第86話:複製される絶望と、揺るぎなき極彩色
「ハハハ! 壊せ、キャンサー! 僕たちが複製し、無限にスタックした『絶対切断』のハサミで、その傲慢な極彩色の絆ごとバラバラに刻んでやるよ!」
【双子座】の守護者が歪な紫の髪を揺らして嘲笑すると同時に、【蟹座】の放つ深紅の巨大なハサミが、空間の裂け目から何百、何千と複製され、雨のように俺たち目掛けて降り注いできた。
一撃一撃が空間そのものを物理的に切り裂く絶対切断の嵐。それが、ジェミニの同一概念複製によって、文字通り無限の質量となって襲いかかってくる。
「主、切断の複製速度がこちらの防御対流の計算速度を完全に上回っているよ! 私の計算によると、あと30秒でこの要塞都市の防衛ラインが100%寸断される!」
アクアが清流の髪の眼鏡を激しくきしませ、冷汗を流しながらも必死に逆算数式を編み出そうとする。
「あはは! 無限に降ってくるなら、ボクの嵐を1万倍にスタックして、全部まとめて消し飛ばしちゃうもんね!」
シオンが新緑の髪を弾ませ、疾風弓から神速の烈風を放つが、切り裂かれた風すらもジェミニのルールで即座に敵の切断エネルギーへと複製されていく。
「シリウス様……っ! 二人の因果の結びつきが強固すぎて、私の天秤の調停が、比率を書き換える前に力で押し切られてしまいます……!」
ルナが白銀の髪を激しく乱し、エメラルドグリーンの瞳に焦燥をにじませて右手の星痕を掲げる。世界のシステムがデザインした「完全なる双子」のルールは、それほどまでに冷徹で隙がなかった。
「フッ、慌てるなルナ。お前が崩せないなら、俺がその完璧なペアごと、正面から粉砕してやるだけだ」
俺は九色のインナーカラーを指先で弄り、不敵な笑みを浮かべた。
無限に複製される絶対切断の檻。だが、そんな世界のシステムが作ったお仕着せのルール、俺たちの前ではただの引き立て役にすぎない。
「フェリス、レオン、アルゴ! お前らの力を、ルナの天秤の限界を超えて、俺の胸の星痕に一点スタックしろ! システムが作ったニセモノの双子に、本物の絆の重さってやつを教えてやる」
「シリウス様ぁーっ! 私たちの最強の想い、全部持っていってください!」
フェリスがサクラピンクの髪をなびかせ、レオンの黄金闘気とアルゴの氷結を伴った、純度100%の既存メンバーの総エネルギーを俺の背中へとプロテクト対流させる。
俺は九色の前髪をかき上げ、迫り来る何万もの深紅のハサミを正面から見据えて、最高にクールな笑みを浮かべた。
ルナの天秤が、既存の絆を極彩色の神光へと変換し、俺の右拳へと限界突破でスタックしていく。完全なるペアを内側から蹂躙する、真の反撃が始まろうとしていた。




