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髪色が増えるたびに最強になる魔王軍 〜不吉な黒髪と見捨てられた元皇子、12星座の絆を結んで世界を極彩色に塗り替える〜  作者: S@Y@


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第9話:牡牛座のシンクロ

バキィィィィィンッ!!!!


大森林の空気が悲鳴を上げるような、凄まじい衝撃音が炸裂した。

俺の拳と、ゴルドの巨大な拳が真っ正面から激突する。


生身の人間とミノタウロス族。常識で考えれば、人間の腕が消し飛んで終わるはずの勝負。


だが、衝撃に耐えかねてズルズルと後ろへ弾き飛ばされたのは──ゴルドの巨躯の方だった。


「が……はっ……あ、あり得ん……っ!」


ゴルドは抉れた地面に膝を突き、激しく痺れる自分の右腕を見つめて呆然としていた。


骨こそ折れていないものの、筋肉が完全に麻痺してピクリとも動かない。純粋な『力比べ』で、人間の少年に完全に力負けしたのだ。


「状況把握。あんたの拳、優しすぎるんだよ」


俺は突き出した右拳をゆっくりと下ろし、ものぐさそうに息を吐いた。


「ただの暴力ならもっと鋭いはずだ。だけどあんたの拳は、背後にいる仲間を傷つけまいと、守ることばかりに意識がいってる。……そんなに一人で全部背負い込むなよ。長だからって、限界はあるだろ」

「貴様、に……一族の行く末を案じる、俺の何が分かるというのだ……っ!」


ゴルドが悔しげに歯噛みする。

彼の言う通り、彼らの集落は限界だった。度重なる魔物の襲撃で防壁はボロボロ、明日の食料すら危うい。誇り高きミノタウロス族が、人間の小倅に負けたこと以上に、仲間を救えない己の無力さに、彼は絶望していた。


「分かるよ。理不尽に追われて、大切な居場所を奪われかける悔しさくらいな」


俺は膝を突くゴルドの前に歩み寄り、その視線と同じ高さまで腰を落とした。


「一人で守れないなら、俺の力を貸してやるって言ってるんだ。あんたの誇りも、あんたの仲間も、俺がまとめて丸ごと背負ってやる。……だから、お前のその『志』、俺に預けろ」


シリウスは静かに、けれど圧倒的な器の大きさを持って、ゴルドに向かって真っ直ぐに手を差し伸べた。


ゴルドはその手をじっと見つめる。


人間の差し出す手。いつもなら拒絶するはずの手。だが、目の前の少年からは、人間特有の下卑た欲望も、自分たちを侮蔑する視線も一切感じられなかった。あるのは、大地のように揺るぎない、圧倒的な強さと包容力だけだ。


(この少年なら……いや、この王ならば、本当に……!)


ゴルドの胸の奥底で、限界を迎えていた絶望が、爆発的な『志』へと昇華する。


一族を救いたい。この理不尽な運命を、この男と共にひっくり返したい──!


「……ハ、ハハ。まさか、この歳になって、人間のガキを『王』と仰ぐことになるとはな……!」


ゴルドが覚悟を決めた笑顔を浮かべ、シリウスの手をガチリと力強く握り返した。

その、瞬間──。


【──ユニークスキル『星辰の覇道ステラ・ロード』、第二星痕のシンクロを検知。個体名:ゴルドとの『志のシンクロ』を確認しました──】


再び、脳内にあの厳かな声が響き渡る。


「うお、おおおっ……!? なんだ、この内側から湧き上がる力は……っ!?」


ゴルドが驚愕の声をあげる。


彼の岩石のような分厚い**【胸元デコルテ】の肌に、目も眩むような黄金の光が走り、星々の軌跡が刻まれていく。それは、天に輝く『牡牛座タウロスの紋様(星痕)』**だった。


同時に、シリウスの長い黒髪が、内側からの波動でふわりと浮き上がる。


「あ……っ! シリウス様、また髪の毛が……っ!」


後ろで見守っていたフェリスが、嬉しそうに声をあげた。


シリウスが自分の前髪を指先で掴む。


サクラピンクのメッシュが灯っていた、あの完全な黒髪。そのさらに**【内側インナー】へ、地岩を黄金に染めるような、鮮烈で気高い『ゴールドの光のメッシュ』**が、スッと新しく一条、鮮やかに灯った。


【──第二星痕・牡牛座タウロスが覚醒。個体名:ゴルドに神格能力『神域の建築術タウロス・ビルド』を授与。同時に、マスターへの基礎身体能力バフが上乗せ(スタック)されます──】


ドクン、とシリウスの心臓が波打つ。


ピンクに加えて、ゴールドのバフが重ね掛けされた。肉体の出力が、さらに爆発的に引き上げられ、全身の細胞が歓喜に震える。


「髪色が二色……。なるほど、仲間が増えるたびに、俺はどこまでも強くなるってわけか」


シリウスは、黒髪の内側で輝くピンクとゴールドの極彩色の光を見つめ、不敵に笑った。


「これより俺は、貴殿の配下……いや、俺たちの魔王様の『盾』となり、最高の『城』を築く大槌となりましょう!」


ゴルドがその場に深く平伏する。

絶対防御のフェリスに続き、最強のビルダー・ゴルドが仲間に加わった。


極彩色の魔王軍による、最初の拠点ビルド劇が、いよいよここから幕を開ける。

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