第46話:万年氷晶の防壁と、極彩色の総力戦
地平線を埋め尽くすほどの凄まじい砂嵐を巻き上げ、全長数百メートルに及ぶ古の大型魔獣──【砂喰神龍】が、その狂暴な無数の牙を剥き出しにして突撃してくる。
大自然の災厄そのものと言える巨躯が地を這うたび、大地が激しく波打った。
「状況分析。――敵の突進速度、さらに上昇! このままでは激突の衝撃だけで、要塞の全域が崩壊します!」
レオンが黄金の髪を激しく揺らし、オッズアイの瞳を鋭く光らせて叫ぶ。
「フン、まともに動けねぇなら、力任せに正面からブチ砕くだけだ。アルゴ、ゴルド、お前らの耐久を城壁にスタックさせろ!」
俺は八色の前髪をかき上げ、不敵に口元を歪めた。
「応よ! 魔王様、俺の金剛の闘気、全部持っていきなされッ!!」
「我が主、我が『忍耐』の氷、これより要塞の絶対の盾と成そう」
ゴルドの剛力バフと、アルゴの『氷結の絶対時間』の概念が、俺の『状況把握』を介して要塞の外壁へと一気に重ね掛け(スタック)される。
刹那、ただの巨石の連なりだった城壁が、神々しいまでの光を放つ**【万年氷晶の城壁】**へと変貌した。
ズガァァァァァァァァンッ!!!!!
地響きと共に、砂喰神龍の巨頭が城壁へと正面から激突した。
凄まじい衝撃波が周囲の砂を吹き飛ばすが、剛力と絶対零度の概念を宿した城壁は、ミシリとも言わない。それどころか、激突した魔獣の頭部から、アルゴの凍結魔力が急速に侵食し、その動きを強制的に停止させた。
砂喰神龍が苦悶の声を上げるように巨躯をのたうち回らせる。
「状況把握。――よし、足止めは完璧だわ。おいお前ら、ここからは一歩も引かずに、既存メンバーの格の違いって奴を刻み込むぞ。一斉に叩き潰せ!」
俺の合図と共に、身内たちの圧倒的な反撃が始まった。
「あはは! 僕の風は、砂漠の砂すらもすべて味方にするよ! 喰らえ、神速の砂嵐刃!」
シオンの新緑の髪が激しく弾け、魔獣の動きを封じるように、周囲の砂を巻き込んだ無数の烈風の刃が巨躯を切り刻む。
「ふふ、じゃあ私はその傷口に、極上の『神罰の毒熱』を流し込んであげるわ。内側からドロドロに融解しなさい!」
サシャの紫色の髪が妖艶に膨れ上がり、魔獣の巨躯の傷口から、猛烈な紫の毒炎が内側へと染み込んでいく。
「ギガガガガッ……!!!」
大自然の災厄と呼ばれた巨獣が、見たこともない極彩色の連携を前に、完全に圧倒され、悲鳴を上げながらもがく。
「トドメだ、カイン! 俺の神速をスタックして、その大鋏で一気に空間ごとチョキンとやってこい!」
「フン、我が主の仰せのままに。――すべてを等しく、切り裂くだけさ」
カインが深紅の髪を激しく逆立て、俺から受け取った『縮地』の神速バフと共に、一瞬で魔獣の脳首へと跳躍した。
その手にある絶対破壊の大鋏が、七色の神気をまとって巨大な光の刃へと膨れ上がる。
サクッ、と。
空間そのものを切り取るような静かな音が響いた。
次の瞬間、全長数百メートルの砂喰神龍の巨躯が、頭部から綺麗に真っ二つに両断され、莫大な魔力の粒子へと霧散していった。
「状況把握。――開戦からわずか数分だな。お前ら、いい連携だったわ」
俺は八色のインナーカラーを弄りながら、不敵にニヤリと笑った。
「シリウス様、凄いです! 誰も怪我をせずに、あの巨大な魔獣を倒してしまうなんて……!」
フェリスがサクラピンクの髪を揺らし、満面の笑みで駆け寄ってくる。
人間の軍勢だけでなく、大自然の災厄すらも圧倒的な精度で蹂躙し、守り抜いた極彩色の魔導要塞都市。
この既存メンバーの圧倒的な強さと、更なる進化を遂げた要塞を土台に、極彩色の魔王軍の進撃は、いよいよその知略の渦巻く大砂海の奥地へと向けられる。




