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3/第二の試練 –終 訃報

 しっかりと温まったあと、二人で浴室を出た。


「ふいー。あ、漫画読んでいい?」


「こ、こら! 下着姿でうろつかない!」


「仕方ないじゃん、まだ乾燥中なんだから。そ、れ、に……」


 歌音が僕のほっぺたをぷにりとつつく。


「裸だって見てるんだから、いまさら気にしない気にしない」


「……見てないし」


「え、ほんとに見てないの?」


「見てないよ!」


 また鎌をかけられていたらしい。


「ちらっとくらい見ればよかったのに」


「見れるか!」


「おじさん、真面目だなあ。よくそれで、さえちゃんたちとお風呂入れたね」


「……まあ、その。大変失礼なことを申しますと」


 口をもごもごさせたあと、目を逸らす。


「あの子たちは、その。子供だから。そこまで気にならなかったと言いますか……」


「ほほん? あたしは気になると」


「中三なんて、ほとんど大人の体だろ!」


「おじさんの中の男、まだ生きてたんだ。もう絶滅したかと思ってた」


「失礼な……」


「……ま、それはそれで悪い気分じゃないかな」


 歌音が微笑む。

 そっと嘆息し、僕は、カーテンを開いて窓の外を見た。

 雨は、まだまだ止みそうにない。

 夕方までに降り止まなければ、明日かな。

 焦燥感と共に、どこか安堵の気持ちもある。

 このまま否応なしに物事が決まってほしい。

 残念だった。

 仕方ない。

 そんな、諦めるための言い訳を探してる。


「──あ、スマホ充電切れてた」


「だらしないぞー」


「たまにやっちゃうんだよな……」


 スマホを充電スタンドに置き、ベッドに寝転がる。


「……ごめん、歌音。すこし寝るかも」


「うん」


 ぺら、とページを繰る音がした。


「おやすみなさい、おじさん」


「ん……」


 目蓋を閉じると、意識がすっと落ちていく。

 この体になってから、やけに寝付きがいい。

 そのまま沈み、沈み──






 コール音が聞こえた気がする。

 歌音の声が聞こえた気がする。

 すこしうるさくて、寝返りを打つ。


「──……、さん……」


 誰かに肩を揺すられて、目を覚ました。


「……おじ、さん」


「んー……?」


 僕を起こした歌音の表情が、困惑と恐怖に強張っていた。

 一瞬で目が覚める。


「どうした」


「あのね。あたしも、何がなんだかわからなくて。で、でも……」


「落ち着いて」


 歌音を抱き寄せ、軽く背中を叩いてやる。


「……あ、あの。驚かないで、聞いてね」


 歌音が、自分の胸に手を触れたまま、呼吸を整える。

 そして、口を開いた。


「今、……ママから電話があって」


「うん」


「おじさんが、ね……」


「……うん」


「事故で亡くなった、って……」


「──……へ?」


 素っ頓狂な声が、僕の口から漏れた。

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