1話 転移 (せめて違う方法で転移したかった…)
それは突然のことだった……みたいな、お決まりのテンプレ前置きは省きます。
題名通り、なんで俺が異世界にきちゃったかと言いますと。
時は西暦4014年。
俺は普通に会社員の仕事をやって、普通に家に帰って、普通にご飯を食べて。
そして、ゲームしてる時にちょっと瞬きをしたんですよ。
そしたら。
『MMORPGユニバース・オンライン』っていう、自分が趣味でやってたゲームのアバターになって、見知らぬ草原に立っていたんですよ!
あ、転生じゃなくて『転移』ね。
危ない危ない、草に転生するなんてまっぴらごめんですよ!!
……まぁ、そんな軽口を叩いてますけど。
現実を受け入れるまでに、だいたい1時間くらいは現地でパニックになってたんですけどね 「落ち着け、落ち着け俺……。まずは状況整理だ」
深呼吸をしようとして、ふと自分の『手』が視界に入った。
「……は?」
そこにあったのは、見慣れた人間の皮膚ではなかった。
鈍い光沢を放つ、洗練された白い装甲。
その隙間を走る、鮮やかな水色と緑色のエネルド 近未来感バリバリの、どう見ても鋼鉄のロボットの腕だった。
「これ、俺が『ユニバース・オンライン』で作った自作アバターじゃん!?」
慌てて自分の顔や身体を触ってみるが、生身の感触はいっさい無い。触覚はあるのに、完全にマシーンのそれだ。
頭の中で『ステータスオープン』と念じてみると、視界にピコンッと見慣れた半透明の画面がポップアップした。
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【プレイヤー名】アロ
【種族】機動変幻兵器
【特性】ディファレント・モード(形態変化システム)
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「名前もゲームのまんま、アロになってやがる……!」
白、水色、緑。
我ながら最高にクールだと思ってデザインした、俺だけの最強アバター。
それが今、異世界の草原で、俺の肉体そのものになっていた。
しかも、画面に表示されているステータス数値は、ゲームのサービス終了時に極め尽くした『カンスト状態(999レベ)』のままで――。
「これ、せめて人間形態とか無いの!?
このゴツい機体のまま、どうやって異世界生活送ればいいんだよーーーっ!」
周囲に誰もいない草原に、アロ(中身は普通の会社員?)の絶叫が虚しく響き渡るのだった




