13.戦後処理
数ある作品から本作品を選んでいただきありがとうございます。5章ラストです!!
私達が帰国してから数日後、国王は隣国から戦争を仕掛けられたこと、既に撃退し終戦したことを発表した。懐疑的な人達もいたが、隣国の第1王子である、リンク王子を捕らえたことを知らせると皆信じたようだった。
今回の戦争で一番の戦果を挙げたのはセレナーデ侯爵親子と発表された。本当は私が制圧したのだが、それだと信じられないからだろう。セレナーデ侯爵が敵を退けつつ、娘も父親に補助する形で付き添って実績をあげたという話になっていた。
そして、それと同時にザクが王太子になることと、ザクとアネットとの婚約も発表された。戦争の事よりもこちらの方が大騒ぎになった。ただ、戦果の功績もあってか、大きな反発はなかった。反発してくる者達もいたが、アネット以上の実績をあげて来いと言うと引き下がった。やはりそれほど国を掬ったというのは大きい事なのだろう。
ただ、ザクの婚約者となったことで、周りの状況が大きく替わった。まず、アネットに王家直属の護衛がつくことになった。移動時には必ず護衛がついて回る。
そして、婚約が発表されたことで、アネットに妃教育が始まった。それによって生徒会を続けるのが難しくなった。そのため、生徒会は前みたいに毎日ではなく、余裕がある時だけ手伝うこととなった。その報告をしにアネットは生徒会室に訪れると生徒会長は優しく微笑んで許可をだしてくれた。
「うん。生徒会は出れる時で大丈夫だよ。それにしてもまさか、君がイザーク殿下と婚約するとは思わなかったなあ。」
「申し訳ありません。生徒会長。」
アネットは生徒会長に頭を下げる。だが彼は笑って手を振った。
「ローレル君やガーランド君からアプローチされていた頃が懐かしいね。実はあの時既にイザーク殿下とお会いしていたのかい。」
「は、はい。あの時はまだ付き合ってはいませんでしたが、アプローチはされていました。」
「そうなのか。なるほど。次期国王には2人も勝てないか。詳しく聞きたいところだが、ローレル君やガーランド君が可哀そうだからやめておくよ。」
「・・・。」
アネットはそっと2人の方を見た。2人共涼しい顔をしているかと思ったが、ランロット・ガーランドが急に立ち上がるとアネットの方に近づいてきた。
「アネット!!」
「ひ、ひゃい!!」
「生徒会にあまりこれなくなるという事は、魔法を教えてくれなくなるということか!!」
「そ、そうですね。ただ生徒会に全く来なくなるというわけではないので・・・。隙間時間で良ければ前みたいに一緒に練習することは出来るのではないかと・・・。申し訳ありません。」
アネットは慌てて頭を下げる。だが、彼はその言葉を聞くと嬉しそうに笑った。
「いや、教えてもらえるのであれば文句はない。時間が減るのは残念だがな。恋愛に関してはいつまでも引きずるつもりはないからな。俺は俺の信じた道を進むのみだ。騎士になって、お前達が正しい国を作るのを見極める事も出来るしな。」
「ガーランドさん。ありがとうございます。期待に応えられるように頑張ります。」
アネットはガーランドに向けて深々と頭を下げた。ガーランドは笑いながら、ジネット・ローレルの方を見た。
「お前もそうだろう。ジネット。引きずったりしないだろう?」
「当たり前だ。彼女とはいい友人として付き合うつもりだ。」
ジネットはアネットの方を見つめた。
「それでいいだろうか。アネット。これからも友人としていてくれると嬉しいんだが。」
「はい!!こちらこそお願いします!!」
アネットの言葉にジネットは優しく微笑んだ。アネットも嬉しそうに微笑む。それを見た生徒会長が手を叩いた。
「さあ、今日の生徒会を始めよう。皆も気合を入れていってくれ!!」
「「「はい!!」」」
生徒会に行った日の夜、私とアネットはいつもの世界で寝転がっていた。いつもの女子会だ。
「これで一段落ね。」
「いえ、私はまだ魔法の修業が待っていますが。」
「それはしょうがないわ。でも無事婚約もできたし、戦争も解決した。これで主だった問題は解決したじゃない。」
「それはそうですけど・・・。」
私の言葉にアネットは不満そうだ。まあ、問題が解決したとはいえ、アネットの負担は増えている。妃教育に加え、夜は私と魔法の練習。忙しいことこの上ない。でもこれは、我慢してもらわないといけない。アネットが自分で選んだ道だ。
「まあ、私の役割ももうほぼ終わりだから、後は貴方の頑張り次第よ。」
「え・・・。」
立ち上がる私をアネットが不安そうな顔でこちらを見る。私がいなくなることを心配しているのだろう。私はアネットを見て笑った。
「安心しなさい。まだいなくならないわよ。まだまだ貴方に魔法を教えなきゃいけないし、大変な時に貴方を1人ぼっちにしたりしないわ。」
「でも・・・いつかは・・・。」
私はアネットの側に座ると、彼女を見つめた。
「アネット。それは受け入れなさい。本来私達がこうしていること自体がイレギュラーなのよ。いつこの関係が終わるかは私にもわからない。だからいついなくなってもいいように覚悟だけはしておきなさい。」
「そんな・・・。離れたくない、むぎゅ。」
泣き言を言おうとしていたアネットの両頬を挟む。私だって離れたくはないが、最悪の想定はしておかなければいけない。
「ま、今は考えてもしょうがないわ。それに私だって、すぐにいなくなるつもりはないわよ。まだまだ貴方に教える事はいっぱいあるからね。しがみついてでも離れないようにするわ。」
「ノゾミさん・・・。」
「さ、魔法の練習をしましょう。早いうちに魔法を使えるようになってもらわないと。最後の時戻りの人が何をしてくるかわからないから。」
「あ、そうでした。最後の人って、本当にあの人なんですか?伝説上の人物かと思いましたが。」
「いるのよ。特に今回魔法で目立ったから接触してくる可能性があるわ。だから私ももっと精進しておかないといけない。」
時戻りをしたと思われる最後の1人は魔法の天才だ。ゲームだと魔法を極めると突然現れて攻略ルートを進める事ができる。こちらの魔法に興味をもち、ちょっかいをかけてくるのだ。今回私は戦略級の魔法を使用した。確実に興味を持たれただろう。
「でも、ノゾミさんに聞いた感じだと、悪意をもって攻撃してくる人ではないんですよね?」
「魔法の情熱は人一倍なのよ。貴方の魔法に興味を持った。手合わせをしてもらいたいとか言われたらどうするの?相手してくれなければ国を亡ぼすとか言われたらどうする?」
「う・・・。」
相手は魔法の天才だ。だが、それと同時に自由人でもある。自分が興味を持ったことに対しては全力だが、それ以外に関してはどうなろうと知った事ではないと考える人だ。手合わせのために、国を1つ亡ぼすことなど平気でやるだろう。
「まあ、その時の相手は私がするけどね。ともあれ、準備は必要よ。頑張りましょう。」
「はい。」
アネットが幸せになるための障害となりうるのはあと1人。ようやくここまできたのだ。誰にも邪魔させない。アネットを幸せにするために最後まで走り切るのだ。私は今一度自分に気合を入れるのだった。
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5章はこれで完結です!!次回が最終章になります。時間はかかるかもしれませんが、必ず投稿します。またお会いしましょう!!




