二話 探索 (裏話なんだけどさ、ふと思ったんだよ、ロボットだから好きな食べ物、、食えないやんか!!)
周囲の探索を始めて、どれくらい歩いた狂か。
フサフサとした緑の草をかき分けて進んでいると、前方の草むらがモゾモゾと動いた。
プルン、と小気味いい音を立てて飛び出してきたのは、半透明でプルプルした水色の球体。
異世界ファンタジーの超定番、お馴染みの雑魚キャラであるスライムだった。
「うおっ、生スライム!?」
突然の遭遇に、中身が一般人の俺は一瞬だけビビって後ろに飛び退いた。
けれど、すぐにハッと我に返る。
よく考えたら、俺は今異世界にいるんだ。
おまけにここは、どう見てもファンタジーな世界。
(ってことはさ……もしかしたら俺、定番の【魔法】とか今使えるんじゃねえか?)
そう思った。
いや……今となっては、そう思ったことがいけなかったのだ。
一般的な初期主人公のように、格好良く『ファイアボール!』とか唱えてみようと、俺は白いロボットの右腕をスライムに向けた。 しかし、唱えた瞬間、俺の脳裏に最悪の記憶を思い出してしまった。
(……待てよ。そういえばあのゲーム、初級魔法でもステータスを極限まで強くすれば、山一つ簡単に消し飛ぶ仕様があったっけ……。今の俺のステータスって、確か完ストしてて……)
「――あ、やべ!」
気づいた時には、もう手遅れだった。
俺の白いロボットの右腕から放たれたのは、手のひらサイズの可愛い火球なんかじゃ断じてなかった。
それはおぞましい轟音と共に、視界のすべてを真っ赤に染め上げる巨大なプロミネンス(太陽フレア)となって解き放たれたのだ。
放たれた業火は、一直線に草原を突き進む。
一瞬。本当に一瞬で、目の前の景色が長さ4キロメートルに及ぶ広大な【火の道】へと化してしまった。
もちろん、目の前にいたはずのスライムは、蒸発したことすら気づかないレベルで影も形も残っていない。
あまりの熱量に大気が歪み、ガシャガシャと音を立てる俺の装甲に熱風が吹き付ける。
「てかさー!! 草原いくら何でも広すぎちゃうか!? まあ、人の被害がなくて本当によかったけどさあ!!」
誰もいない、いや、すべてが焼き尽くされて誰もいなくなった焦土の真ん中で。
明らかに終わってる最強ロボット(中身は一般人)の絶叫が、虚しく響き渡るのだった。




