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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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973 クマさん、みんなと寝る

 剣の手合わせをしたわたしとセレイユは、みんなで大きなお風呂に入る。


「ユナ、強過ぎです。わたしの攻撃が掠りもしませんでした」

「セレイユ様の動きも速くて見えなかったです」

「わたしだったら、セレイユ様の攻撃、躱せません」


 ノアとミサが、お風呂に浸かりながら、わたしとセレイユの試合の感想を漏らす。


「セレイユ姉ちゃんの動き、凄かった」

「ユナお姉ちゃんが、セレイユ様の攻撃を躱すのが信じられませんでした」


 みんなの視線がわたしに集まる。


「ユナは魔法が強いとは分かっていました。でも、剣に関しては、少しぐらいの差かと思っていましたが、こんなに差があるとは……。ユナ、初めて手合わせをしたとき、かなり手加減していましたね」

「手加減って言うか、セレイユに合わせていたと言うか。目立たないようにしていたと言うか」

「それを手加減と言うのです」


 そうかもしれないけど。

 前回、セレイユと手合わせをしたときは他の生徒たちが見ていたから、あまり、実力差がないように見えるように戦った。

 それでも、セレイユに気付かれていたけど、それ以上に差があるとは思っていなかったみたいだ。それから、風呂の中では試合の感想会が行われた。どこが悪いのか、どこを直すべきなのか、そのままでいいのか。素人のわたしでいいかなと思いつつ、セレイユに尋ねられたことは答えた。


 そして、風呂を出たわたしたちは、寝間着に着替えると泊まることになっている部屋にやってくる。

 部屋に入ると、広い部屋に大きいベッドがくっつくように3つ置かれていた。


「ベッド、大きい」


 シュリが嬉しそうにベッドに駆け寄って、ダイブする。


「これだけ大きければ5人一緒でも寝ることができますね」

「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんが一緒でも大丈夫です」


 貴族のベッドは大きいから、一つでも余裕で2人は寝ることができる。

 子供なら3人でも余裕だ。

 そのベッドが3つある。

 子供9人でも余裕の広さだ。

 その大きなベッドが3つも余裕で置ける部屋を用意してくれて、わたしたちのためにベッドを運んで来たみたいだ。

 無理を言ったみたいで、申し訳がない。

 用意してくれた皆さんには感謝だ。


「これなら、わたしが一緒でも大丈夫そうですね」


 とんでもない言葉がセレイユの口から漏れる。


「もしかして、一緒に寝るとは言わないよね?」

「せっかくなのですから、みなさんのお話を聞きたいので、わたしもご一緒してもよろしいですか?」

「食事やお風呂で会話をしたでしょう」


 これ以上、なんの会話をするの?

 わたしは一般人のフィナとシュリがいるから、やんわりと断ろうとしたけど……。


「フィナ、シュリ、わたしも一緒でも構いませんよね」


 食事やお風呂で、セレイユと打ち解けていたので、フィナとシュリは断らなかった。もっとも、貴族から言われたら、断れなかっただけかもしれないけど。

 でも、フィナは『交流会の話をもっと聞きたいです』とか言い出すし、シュリも「わたしも」とか言うし。ノアは「わたしが話してあげます」とか言うし、ミサは「もっと詳しくお願いします」と言う。

 食事のときに聞いたよね?

 もう、わたしの話はいいよね?

 誰も、わたしの意見に同意してくれる人はいなかった。


「ユナさん、くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんを出してください」


 わたしは小さくなったくまゆるとくまきゅうをベッドの上に召喚する。

 すると、ベッドの上でくまゆるとくまきゅうの争奪戦が始まる。


「ふふ、大人気ですね」


 セレイユが微笑ましそうにノアたちを見ている。


「あなたは行かないの?」


 セレイユはベッドの上で騒ぐノア、ミサ、シュリを見ているフィナに尋ねる。


「わたしは、みんなよりも一緒にいることが多いから。ノア様やミサ様はあまり、くまゆるとくまきゅうに会えないから」

「あなた、優しいのね」

「そんなことは……」

「フィナは優しい女の子だよ」


 フィナが否定するので、わたしが肯定しておく。


「ユナお姉ちゃん!?」

「フィナはいつも頑張り屋さんで、優しい女の子だよ」

「うぅ」


 フィナは恥ずかしそうにする。


「ユナさん、フィナだけ褒めてズルいです。わたしも褒めてください」


 くまゆるを抱きしめながら言う。


「ノアは勉強家なところかな」

「ユナ姉ちゃん、わたしは?」


 今度はシュリが尋ねてくる。

 ノアの隣にいるミサを見れば、同じく聞きたそうにしている。

 もしかして、全員を褒める流れ?


「シュリはいつも朝早く起きて、お母さんの手伝いをしているところかな」


 母親であるティルミナさんと一緒にいたいのか、いつも孤児院の仕事を手伝っている。

 次にミサを見ながら口を開く。


「ミサは心が強く、我慢ができる女の子」

「ユナお姉様」

「でも、我慢しすぎはよくないから、言いたいことは言った方がいいよ」


 我慢はストレスが溜まり、体によくない。

 みんな、わたしの言葉に満足したのか、嬉しそうにしている。

 でも、人を褒めるって難しいものだ。


 そして、くまゆる、くまきゅうの争奪戦は終わり、部屋の灯りは消され、ベッドの上ではパジャマパーティーが開かれる。

 日本にいたときには考えられないことだ。

 寝る場所は右から、フィナ、シュリ、わたし、ミサ、ノア、セレイユとなった。

 子熊化したくまゆるは、フィナとシュリの間。くまきゅうはミサとノアの間となった。

 なぜか、セレイユが残念そうにしていた。

 パジャマパーティーの内容は、フィナが頼んだ交流会の話だった。

 でも、内容はわたしだけではなく、セレイユやシアの話もあった。

 そして、しばらくするとシュリの寝息が聞こえ始め、フィナ、ミサが寝て、最後まで話をしていたノアも静かになってしまう。

 起きているのはわたしとセレイユだけになった。


「ユナはいろいろな人を助けているのですね」

「たまたま、わたしがそこにいたから助けただけだよ」

「ふふ、そうですね。わたしのときも、ユナがたまたまいて、助けてくれたんですね」


 たまに頼まれることもあるけど、ほとんどがわたしが出向いた先にトラブルが起きていることが多い。

 言っておくけど、わたしがトラブルを持ち運んだのではない。

 行った先にトラブルが発生しているんだよ。

 まるでゲームのイベントみたいだけど、そんなイベントは現実では発生させないでほしい。

 神様がわたしが行く先々でトラブルの原因を作っているんじゃないかと勘ぐってしまう。

 でも、わたしが通りかかっても助けなかったら、どうなっていたかとたまに考えると、怖い。

 助けられなかった命もあると思う。

 フィナはウルフに殺され、ティルミナさんは病気で死に。家族を失ったシュリがどうなっていたか分からない。

 孤児院もだ。

 孤児院の件がなければクリフとノアに会うこともなかった。

 クリフとノアに会えなかったら、あのタイミングで王都に行くことはなかった。行くことがなかったら、ミサがオークに襲われているところを助けることができなかった。

 全てが偶然の道に繋がっている。

 そして、わたしが通らなかった道では、不幸になった人もいるかもしれない。

 もちろん、全ての人を助けるなんて不可能だ。

 だから、わたしが進んだ道にある不幸は取り除こうと思っている。

 ちなみに自分から、困っている人を探そうとは思っていない。

 わたしは聖女ではない。


「ユナは優しいです。困っている人がいれば手を差し伸ばすことができる。そんな人は実際には少ないです」

「そんなことはないと思うけど」


 孤児院の院長先生なんて、子供たちのために自分を犠牲にしていると思う。


「わたしには貴族の立場があり、力がありました。でも、手を差し伸べてきませんでした。ノアたちからユナの話を聞いて、いかに自分がなにもしてこなかったことに気づきました」

「セレイユも大変だったんだから、仕方ないよ」

「それは言い訳です」

「なら、これから助ければいいでしょう。セレイユなら、わたし以上に人を助けられると思うよ」


 わたしには、そんな気持ちはない。

 ただ、偶然に出会って、助けることができたから、助けただけだ。


「……そうですね。これからのわたしの行いですね」


 セレイユが静かになったと思うと、寝息が聞こえてくる。

 わたしだって、全ての人を助けているわけではない。

 だから、セレイユと変わりない。

 わたしも寝よう。


 翌朝、フィナが起き上がることで目が覚める。


「起こしちゃいましたか?」

「おはよう。早いね」


 わたしは体を起こす。

 窓を見ると、明るい。

 背筋を伸ばし、ベッドを見ると、ノアはくまきゅうの頭に抱きつき、ミサはくまきゅうの足を掴んでいる。

 シュリはくまゆるを抱きしめながら、気持ちよく寝ている。

 うん?


「セレイユがいない?」

「わたしが起きたときにはいませんでした」

「もしかして、朝練?」


 セレイユは朝から剣術と魔法の練習をしていたと聞いた。

 もしかしたら、まだ続けているのかもしれない。

 フィナはシュリを起こし、わたしはノアとミサを起こす。


「ほら、起きて。朝だよ」


 3人とも眠そうにしながらも起き上がる。

 解放されたくまゆるとくまきゅうは、わたしに近寄ってくる。


「ご苦労様」


 くまゆるとくまきゅうの頭を撫でて、労ってあげる。

 わたしたちが着替えていると、扉が開きセレイユが入ってくる。


「起こそうと思ったのですが、起きていたのですね」


 セレイユは朝からビシッと決まっている。


「もしかして、朝から練習していたの?」

「家の周りを走って、剣を振って、魔法の練習をしただけですよ」


 聞いただけでも、かなりの練習量だ。


「いつ起きたの?」

「夜が明けた頃ぐらいでしょうか?」


 セレイユの言葉に、わたしを含め、全員が信じられない顔でセレイユを見る。


「どうしたのですか?」

「呆れているんだよ」


 しかも、しっかりと汗を流すためにお風呂まで入っている。

 お風呂のときも思ったけど、セレイユの引き締まった綺麗な体は、日々の努力の賜物だったんだね。

 わたしも努力すれば、セレイユみたいに引き締まった体になれるかな。




セレイユも仲間入り。

次回、イベント会場へ。


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※予約期間:2026/04/01(水)~2026/09/30(水)まで


※22巻の発売の情報はもう少しお待ちください。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
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ユナちゃんの話は、癒されることが多いです。何度も読みたいと思うのはやはりそういう事だと思う!ユナちゃんは暴れても人に危害を加えることはしません!又、人は殺せません、甘いかとは思ってもそれでいいと思いま…
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