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ルルイエ郊外へ凍らされてしまった純を連れてきたジョルドは、銀の腕の構成員と治療準備をするルイスの所へ向かった。
「ルイスさん! フォマルハウトを連れてきました! 治療術式の準備は!?」
「セラエノ断章、エイボンの書、ナコト写本。あらゆる書物から読み解き、実用化した術式を複数用意してあります。なんとしてでも、フォマルハウトさんを蘇生させてみせましょう!」
無数の魔法陣が描かれた地面に、冷たい氷像と化した純が寝かされる。
「フォマルハウトさん。あなたはここで死ぬべき人ではない。あなたなら……。いや、あなたにしか、この世界は救えない。さあ、始めましょう。私にできる全てを駆使して、あなたを救ってみせる……!」
一つの魔法陣が起動し輝きだすと、連鎖的に反応して他の魔法陣も輝きだす。
無数の禁断の秘術による、純の蘇生が始まった。
巨体のノーデンスが大地を揺らし、走る。人間とディープワンズたちの上を飛び越え、空中でクトゥルフに三叉の槍を突き刺す構えを取った。
クトゥルフが槍を避け、着地したノーデンスを拳で殴ろうとする。ノーデンスはその拳を身をひるがえしてかわし、槍の柄の底でクトゥルフの腹を突いた。
巨大な槍の一撃も、クトゥルフには多少よろめかせる程度の効果しかない。だが、ノーデンスの攻勢はまだ続く。
体勢を崩したクトゥルフに、ノーデンスが電撃をまとう槍の先を突き刺した。
腹に巨大な槍を突き刺され、苦しそうな声を上げるクトゥルフ。しかし、引き抜こうとした槍は、クトゥルフに刺さったままびくともしない。
いくら力を入れても槍を引き抜くことができず、焦るノーデンスをクトゥルフが嘲笑った。
「武器か? 下らんな。そんな物に頼っていては、私を打ち負かすことはできんぞ!」
クトゥルフのテレキネシスが無数の拳となってノーデンスを襲う。その大きさも威力も、純が以前に戦ったディープワンズが使っていたテレキネシスの比ではない。巨体のノーデンスを軽々と殴り飛ばし、一発一発がノーデンスの意識を揺るがせるほどの力を持っている。
クトゥルフは自分に刺さったノーデンスの槍を引き抜き、握力だけでへし折った。
「超越者たる者、力を吸収して築き上げた自らの肉体こそが至高の武器。下卑た無機物でできた道具などに頼っている時点で、貴様に勝ち目はない」
不可視の拳を次々とノーデンスに浴びせるクトゥルフは、高らかに笑う。
「くらえ! これが――――!」
クトゥルフは追い打ちをかけるべく、ブリンクでノーデンスの顔の前に移動する。そして、危機に目を見開くノーデンスの顔面に、クトゥルフの右拳がぶち込まれた。
「――――支配者の拳だ!!」
ノーデンスの巨体がムー大陸の大地に埋まる。すぐに起き上がったノーデンスだったが、クトゥルフのテレキネシスの拳は容赦なく彼を追撃する。
テレキネシスでノーデンスを殴り続けながら、クトゥルフがブリンクで、今度はノーデンスの懐に入り込んだ。構えられたクトゥルフの右拳が、ノーデンスのみぞおちにねじ込まれる。
「ぬ……っ! おおおおおおおおおおおお!!」
ノーデンスが天高く、宇宙にまで殴り飛ばされた。クトゥルフもノーデンスを更に追撃すべく、ブリンクで宇宙に移動する。
「クトゥルフ……! やってくれる……!」
地球周辺の宇宙空間。目の前に浮かぶクトゥルフは、息切れ一つする様子もない。
既にエネルギーをかなり消耗していたノーデンスは、そんなクトゥルフと自分を比べ、忌々しそうに舌打ちをした。




