第69話:進撃の号令と、黒鉄への道
「──よし、お前ら。これより我が極彩色の魔王軍は、帝国の『黒鉄の要塞都市』へと進軍する!」
俺の号令が要塞都市の玉座の間に響き渡ると、並び立つ身内たちの視線が一斉に俺へと集中した。その誰もが、恐れなど微塵も抱いていない、絶対の勝利を確信した最強の覇王の瞳だ。
「フッ、いよいよこちらからの蹂躙ですね。我が主の御心のままに、この黄金の闘気で敵の防衛線をすべて噛み砕いてみせましょう」
レオンが黄金の髪を揺らし、オッズアイの瞳を獰猛にギラつかせながら不敵に笑う。
「あはは! 待ってました! ボクの風なら、黒鉄の壁だろうが何だろうが、紙切れみたいに引き裂いて通り道を作れるよ!」
シオンが新緑の髪を軽快に弾ませ、疾風弓を肩に担いでウインクした。
「私の計算によると、今回の進軍ルートにおける敵の迎撃確率は100%。ですが、現在の私たちの対流効率をもってすれば、その全てが『我が軍の経験値』へと変換される計算になるね。実によいエネルギー効率だ」
清流の髪の眼鏡を美しく押し上げ、アクアが図面に完璧な侵攻数式を書き込んでいく。
「シリウス様、長旅になりますから、移動中のお食事や携帯用の回復ハーブスープの仕込みはすべて私にお任せください! ルナちゃんのお腹もしっかり満たしてみせます!」
フェリスがサクラピンクの髪をなびかせ、やる気満々といった様子で拳を握りしめた。
既存メンバーたちの頼もしすぎる言葉に、俺の隣に立つルナが、白銀の髪を揺らしながらエメラルドグリーンの瞳を丸くしていた。これほど巨大な帝国を相手に、これっぽっちの悲壮感もなく、むしろ楽しそうに牙を研ぐ彼らの姿は、やはり彼女のこれまでの常識を遥かに超越しているのだろう。
「ルナ。お前が俺たちを信じて、その天秤を重ねてくれたんだ。帝国がどれほどの鉄屑を集めて待ち構えていようが、お前が怯えるような要素は一つもねぇ」
俺は九色のインナーカラーを指先で弄り、不敵な笑みを浮かべた。
「はい……! シリウス様。みなさんの背中を見ていると、本当に不思議と、何も怖くなくなります……。私の【天秤座】の調停、いつでもお使いください!」
ルナが右手の甲の星痕を誇らしげに輝かせ、今度はハッキリと力強い笑顔を見せた。
「おうよ。他人のルールに縛られる時代は終わった。これからは、俺たちが世界のルールを書き換える番だ」
俺は九色の前髪をかき上げ、最高にクールな笑みを浮かべてマントを翻した。
新たなる星の少女ルナを加え、既存メンバーの能力すらも次元を超えてスタックされた極彩色の魔王軍。黒鉄の要塞に蠢く帝国の野望を根底から踏み潰すため、俺たちは堂々たる進撃を開始した。




