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髪色が増えるたびに最強になる魔王軍 〜不吉な黒髪と見捨てられた元皇子、12星座の絆を結んで世界を極彩色に塗り替える〜  作者: S@Y@


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第25話:蟹座の覚醒と、鉄の抱擁


キンィィィィィンッ!!!!


火花が激しく飛び散り、戦場に耳を突き刺すような金属音が響き渡る。

カインが渾身の力で振り下ろした巨大な【双刃の大鋏】の刃──それを、俺は避けることもせず、強化された素手の右手だけで真っ正面からガシィィィッ! と掴み止めていた。


「な、何……っ!? 僕の、すべてを断ち切るはずの刃を……素手で、受け止めるなんて……っ」


カインが深紅の髪を激しく揺らし、オッズアイの目を驚愕に見開く。

どれだけ力を込めようとも、俺の掌は微動だにしない。アリエス、タウロス、スコーピウス、ジェミニの四つのバフがスタックされた今の俺の肉体は、神の兵器であっても傷つけることは不可能な領域にある。


「状況把握。──良い一撃だった。けどな、カイン。お前のその鋏は、誰かを拒絶するためじゃなくて、理不尽な運命を『切り開くため』にあるんじゃないのか?」


「くっ、うるさい……うるさいッ! 僕に触れるな、僕を憐れむなッ! 仲間を、居場所をすべて奪われた僕に……これ以上、何を信じろって言うんだッ!!」


カインの瞳から、悔しさと孤独の涙が溢れ落ちる。

他者を一切信じられなくなるほどの裏切りと絶望。それでもなお一人で戦い続けようとする、硬く冷たい甲殻からのような『志』。


「だったら、俺を信じろ。お前のその重すぎる過去も誇りも、俺が丸ごと背負ってやる。──だから、もう一人で震えてるんじゃねぇ」


俺は掴んでいた大鋏をそのまま引き寄せ、ボロボロの身体の彼を、力強く、けれど優しくその胸へと抱き止めた。


その瞬間──。

カインの胸元が、血のような、あるいは燃え盛る業火のような【深紅クリムゾン】の光を放ち、眩しく輝き出した。


【──第五星痕・蟹座キャンサーが覚醒。個体名:カインに神格能力『神殻の絶対破壊キャンサー・ブレイク』を授与。同時に、マスターへの基礎身体能力バフがさらに上乗せ(スタック)されます──】


脳内に響き渡る五度目の厳かな声。


ドクンッ……!!!


心臓がかつてないほどの熱量で跳ね上がり、俺の身体から放たれる覇気が、周囲の焦げた大地を一瞬で平伏させる。

サクラピンク、ゴールド、ヴァイオレット、プラチナシルバー──そして新たに、俺の前髪の内側に**【深紅クリムゾンの光のメッシュ】**が、鮮烈な輝きを放ちながら五色目に灯った。


「あ……熱い、なにか、温かい力が……僕の中に、流れ込んで……っ」


カインは大鋏を地面に落とし、自身の胸元に刻まれた『蟹座の星痕』を見つめながら、糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。限界を超えて戦い続けていた肉体が、俺の力に包まれたことで、ようやく深い安心感とともに眠りについたのだ。


「状況把握。──よく頑張ったな、カイン」


俺は眠った彼をそっと横たえ、ものぐさそうに前髪を掻き上げた。

五色に増え、ますます極彩色の輝きを増したインナーカラーが、夕暮れの戦場に美しい残光を描いている。


「シリウス様ーっ! 敵の先遣隊五百、一人残らず無力化しました!」

フェリスがサクラピンクの髪を弾ませて駆け寄ってくる。その後ろでは、ゴルド、ササャ、レンが満足げな表情で歩いてきた。


「フン、今度の新入りは随分と威勢の良いガキだったな。我が主の腕の中で、ずいぶんと可愛い顔をして眠っているではないか」

ゴルドがハハハと豪快に笑う。


「でも、これでまた私たちは強くなったわ。帝国が本気でこの森を潰しにくる前に、5人目の星が揃ったのは大きいわね」

サシャが紫色の髪を揺らし、頼もしそうに俺を見つめた。


「状況把握。──ああ。これで東の脅威も一旦は退けた。カインを連れて、要塞へ帰るぞ。これからは、帝国相手に『ざまぁ』を仕掛ける準備だ」


無能と蔑まれ、国を追われた第一皇子。

彼が率いる極彩色の魔王軍は、5つの星の輝きを纏い、世界の理不尽をすべて切り裂くための圧倒的な進撃を加速させていく。


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