第62話:絶対因果の打破と、極彩色の蹂躙
「な、何者だ……!? 帝国の絶対結界の中に、なぜこれほどのエネルギーが立ち入ることができるッ!?」
爆煙の中から現れた俺の姿を見て、帝国の指揮官が驚愕に顔を歪ませる。
周囲に張り巡らされた紫色の『絶対因果の呪界結界』は、触れた異能の法則を強制固定し、無力化するはずのもの。だが、俺の身体に宿る極彩色の神光は、衰えるどころかますます激しくバチバチと空間をきしませていた。
「フッ、お前らの結界が縛れるのは『人間の魔力や異能』のルールまでだろ。あいにく、俺の胸に宿る星の概念には、そんなチャチな法則は通用しねぇんだわ」
俺は九色のインナーカラーを指先で弄り、不敵な笑みを浮かべた。
俺自身は無魔力。だからこそ、この結界の「能力を縛る」という概念そのものに引っかからない。さらに、結界の外にいる最強の既存メンバーたちが、俺の星痕へ向けて最大出力のエネルギーをダイレクトに注ぎ込み、スタックし続けている。
「シリウス様! その薄汚い紫の結界ごと、一気に吹き飛ばしちゃってください!」
結界の外から、サクラピンクの髪を激しくなびかせたフェリスの声が響く。彼女が放つ聖なる魔力と、アルゴ、レオン、シオン、ゴルドたちの全エネルギーが、俺の器の中で純度100%の星の力へと変換されていく。
「バ、バカな……! 奴一人に、これほどの質量を超えるエネルギーが集中するなど、人間の肉体が耐えられるはずが――」
「だから言っただろ。俺たちは今いる身内だけで『最強』なんだよ」
俺は九色の前髪をかき上げ、最高にクールな笑みを浮かべた。
絶望に目を見開くルナの目の前で、俺は極彩色の神光を宿した右拳を、大地の中心へと叩きつけた。
ズガァァァァァァァァァァンッ!!!!
人間の次元を遥かに超越した星のエネルギーが爆発的に炸裂し、周囲の空間を縛っていた紫色の結界が、ガラスのように粉々に砕け散る。
結界の破壊と同時に、ルナの右手の甲に刻まれた紋章の濁りが綺麗に消え去り、白銀の神聖な光が本来の輝きを取り戻した。
「あ……私の、力が……戻って……?」
ルナがエメラルドグリーンの瞳を見開いて自身の裏を見つめる。
「フッ、お前の力を利用するためじゃねぇ。お前自身を助けるために、俺たちはここに来たんだ。……さあ、既存の身内たちのお披露目といこうじゃねぇか。おいお前ら、残ったスクラップどもを正面から蹂躙するぞ!」
「「「おう!!!(はいっ!)」」」
結界が晴れた戦場に、黄金のレオン、新緑のシオン、深藍のアルゴたち既存メンバーが不敵な笑みを浮かべて躍り出る。
自分を助けるためだけに、帝国の絶対的な軍勢を文字通り「蹂躙」し始める規格外の魔王軍の姿を、ルナはただただ呆然と、しかし、これまでにない衝撃と共に目撃していた。




