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黒髪は星を集める〜追放皇子と十二星座の仲間たち〜  作者: S@Y@


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第71話:黒鉄の城門と、完全なる無力化


数千の最前線部隊と魔導兵器を文字通り一瞬で蹂躙された帝国軍は、国境線の砦を捨て、命からがら『黒鉄の要塞都市』の本城へと逃げ込んでいた。

目の前にそびえ立つのは、あらゆる物理衝撃と魔導砲撃を無効化する特殊合金で作られた、高さ数十メートルの超巨大な城門。


「ハ、ハハハ! ここまで来ればもう安全だ! この黒鉄の城門は、かつて神話の巨獣が激突しても傷一つ付かなかった絶対不落の盾! 貴様らのような有象無象が何百万人集まろうとも、絶対に突破できんわ!」


城壁の上から、先ほど逃げ出した将軍が負け惜しみのように叫ぶ。

確かにその門から放たれる防衛魔力の密度は、これまでの砦とは比べものにならないほど重厚だった。


「フッ、不落の盾ねぇ。お前ら帝国は、本当にその『絶対』とかいう言葉が好きだな」


俺は九色のインナーカラーを指先で弄り、不敵な笑みを浮かべながら城門を見上げた。


マスター、私の知恵……いや、私の計算によると、あの門の防衛魔力は、都市内部の魔導炉から供給されるエネルギーの比率によって維持されているよ。つまり、そのパワーバランスさえ崩してしまえば、ただの巨大な鉄屑にすぎないね」

アクアが清流アクアブルーの髪の眼鏡を美しく押し上げ、手元の図面を指し示した。


「それなら、ボクの出番だね! ルナちゃん、あの門の『絶対防御』のルール、ボクたちに都合よくひっくり返しちゃって!」

シオンが新緑ミントグリーンの髪を弾ませ、疾風弓を限界まで引き絞る。


「はい! 【天秤座ライブラ】──天秤の傾きを、こちらへ!」

ルナが白銀シルキーホワイトの髪をなびかせ、エメラルドグリーンの瞳を鋭く光らせた。右手の甲の星痕が神聖な光を放つと、城門を覆っていた特殊合金の「絶対防御ルール」と、シオンが放とうとしている「風の破壊エネルギー」の比率が、因果を無視して強制的に逆転していく。


「な、何だと……!? 城門の防衛魔力対流が、一瞬でゼロに……!? 逆に、あの小娘の風の質量が、あり得ない数値までスタックされていくぞ……っ!?」

城壁の上の将軍が、計器の数値を二度見して絶叫する。


「──吹き飛んじゃえ! 嵐神の絶矢ストーム・バスター!!」


シオンの手から放たれた一筋の風の矢は、ルナの天秤によって概念ごと書き換えられ、城門の防御力を完全に無力化した状態で直撃した。


ズガガガガガガァァァァァァンッ!!!!


神話の巨獣すら傷つけられなかったという黒鉄の城門が、まるで薄い紙切れのように中心から真っ二つに裂け、轟音を立てて崩壊していく。


「ひ、ひぃぃぃぃっ!? 帝国の誇りが……一撃で……っ!」


「だから言っただろ。俺たちの前で、お前らの『絶対』なんてルールは通用しねぇ」


俺は九色の前髪をかき上げ、最高にクールな笑みを浮かべながら、砂煙を上げて崩れ去る城門の破片を踏み越えた。

結界も、数も、そして鉄壁の防御すらも、ルナの天秤と既存の身内たちの絆の前にはただの児戯。極彩色の魔王軍は、ついに帝国の重要拠点の心臓部へと足を踏み入れた。


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