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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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995/997

971 クマさん、セレイユと再会する

 くまゆるとくまきゅうにはお礼を言って送還し、わたしたちは街の中に入る。

 街の中に入ると人で賑わっている。


「人が多いです」


 ちびっ子たちは目を輝かせながら、周囲を見ている。

 イベントのおかげかな。 

 もし、そうなら宿屋の確保が難しくなる。

 それは王都の国王の誕生祭で経験済みだ。

 宿屋が確保できず、土地を購入して、クマハウスを建てたほどだ。

 早めの宿屋確保は必要だ。


「それじゃ、まずは宿屋に行こうか」


 前回泊まった宿屋はよかった。

 クマの格好についても尋ねられなかった。

 他の宿屋も知らないので、前回泊まった宿屋に向かうことにする。

 でも、歩き出すわたしをノアが止める。


「宿は大丈夫です。セレイユ様が、部屋を用意するから家に来るようにと手紙に書いてありました」

「それはノアに対してでしょう。今回はフィナとシュリもいるし」

「いえ、手紙にはわたしとユナさんの関係者全員一緒に来てくださいと、書かれていましたから、大丈夫です」


「セレイユ様って、貴族なのですよね」


 フィナが少し、不安そうにする。


「セレイユはフィナとシュリが一般人だからと言って、暴言を吐いたりするような貴族じゃないよ。もし、フィナとシュリが嫌な思いをしたら、出て行けばいいし」


 わたしの言葉に少し安心した表情をする。


「ノアとミサは、大丈夫なのに、他の貴族はダメ?」

「ノア様とミサ様はお優しいですが、他の貴族の人はやっぱり……」


 まあ、ミサに嫌がらせをした貴族もいる。

 全てがノアやミサのように優しい貴族とはかぎらない。

 一般人を見下す貴族もいる。

 だから、フィナの考えは間違っていない。


「フィナとシュリの部屋はわたしと一緒にしてもらうから安心して」


 少しでも安心してもらうために言う。


「もし、ダメって言ったら、庭の片隅を借りて、クマハウスに泊まってもいいし」


 庭の片隅なら、外から見えない位置もある。

 それにクマハウスはセレイユとセレイユの父親には知られている。

 わたしの提案にノアとミサも「わたしも」と言い出す。

 まあ、それはセレイユ次第ってことになった。

 わたしたちはセレイユの家に向かう。

 そして、セレイユの屋敷の前までやってくる。

 フィナは屋敷を見て、緊張している。


「ふふ、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。セレイユ様は厳しい方ですが、優しい人です」

「あら、ノアはわたしのことをそんな風に思っていたのですね」


 声がする方を振り向くと、制服を着たセレイユがいた。


「遠くからユナの姿が見えたので駆けつけてみれば、ノアがわたしをどう思っているか聞けました」

「セレイユ様は優しいと言いました」

「その前に厳しいって言いましたよね」

「うぅ」


 全部聞かれていたみたいだ。

 ノアの気まずそうな顔を見て、セレイユは笑い出す。


「ふふ、冗談です。自分でもそう思っています。友達や周りからも、そう思われていることも知っています。でも、優しいと言ってくださって嬉しいですよ」


 セレイユは優しくノアの頭を撫でる。


「……セレイユ様」


 セレイユは周りを見る。


「よく来てくださいました。歓迎します。家の中にお入りください」


 セレイユが歩き出し、わたしたちもついていく。

 門を通り、屋敷の中に通される。


「まずは部屋に案内しますね。部屋割りですが、どうしますか? 個別も同室も対応しますよ」


 セレイユがみんなを見る。

 わたしはフィナと約束したとおりにお願いをする。


「できれば、全員一緒で」

「5人一緒ですね。手配します」


 わたしの無理なお願いも、セレイユは考えることもなく了承してくれる。


「くまゆるちゃんとくまきゅうちゃんも一緒です」


 ノアが追加メンバーを伝える。


「ふふ、そうね。クマさんも一緒ね」


 セレイユは近くにいた使用人に部屋の用意をするように伝える。


「すぐに準備をしますので、客室でお待ちください」


 わたしたちは部屋に案内される。

 客室に通されたわたしたちはメイドさんが用意してくれたお茶を飲みながらセレイユを待つ。

 しばらくすると、私服に着替えたセレイユが戻ってくる。

 制服姿は漫画に出てくるような優秀な生徒会長みたいな感じだったけど、私服に着替えるとお嬢様って感じだ。


「自己紹介が遅くなり、申し訳ありません。わたしは、この街の領主の娘のセレイユです。皆さんのことも教えていただけますか?」

「わたしとノアのことは知っているから」


 わたしはミサとフィナ、シュリに目を向ける。


「そちらは、ミサーナですね」

「はい、お久しぶりです」


 貴族繋がりで、ミサとは顔見知りだったみたいだ。

 そして、セレイユの目はフィナとシュリに向く。


「わ、わたしはユナお姉ちゃんとノア様のお友達のフィナでちゅ」


 噛んだ。

 噛みました。

 フィナは恥ずかしそうにする。


「わたしはシュリ。お姉ちゃんの妹です」


 シュリは手を挙げて名乗る。


「フィナとシュリですね。よろしくお願いします」

「はい!」

「ユナのことを教えていただけると嬉しいです」

「セレイユ?」

「だって、この街にはユナのことを知っている人がいないのよ。王都に行っても、シアぐらいだし。それだって、会えるものじゃないわ」

「わたしの情報なんていらないでしょう」

「いるわよ。わたしの恩人であり、わたしが目指す人物。それには人となりを知らないとね」


 セレイユは微笑む。


「セレイユ、性格、変わった?」

「学園のみんなからも言われるけど、そんなに変わったのかしら?」

「明るくなったのかな?」


 初めて会ったときは思い詰めた表情が多く。表情が硬かった。


「沈着冷静? クール? 何事にも動じない? 自分に厳しい女の子?」

「そんな風に見えていたのですね」

「でも、今の方が明るくていいと思うよ。初めて会ったときは近寄り難かったし」

「確かにそうかもしれません。セレイユ様、厳しかったです」


 ノアも同意する。


「ユナの言う通りですよ。実際に学園でも声をかけてくれる生徒が増えました。周りからも話しやすくなったと言われるようになりました」


 近くにいた生徒ほど、セレイユの変化を感じるのかもしれない。

 わたしなんて、数日間だけだ。

 それでも、初めて会ったときのセレイユと違うことは分かる。


「それで、イベントってなにをするの? ノアに聞いても知らないみたいだし」

「わたしも湖で行われるってことぐらいしか知らないです」


 だからクリフが勉強のために許してくれたのかもしれない。


「口で説明するのは難しいですね。見てもらったほうが早いと思います。今日は遅いので、明日見に行きましょう」

「学校は大丈夫なの?」

「数日休むぐらい大丈夫ですよ。これでも勉強は学年トップですから」


 本当にセレイユは万能美少女だ。

 勉強もでき、魔法も剣術もできる。

 リアルチートはセレイユのことを言うのかもしれない。

 まあ、そのチートを作り出したのは、いろいろなものを犠牲にして、幼いときから、練習してきた日々があったからだ。

 それをチートと言うのは失礼かもしれない。


「なんですか?」


 じっとセレイユを見ていたら、セレイユが首を傾げる。


「いや、美人で頭が良くて、魔法も剣術も優秀。さらには貴族の令嬢。セレイユに足らないものがないなと思っただけだよ」


 容姿も才能も身分も最上級だ。


「容姿に関してはユナは可愛いです。魔法も剣術もユナのほうが上です。身分に関しては生まれの問題です。普通に考えればユナのほうが上です」

「いやいや、セレイユのほうが上でしょう」


 わたしは神様からもらったクマチートだ。セレイユは自分の力で手に入れた力だ。

 神様からもらったとは言えないから、セレイユがそう思うのも仕方ないけど。


「わたしからしたら、セレイユ様もユナさんも凄いです」


 ノアは擁護してくれる。


「わたしも早く魔法を習いたいです」


 ミサが呟く。


「ミサは10歳なんだから、学び始めてもいいんだよね」

「はい。今は先生を探しています。ノアお姉様から、フィナちゃんと一緒にユナお姉様に魔法を教わっている話を聞いたとき、羨ましかったです」

「それじゃ、わたしが少し教えてあげようか?」

「いいのですか?」

「ミサの両親が許可してくれたらね」


 なんでもそうだけど、未成年には保護者の許可が必要だ。


「それなら、大丈夫です。もう、許可はもらっています」

「……どう言うこと?」

「ユナお姉様に魔法を教わりたいと両親に言ったら、ユナお姉様が許可してくれたらいいと言ってくれました。だから、大丈夫です」


 ミサは嬉しそうにする。


「ユナお姉様、約束ですよ」


 ミサは微笑む。


「ユナは先生みたいなことをしているのね。わたしも教わりたいわ」

「基本的なことだけだよ。初めに教えて、あとはフィナもノアも他の人に教わっているよ」


 ノアは他の先生に、フィナはティルミナさんに教わっていると聞いた。


「うぅ、みんないいな。わたしも早くユナ姉ちゃんに魔法を教わりたい」

「シュリも10歳になってからね」


 こればかりは、この世界のルールだ。

 10歳ぐらいにならないと、魔力が育たない。

 無理に魔力を使うと、魔法が使えなくなるらしい。


 そして、夕食にセレイユの父親と弟に会う。

 セレイユの父親はわたしのクマの格好は見たことがあるけど、弟はクマの格好は見たことがなかったので怪訝そうな表情をしていた。

 いや、父親もしていたよ。やっぱり、一回みたぐらいではダメらしい。

 でも、父親は何事もなかったように前回のお礼を言われた。

 国王陛下にも報告したこと、わたしの話を聞いたこと。最後に感謝の言葉を言われた。


「本当なら、クリモニアまで礼に行きたかったんだが」


 前回の後始末に時間がかかったこと。

 クリモニアまで行く時間がなかったことを謝罪された。

 でも、一度だけお礼の手紙をノア経由でもらった。

 その手紙には感謝の言葉といつでも街に来てくれたら、おもてなしをすることが書かれていた。


「手紙だけで十分ですよ。お礼が欲しくて、セレイユを助けたわけじゃないし。わたしもあの男にはムカついたし」


 ただ、それだけのことだ。

 なにより、気持ち悪かった。



セレイユとの再会です。

生真面目だったセレイユが冗談を言うようになりました。


※投稿が一日遅れ、申し訳ありませんでした。普通に勘違いしていました。

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※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
国王に報告した時にユナの事を何と教えてもらったのか気になる
>※投稿が一日遅れ、申し訳ありませんでした。普通に勘違いしていました と言うコトは・・・【972】は本日公開される、と云う理解でよろしいのでしょうか?。 あと五話で“千話到達”ですね!。 千話到達…
>セレイユ様は厳しい方ですが、優しい人です      ↑ トロ臭っしゃ~事をやらかすタワケに対しては毅然とした態度で対応する!って事やろ! これならリアル世界でも一般だろうが王族・皇族問わずに全員一目…
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