三話 ステータス確認 (魔法使って思ったこと、多分詳しくステータス確認しないとこの世界滅亡するかもしれん)
とりあえず、一旦落ち着こう。
俺―アロは、まだ煙が立ち上る長さ4キロメートルの焦土を前に、深く、深く(ロボットだから形だけだけど)ため息をついた。
「いや、落ち着いてる場合じゃないって……。このまま初級魔法でも気軽に使ったら、、絶対に世界がチリになる」
何せ中身は一般人の会社員だ。
世界滅亡のトリガーを引いた破壊兵器として歴史に名を残したくはない。
「これ、マジでちゃんと確認しないとヤバい。ふざけて他の魔法とか使ったら、この世界ごと滅亡するかもしれん……」
俺はガシャガシャと鋼鉄の腕を動かし、おそるおそる頭の中で念じた。
『ス、ステータスオープン!』
噛みそうなのを必死に堪えて、頭の中で(ちょっと情けない声で)叫んだ。
ピコン、と軽快なシステム音と共に視界に現れたのは、MMORPG『ユニバース・オンライン』で俺が血と汗と涙(と多額の課金)を流して極め尽くした、文字通りのバグレベルの数値の数々だった。
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【プレイヤー名】アロ
【種族】機動変幻兵器
【LV】999(カウンターストップ)
【HP】999,999 / 999,999 【MP】999,999 / 999,999
【攻撃力】99,999
【防御力】99,999(物理無効)
【魔 力】99,999
【素早さ】99,999
【特性】ディファレント・モード(形態変化システム)
【初級魔法】
『ファイアーボール・改』『サンダーボルト・改』『ウォーターボール・改』
『ストーンバレット・改』『ヒール・改』
【固有装備(変更不可)】
・星割りの一撃
・次元格納庫(インベントリ:容量無限)
【所持金】
・0カンス(この世界)
・9,999,999ゴード(ゲーム通貨)
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「……おいおいおいおい、ちょっと待て」
画面をスクロールした俺のバイザー(目元)が、さっきとは違う意味で激しく引きつった。
魔力99999というアホみたいな数字の下にちょこんと並ぶ初級魔法。
ファイアーボールであの威力(4kmの火の道)だったのだから、他の魔法のヤバさは想像に難くない。
俺は並んだ魔法のアイコンを見つめながら、その効果を脳内でシミュレーションしてみた。
「えーと、『改』は確か鍛え上げて出てくるんだよな、で、サンダーボルトは絶対に危ないで、ウォーターボールは大津波災害でストーンバレットは国を投げるみたいなもんか、、、、終わってるやんか」
小さな石の弾丸を飛ばすはずのストーンバレットが、俺がゲーム時代に極限まで鍛え上げた【・改】の仕 様と、カンスト魔力のせいで大陸規模の質量兵器(国そのもの)を投擲する大天変地異に化けている。
終わっている。この世界のパワーバランスが完全に終わっている。
さらに追い打ちをかけるように、その下にはマジで星をチリにしそうな惑星破壊兵器『星割りの一撃』。
おまけに、この世界のお金は『0』なのにゲーム通貨の『ゴード』だけ9999999のカンスト状態で残っているという、最強の無一文状態。
これらゲームの全財産と、カンストした破壊スペックの全てが、一切薄まることなくそのままこの異世界に反映されていた。
「これ、後々もし誰かにステータスを見せるような展開になったら、その瞬間に俺、人類の敵として倒されるんじゃねえの……?」
物理攻撃が一切効かない防御力はありがたいが、このアホみたいな全開ステータスは絶対に他人にバレてはいけない。というか、それ以前に宿代すら払えない。
「よ~し、ステータスは絶対に隠そう! 誰かに見せる時は偽装するとして……まずは街に行って、この『ゴード』の使い道を探すか、なんとかして安全に日銭を稼ぐ方法を考えないとマジでヤバい!」
俺は冷や汗が流れるような錯覚を覚えながら、大慌てでステータス画面を閉じたのだった。




