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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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970 クマさん、出発する

 ノアが意味深な言葉を残して去って、しばらくするとミサが父親のレオナルドさんと一緒に家にやってきた。

 そして、レオナルドさんにミサのことを頼まれ、仕事で忙しいクリフからも伝言をもらう。

「我が儘娘を頼む」とのことだ。

 ミサに水着のことを確認しようと思ったけど、レオナルドさんが一緒だったので、水着の話はできなかった。

 わたしだって、年頃の女の子だ。ミサの親とはいえ、水着の話はできない。

 ミサはくまゆるとくまきゅうに挨拶をすると、名残惜しそうにレオナルドさんと帰っていった。

 水着のことが気になったわたしは、フィナのところに向かう。

 ティルミナさんから許可をもらっていると聞いていても、フィナとシュリを預かるのだから、挨拶は必要だ。

 それにお店のオーナーの立場もある。

 クリモニアに帰って来たのに顔を出さずに、すぐに出かけるのもよくない。

 そんなわけでティルミナさんに会いにフィナの家にやってきた。

 ティルミナさんに今回のお出かけのことを尋ねると、娘には広い世界を見て経験をしてほしいとのことだ。

 引きこもって家にいたわたしとは大違いだ。


「フィナ、それで、ノアが帰り際に水着って言っていたけど、なんのこと?」

「わたしも用意するように言われただけで、詳しいことは聞かされていないです」


 フィナも知らないらしい。

 明日、ノアから聞くしかないみたいだ。

 それから、フィナとティルミナさんに店のことや孤児院のことを尋ねるけど、順調で困ったこともないとのこと。

 いいことなんだけど、寂しい気持ちもある。

 この日の夕食はティルミナさんが手料理をご馳走してくれることになった。

 仕事から帰ってきたフィナの父親のゲンツさんからは、フィナとシュリのことを何度も頼まれた。

 それから、ドワーフの国で買ったお酒をゲンツさんに渡したら、ティルミナさんと一緒に美味しそうに飲んでくれた。

 やっぱり、お酒って美味しいみたいだ。

 シュリが飲もうとしていたけど、ティルミナさんに注意されていた。

 流石のわたしも了承することはできないので、擁護はできなかった。

 食卓には笑いが起き、久しぶりのティルミナさんの手料理は美味しかった。


 翌朝、くまゆるとくまきゅうに起こされる。

 わたしの引きこもり生活はいつになったら、できるのだろうか。

 一日中ベッドの上でゴロゴロしたい。

 そんな気持ちを抑えて、起き上がる。


 朝食を食べて、フィナたちを待っているとノアとミサがやってくる。


「ユナさん、おはようございます」

「ユナお姉様、おはようございます」


 何度聞いても、「お姉様」呼びにむず痒い気持ちになるが、嬉しい気持ちもある。

 だって、元の世界じゃ、普通に生きていて「お姉様」なんて呼ばれることはない。

 どこかの姉妹なら、姉が妹に言わせている可能性もあるけど、わたしには妹はいない。


「くまゆるちゃんもくまきゅうちゃんもおはようございます」

「「くぅ〜ん」」


 ノアとミサはくまゆるとくまきゅうの頭をそれぞれ撫でる。


「フィナとシュリは来ていないみたいですね」

「そろそろ来るんじゃない?」


 フィナがいる限り、遅刻はない。


「ユナ姉ちゃん!」


 外から元気な声が聞こえてくる。

 玄関に行き、ドアを開けるとフィナとシュリがいた。


「2人ともおはよう」

「ユナお姉ちゃん、おはよう」

「おはよう!」


 シュリは朝から元気だ。

 シュリはフィナと一緒に朝早くから母親のティルミナさんのお手伝いをしているから、朝早く起きる習慣が身についている。

 昔は朝が弱いイメージがあったんだけど、人は成長するみたいだ。

 もしかしたら、わたしより、規則正しい生活をしているかもしれない。


「それじゃ、出発しようか」


 わたしはクマの転移門が設置してある部屋に移動すると王都にあるクマハウスに移動する。


「王都から、ユーファリアの街まで行くのですね」

「うん」


 ユーファリアにはクマの転移門は設置していない。


「ミサはフィナと一緒でユーファリアの街は初めてなんだよね」

「はい。だから、楽しみです。ノアお姉様は、少し前に行ったんですよね」

「はい、学園の交流会でお姉様の応援に行きました」

「ユナお姉様も参加したんですよね」

「成り行きでね」

「ユナお姉様とシアお姉様の活躍、見たかったです」


 シアとは王都の学園に通っているノアのお姉さんだ。

 学園の交流会に参加した1人だ。


「わたしも」

「うん、見たかった」


 ミサの言葉に、フィナとシュリが同意する。


「それじゃ、来年はみんなでシアの応援に行こう」

「本当ですか?」

「やった!」


 わたしは参加する予定はないけどね。それは口にしない。

 それに交流会は交互に学園で行われると言っていたので、来年は王都の学園で行われるはずだ。それなら、クマの転移門を使えば、簡単に来ることができる。


「そのときもちゃんと両親に許可をもらえたらだよ。親がダメと言ったら、連れていけないよ」

「わたし、いつもユナさんとお出かけするために、勉強を頑張っています」


 ノアの家に行くと、いつも勉強している。

 なんだかんだ言っても、ノアは真面目な女の子だ。


「わたしも勉強をして、お父様とお母様の許可をもらいます」


 ミサも負けずに答える。

「でも、よくミサも許可がもらえたね」

「街の中に引きこもっているのはよくないからって、お父様が許可してくれました。それにノア様のお父様とも、お話があったみたいで、クリモニアに連れて来てくれました」


 そんな会話をしながら、王都の外までやってくる。

 王都の外までやってくると、くまゆるとくまきゅうを召喚する。わたしとフィナとシュリはくまゆるに乗り、ノアとミサはくまきゅうに乗る。


「フィナ、しっかり掴まっていてね」

「うん」


 わたしの前にシュリが座り、わたしの後ろにフィナが座る。

 くまきゅうにはノアが前に座り、ミサが後ろに座る。

 くまゆるとくまきゅうに乗ったわたしたちはユーファリアに向けて出発する。


「そういえば、イベントってなにをやるの? 水着が必要なの?」


 水着のことを思い出し、尋ねる。


「わたしも詳しいことは知らないのですが、湖でイベントをやるみたいです。セレイユ様のお手紙に水着を持ってくるように書いてありました。持っていないようなら、こちらで用意するとも」


 まだ、湖は入れるの?

 気候的に入れるの?

 まあ、水着を持ってくる指示があるってことは湖に入れるんだと思うけど。


「それって、わたしも水着になるってこと?」

「そうだと思いますよ。でなければ、持って来てくださいとも、こちらで用意するとも書かないと思います」


 そうだよね。絶対にわたしに水着を着せるつもりだよね。


「今から、やめて帰るってことは……」


 ダメ元で聞いてみる。


「ダメです。この日のために勉強を頑張ったんです」

「そうです。お父様とお母様の許可がもらえたんです」


 ノアとミサから抗議が上がる。


「わたしも、その街に行ってみたいです」

「わたしも帰りたくない」


 わたしの後ろと前に座るフィナとシュリまでが却下の言葉を発する。

 流石に、出発している時点でやめる案はダメみたいだ。

 斯くなる上は、セレイユと話をして、水着は着ない方向へ持っていくしかない。

 そもそも、水着を着てするイベントってなに?

 ファッションショーじゃないよね。

 夏に海もプールも行ったことがないから、変な想像しか出てこない。

 交流会で、わたしに負けたから、プロポーション勝負を仕掛けてくるとか?

 そんなの惨敗に決まっている。

 勝負する前から、あらゆることで負けている。

 もし、そんな勝負を挑まれたら、白旗を振って、全力で逃げるしかない。

 どうやって、セレイユから逃げるか考えていると、静かなことに気づく。周りを見るとくまきゅうの上ではノアとミサが寝ていた。


「ノア様とミサ様、寝てしまいました」

「昨日は楽しみで、2人で遅くまでお話をしていたみたいだからね」


 今日のことが楽しみで、遅くまでお話をしていたことを今朝、2人がフィナが来るまで話してくれていた。


「落ちたりは……」


 フィナが心配そうにする。


「大丈夫だよ。くまきゅうが落とさないでいてくれるから」


 寝てても落馬? 落熊? にはならない。

 くまきゅうが走るリズムが気持ちよかったみたいだ。

 ちなみに、わたしの前に乗っているシュリも、初めは楽しそうにくまゆるに乗っていたけど、静かになり、寝てしまっている。


 わたしはフィナと話をする。


「ユナお姉ちゃん。和の国でなにをしていたんですか?」

「妖刀って分かる?」

「ヨウトウ?」


 分からないよね。


「えっと、呪われた武器って分かる? それか意志を持った武器とか」

「もしかして、血塗られた武器のこと?」

「なにそれ」

「血がついてた武器が落ちていて、それを拾った人が斬りかかるって話です」

「こっちにも、そんな話があるの?」

「仲間に裏切られた人が復讐のために裏切った仲間を剣で斬ったお話です。それで、その血塗られた武器を拾うと仲間を斬るんです」


 フィナが話してくれるけど、どこにでも似たような話はあるみたいだ。


「それで、最後はどうなるの?」

「仲間もいない1人の人が手に入れて終わりです」

「それだけ?」

「はい」


 ぼっちは仲間がいないから、斬る相手がいない。だから、終わりってことみたいだ。

 つまり、わたしみたいな人物が手に入れたってことだろう。

 少し、悲しくなってくる。


「それで今の話とヨウトウが、同じなんですか?」

「似たような感じだね。武器に意志があって、持った人が武器の意志に行動させられる事件があって、武器を回収する手伝いをしていたんだよ」

「本当に、そんなお話みたいな武器があるんですね」


 和の国のことをフィナと話しながらユーファリアの街に向かう。 

 昼食の時間にはノアたちを起こし、簡単な昼食を食べ、出発するときはくまきゅうに乗り換える。

 そして順調に進み、夕刻前にはユーファリアの街に到着する。


セレイユが住む街に到着。

次回、再会ですね。


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 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
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>ぼっちは仲間がいないから、斬る相手がいない。だから、終わりってことみたいだ。 >つまり、わたしみたいな人物が手に入れたってことだろう。 ユナさん……つい最近まで仲間と沼退治してたやん……
将来の権力者で転移門を知ってるものがあちこちに 各国の問題も何故か素早く解決 なーぜーかーなー 世界の不思議に
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