ばれてしまったし・・・。だけど、ため口はさすがに抵抗が・・・。

 しょうもないことを考えている俺を気にせずケイゴが口を開いた。

 「この島で暮らすってのは?」

 ちょっ・・・ちょっと待って、今なんて言った? この島で暮らす って!?

 俺はその意見には賛成だが・・・

 「ケイゴ・・・俺たちがこの世界に来た理由、知りたくないのか?」

 この部分だけはアルフさんに聞こえないように念を送った。

 「それもそうだな。まだ還りたくはないけど、来た理由・・・知りたいな。それに元の世界に戻る方法も・・・できることなら一応知っておきたい。」

 ケイゴならそう言ってくれると思った。・・・あら?この前会ったばかりなのに、なんでこんなことが言える。前の世界の思い出はやっぱり俺の記憶のどこかに漂っているのだろうか。

 

 「二人で何を話しているんだ?」

 アルフさんがいぶかしげな目つきでこちらを見ている。

 「い、いえいえ。何も話していません!そんなことよりアルフさんはどうしようと思ってますか?」


 「アルフさんには言ってもいいんじゃないか?俺たちが異世界から来たこと。」

 話をそらすことで一生懸命だた俺は、ケイゴの念がアルフさんに届くのを防ぐことが出来なかった。

 

 「・・・」

 さっき俺が初めて竜の姿で現れた時のように、アルフさんは信じられないと言った感じで固まってしまった。

 「だ、大丈夫ですか!?」

 あまりにも長い間固まっているもんだから、なんとなく心配になって尋ねた。

 



 「ということは・・・貴様たちは・・・時の神に召喚された時の旅人!?」

 


 訳のわからない言葉の羅列に、ケイゴと俺はきょとんとしてしまった。時の神?旅人?いったい何なんですか!?

 

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