3/第二の試練 -6 みんなでお風呂
「──…………」
わかってる。
よくないことだ。
僕の中身は三十二歳のおじさんで、女子中学生のふりをして二人と一緒にお風呂に入るだなんて、許されないことだ。
わかってる、けど……。
下心なしに、入りたい。
楽しそうだなって思ってしまう。
僕、心まで女の子になってるのかな。
最初の最初、自分の体を確認して以来、あんまりえっちな気分にならないんだよな。
僕の性癖ってわりと普通だから、中学一年生ってもともと対象に入らないし……。
「わ、かっ……た」
覚悟を決める。
「……入ろう!」
「おー!」
「大丈夫……?」
「大丈夫。僕も腹をくくった。みんなでお風呂、入りたいから……」
ほのかちゃんが、安心したように微笑む。
「じゃあ、入ろっか」
「うん!」
着替えを用意し、三人で浴室へ向かう。
心の準備をする暇もなく、さえちゃんがすぽんと下着まで脱ぎ捨てた。
「きゃ!」
思わず両手で顔を隠す。
「んー? どしたの、みさお」
「あ、ううん。なんでも……」
すらりと手足の長いさえちゃんの肢体は、小麦色と白色とに塗り分けられている。
夏のあいだも練習頑張ったんだろうな。
そんなことを思わせる日焼け跡だ。
「うんしょ、と」
ほのかちゃんが、のんびり服を脱いでいく。
あ、けっこうおっぱいある……。
親友の女の子の部分に、思わずどぎまぎしてしまう。
それに比べて、僕の貧相なこと。
「──…………」
しこりばかりの自分の胸を、軽く寄せてみる。ちょっと痛い。
「大丈夫、大丈夫。みさおもそのうち大きくなるって」
「さ、さえちゃんも、僕と変わんない……」
「うちは陸上やってるから、小さいほうがいいもーん」
「……なるほど。そういう考え方も」
雑談しながら服を脱ぎ捨てて、三人で浴室に入る。
さすがに狭い。
「え、と」
戸惑いながら尋ねる。
「ど、どうしよう。僕、三人でお風呂入ったことないから」
「よーし、こうしよう!」
さえちゃんがピンと人差し指を立てる。
「一人洗って、二人湯船!」
「いいかも」
「う、うん。それで行こう」
「じゃんけんで負けた人が最初に体洗うこと!」
「わかった」
「そ、それじゃ、じゃーんけーん──」
狭い密室の中で、なるべく二人に触れないように胸の前でチョキを出す。
さえちゃんもチョキ。
ほのかちゃんがパーだった。
「私からかあ」
「みさお。かけ湯だけして入ろ?」
「うん」
軽く体を洗い流し、湯船に浸かる。
「ふー……」
あらかじめお湯を張っておいてよかった。
心が洗われるようだ。
「しっつれーい」
さえちゃんが僕の隣に腰を下ろす。
ざばー……。
大量のお湯が溢れ、ほのかちゃんの足元のせっけん置きを軽く浮かせた。
「──…………」
浴槽はそこまで広くない。
二人で入れば密着してしまう。
ばくんばくんと高鳴る心臓の音が聞こえやしないかと、すこし不安だった。
「へへー……」
「わ!」
さえちゃんが僕を抱き上げ、体勢を変える。
自分の膝の上に僕を乗せて、抱き締めるような形だ。
わ、わ、わ! 触れてる! 触れてるって!
内心死ぬほど焦りながらも、なるべく声には出さないようにする。
「こうしたほうが狭くないよ」
「そ、そうらね……」
「あ、ずるい」
「じゃんけんで勝った者勝ちでーす」
「次、さえちゃんが体洗ってね。私もやりたい!」
あ、ほのかちゃんにもされちゃうんだ……。
なんだか、早くものぼせてしまいそうだった。




