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髪色が増えるたびに最強になる魔王軍 〜不吉な黒髪と見捨てられた元皇子、12星座の絆を結んで世界を極彩色に塗り替える〜  作者: S@Y@


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第10話:神域のビルド

「お、おい……長が人間に平伏しているぞ……!?」

「一体何が起きたんだ……!?」


豊穣の泉の周囲にある鬱蒼とした茂みから、おずおずと姿を現したのは、十数人のミノタウロス族の民たちだった。


皆、度重なる外敵の襲撃で疲弊し、怯えた表情を浮かべている。


「皆、怯えるな! この御方はシリウス様。我が一族に新たな希望をもたらしてくださる、俺たちの『王』だ!」


ゴルドが立ち上がり、地響きのような大声で民たちに告げた。


その胸元には、今もなお気高い黄金の光を放つ『牡牛座アリエスの星痕』が刻まれている。


民たちは戸惑いながらも、長であるゴルドがこれほどまでに心酔するシリウスの姿を、畏怖の念を込めて見つめていた。


「状況把握。……なるほど、集落の防壁はもう完全に形を失ってるな」


俺は周囲をぐるりと見渡した。

集落を囲むように設置されていた丸太の柵は、何らかの爪痕や打撃によって粉々に破壊され、これでは野生の魔物の侵入すら防げない。彼らが限界を迎えていたというのも納得だった。


「面目次第もございません、魔王様。まともな工具も資材もなく、これでは次の襲撃を防ぐのは不可能かと……」


ゴルドが悔しげに頭を垂れる。


「いや、問題ない。ゴルド、あんたに宿った『その力』を使えば、資材なんてそこら中に転がってる」

「俺の、力……?」


ゴルドが自身の大きな手を見つめ、小首を傾げた。


「頭の中に使い方が流れてきてるだろ。あんたのその大槌を、地面に叩きつけてみろ。集落の完成図を頭に思い描きながらな」

「は、はっ……! やってみます!」


ゴルドはごくりと唾を飲み込むと、投げ出していた巨大な戦槌バトルハンマーを再び両手で固く握りしめた。


そして、かつてないほど集中した面持ちで目を閉じ、壊滅した集落が『完璧な要塞』へと生まれ変わるイメージを脳内に描く。


「おおおおおっ……! 穿て、我が大槌タウロスッ!!」


ゴルドが目を見開き、咆哮とともに戦槌を地面へと激しく叩きつけた。


ズドォォォォォォンッ!!!!


一撃の衝撃波が大地を駆け抜ける。


次の瞬間、集落全体が目も眩むような黄金の光に包まれた。


「ひゃっ……!?」

「う、うわああああっ! 地面が、木々が動いているぞ……っ!?」


フェリスやミノタウロス族の民たちが驚愕の悲鳴をあげる。


世界の理を無視した『神域の建築術タウロス・ビルド』の発動だった。


大森林の地面から、巨大な岩石がまるで生き物のようにニョキニョキと突き出し、瞬く間に集落の周囲を囲む強固な【石壁】へと変形していく。


さらに、バラバラに転がっていた壊れた丸太や資材が、意思を持ったかのように宙を舞い、寸分の狂いもなく組み合わさって、頑丈な【見張り台】や【防衛用の逆茂木】へと再構成されていった。


ほんの数十秒前まで、いつ滅びてもおかしくなかったボロボロの集落。

それが今、人間の帝国の防塞すら凌駕するほどの、圧倒的な【天然の要塞都市】へと一瞬にして変貌を遂げたのだ。


「な……なんだ、これは……。俺は、ただ大槌を振るっただけなのに……」


ゴルドが自分の手と、完成したばかりの美しい石壁を交互に見て、愕然と震えていた。


「これが、あんたの『志』が形にした力だ。ミノタウロス族のパワーと誇りが具現化した、最強の建築術さ」


俺はものぐさそうに笑いながら、新しく出来上がった見張り台を見上げた。


「すごいです、シリウス様! ゴルドさん! これなら、どんな魔物が来ても絶対に大丈夫です!」


フェリスがサクラピンクの髪を弾ませ、ピョンピョンと飛び跳ねて大喜びしている。

ミノタウロス族の民たちも、目の前で起きた奇跡に涙を流し、一斉にその場に跪いた。


「魔王様万歳!」「シリウス様万歳!」と、大森林の奥深くに歓喜の嵐が巻き起こる。


「さて、状況把握。最高の拠点(家)ができた。……だけど、これだけ派手な光を放ったんだ。大森林の近隣にいる『厄介な連中』にも、俺たちの存在がバレただろうな」


俺は自分の黒髪を弄る。


その内側で優しく輝く、サクラピンクとゴールドの二色のインナーカラー。


仲間が増え、拠点ができる。


それに伴い、世界は俺たちを放ってはおかなくなっていく。


「ふん、上等だ。来るなら誰が相手だろうと、この極彩色の力で叩き潰してやるさ」


俺たちの「国造り」は、ここから爆発的な加速を見せることになる。

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