第64話:始まりの祝宴と、揺るぎなき絆
要塞都市へと帰還した俺たちを待っていたのは、夜の帳を照らす色とりどりの魔導灯と、街じゅうに広がる香ばしい匂いだった。
ルナの歓迎会──いや、彼女が本当の意味で俺たちの身内となったことを祝う宴が、今まさに始まろうとしていた。
「さあルナちゃん、お待たせしました! 旅の疲れも心の傷も、全部綺麗に消し去っちゃう特製のフルコースです!」
フェリスがサクラピンクの髪を嬉しそうに揺らしながら、大皿に盛られた色鮮やかな料理を次々とテーブルへ並べていく。
並んだのは、じっくり煮込まれた大ぶりの肉料理や、新鮮な野菜をふんだんに使った特製スープ。どれもフェリスの聖なる魔力がスタックされた、一級品の回復効果を持つ絶品ばかりだ。
「わぁ……! すごい、こんなに綺麗で温かいお料理、生まれて初めて見ました……」
ルナはエメラルドグリーンの瞳を輝かせ、白銀の髪を少し揺らしながら、おずおずとスプーンを手にする。
一口食べた瞬間、その表情がパッと華やかに綻んだ。これまでに帝国で受けてきた冷遇や、実験体としての孤独な日々を、フェリスの料理が文字通り優しく浄化していく。
「あはは! 美味しいでしょ? これから毎日これが食べられるんだから、ルナは果実なんかで飢えをしのぐ必要はもうないんだよ!」
シオンが新緑の髪を弾ませ、自分のことのように胸を張る。
「フフ、実によい光景だ。ルナが私たちの輪に加わったことで、要塞都市全体のエネルギー効率は私の計算を上回る上昇値を叩き出している。君の【天秤座】の調停能力、今後が実に楽しみだね」
アクアが清流の髪の眼鏡を押し上げ、ワイングラスを傾けながら満足げに微笑んだ。
「お前ら、主役をあんまり質問攻めにしてビビらせるなよ」
俺は九色のインナーカラーを指先で弄りながら、不敵な笑みを浮かべてルナの隣に腰掛けた。
「ルナ。お前が俺たちに志を共にしてくれた以上、帝国だろうが世界の理だろうが、お前の天秤を歪めようとする悪意は俺がそのすべてを正面から蹂躙してやる。だからこれからは、何も恐れず、ただ前だけを見て笑っていろ」
俺は九色の前髪をかき上げ、最高にクールな笑みをルナに向けた。
ルナは胸元でぎゅっと両手を握りしめ、溢れそうになる嬉し涙を堪えながら、力強く深く頷いた。
「はい……! シリウス様。私、この天秤の力を、あなたたちの温かい絆を護るために捧げます……っ!」
新しく仲間を増やす必要などなかった俺たちだが、こうして志を同じくしたルナの存在は、既存の最強メンバーたちをさらなる高みへと導く最高の触媒となる。
極彩色の魔王軍に死角なし。新たな星の輝きを得た俺たちの進撃は、いよいよ帝国を根底から揺るがす戦いへと突き進んでいく。




