表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/45

3/第二の試練 -6 みんなでお風呂

「──…………」


 わかってる。

 よくないことだ。

 僕の中身は三十二歳のおじさんで、女子中学生のふりをして二人と一緒にお風呂に入るだなんて、許されないことだ。

 わかってる、けど……。

 下心なしに、入りたい。

 楽しそうだなって思ってしまう。

 僕、心まで女の子になってるのかな。

 最初の最初、自分の体を確認して以来、あんまりえっちな気分にならないんだよな。

 僕の性癖ってわりと普通だから、中学一年生ってもともと対象に入らないし……。


「わ、かっ……た」


 覚悟を決める。


「……入ろう!」


「おー!」


「大丈夫……?」


「大丈夫。僕も腹をくくった。みんなでお風呂、入りたいから……」


 ほのかちゃんが、安心したように微笑む。


「じゃあ、入ろっか」


「うん!」


 着替えを用意し、三人で浴室へ向かう。

 心の準備をする暇もなく、さえちゃんがすぽんと下着まで脱ぎ捨てた。


「きゃ!」


 思わず両手で顔を隠す。


「んー? どしたの、みさお」


「あ、ううん。なんでも……」


 すらりと手足の長いさえちゃんの肢体は、小麦色と白色とに塗り分けられている。

 夏のあいだも練習頑張ったんだろうな。

 そんなことを思わせる日焼け跡だ。


「うんしょ、と」


 ほのかちゃんが、のんびり服を脱いでいく。

 あ、けっこうおっぱいある……。

 親友の女の子の部分に、思わずどぎまぎしてしまう。

 それに比べて、僕の貧相なこと。


「──…………」


 しこりばかりの自分の胸を、軽く寄せてみる。ちょっと痛い。


「大丈夫、大丈夫。みさおもそのうち大きくなるって」


「さ、さえちゃんも、僕と変わんない……」


「うちは陸上やってるから、小さいほうがいいもーん」


「……なるほど。そういう考え方も」


 雑談しながら服を脱ぎ捨てて、三人で浴室に入る。

 さすがに狭い。


「え、と」


 戸惑いながら尋ねる。


「ど、どうしよう。僕、三人でお風呂入ったことないから」


「よーし、こうしよう!」


 さえちゃんがピンと人差し指を立てる。


「一人洗って、二人湯船!」


「いいかも」


「う、うん。それで行こう」


「じゃんけんで負けた人が最初に体洗うこと!」


「わかった」


「そ、それじゃ、じゃーんけーん──」


 狭い密室の中で、なるべく二人に触れないように胸の前でチョキを出す。

 さえちゃんもチョキ。

 ほのかちゃんがパーだった。


「私からかあ」


「みさお。かけ湯だけして入ろ?」


「うん」


 軽く体を洗い流し、湯船に浸かる。


「ふー……」


 あらかじめお湯を張っておいてよかった。

 心が洗われるようだ。


「しっつれーい」


 さえちゃんが僕の隣に腰を下ろす。

 ざばー……。

 大量のお湯が溢れ、ほのかちゃんの足元のせっけん置きを軽く浮かせた。


「──…………」


 浴槽はそこまで広くない。

 二人で入れば密着してしまう。

 ばくんばくんと高鳴る心臓の音が聞こえやしないかと、すこし不安だった。


「へへー……」


「わ!」


 さえちゃんが僕を抱き上げ、体勢を変える。

 自分の膝の上に僕を乗せて、抱き締めるような形だ。

 わ、わ、わ! 触れてる! 触れてるって!

 内心死ぬほど焦りながらも、なるべく声には出さないようにする。


「こうしたほうが狭くないよ」


「そ、そうらね……」


「あ、ずるい」


「じゃんけんで勝った者勝ちでーす」


「次、さえちゃんが体洗ってね。私もやりたい!」


 あ、ほのかちゃんにもされちゃうんだ……。

 なんだか、早くものぼせてしまいそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ