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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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993/996

969 クマさん、休めない

 温泉から出たわたしはカガリさんのところに戻る。


「もう、大丈夫なの?」


 カガリさんは起きていて、窓から外を見ていた。


「運ばせたみたいで、迷惑をかけたのう」

「軽かったし、問題はないよ」


 そもそもクマ装備のおかげでカガリさんなんて、紙のように軽い。


「それじゃ、わたしは帰るね」

「酒が無くなったら、頼む」

「ゴジールさんのお父さんの大切なお酒なんだから、大切に飲んであげてね」

「酒は飾って楽しむものじゃない。飲んで楽しむものじゃ」


 まあ、それには同意だけど。

 テレビとかで何年もののワインとか出てくる。時間が経てば美味しくなるから価値があるって言っていた。

 そんなに美味しくなるものなのかな。

 お酒を飲まないわたしには分からない感覚だ。

 でも、美味しい食材があって、時間が経てば経つほど美味しくなると言われたら、食べるのを悩むかもしれない。


「でも、ほどほどにしないとスズランさんに怒られるよ」


 わたしは忠告すると、クマの転移門を使ってクリモニアに帰ってくる。

 流石に疲れたので、帰ってくると布団に入る。


「くまゆる、くまきゅう、おいで」

「「くぅ〜ん」」


 子熊化したくまゆるとくまきゅうは、わたしの横にくる。


「お休み」

「「くぅ〜ん」」


 疲れていたのか、温泉の効果なのか、すぐに眠りに落ちる。


 翌日、くまゆる、くまきゅう目覚まし時計をセットしなかったので昼過ぎまで寝てしまった。

 遅い朝食もとい、昼食を食べながら今後のことを考える。

 刀っていつできるんだろう。

 ロージナさんは時間がかかるようなことを言っていたけど。

 あとで確認しにいこうかなと考えながら食べていると、クマボックスに入っているクマフォンが鳴る。


「もしもし、誰?」


 電話のようにクマフォンに出る。


『ユナお姉ちゃん?』


 フィナだった。

 もしかしたら、カガリさんかなと思ったけど、違った。


「どうしたの?」

『ユナお姉ちゃん、まだ忙しいですか?』

「まだ?」

『和の国で、お仕事をしているって』

「…………あっ」


 そういえば、妖刀の件で、しばらく和の国で仕事をしているって伝えたっけ。


「ちょうど、昨日の夜に戻ってきたから大丈夫だよ」

『よかった』


 クマフォンから、安堵の声が聞こえてくる。


「なにかあったの?」

『ノア様がユナお姉ちゃんに会いたがっているんです』

「ノアが?」


 なんだろう?


「理由は?」

『手紙を預かっているそうです」

「手紙? 誰からの手紙か聞いている?」

『名前は聞いていないけど、ユナお姉ちゃんとノア様の知り合いみたいです』


 流石に差出人まで聞いていないか。

 誰からの手紙なのかな。


『それで、ここ最近、ノア様はユナお姉ちゃんの家や、わたしのところに確認しに来てて、今日も来ています』

「急ぎだったら、クマフォンで連絡をくれたらよかったのに」


 帰ってこられたかは別問題だけど、返答の有無ぐらいはできた。


『お仕事って聞いていたから、邪魔はしたくなかったんです。でも、ノア様が時間がないって、言っていて……』


 それで、連絡をくれたのか。


「今日も来ているってことは、ノアはそこにいるの?」

『今は、鳥の見学しています』

「それじゃ、わたしが帰って来たみたいだからと言って、家に来てもらって」

『分かりました』


 通話が切れる。

 手紙か。

 面倒ごとじゃなければいいけど。

 妖刀事件を終え、お酒の材料を取りに行き、魔物と戦い。昨日、帰ってきたばかりだ。いろいろあったけど、一週間ぐらいだよね?

 少しは休みたいと思うのは贅沢な悩みだろうか。

 わたしの座右の銘は、引きこもって、のんびりするだ。

 引きこもってゲームをしていたときよりも、働いているような。

 とりあえず、子熊化しているくまゆるとくまきゅうを抱きしめて、ノアが来るまでの短い時間をまったりすることにする。

 でも、その時間も短かった。


「ユナさん、いますか〜〜」


 ノアの声がする。

 わたしは起き上がり、玄関に向かい、ドアを開ける。

 そこには金色の髪をした美少女がいた。

 その後ろには可愛い女の子も一緒だ。


「ノア、フィナ、いらっしゃい。中に入って」


 わたしはノアとフィナを家の中に入れる。

 2人はソファーに座ると子熊化しているくまゆるとくまきゅうを膝の上に乗せる。


「それで、どうしたの?」

「ユナさんとわたしに手紙が届きました」


 ノアはそう言って、手紙をテーブルの上に置く。

 見た感じ、立派な封書だ。


「誰から?」


 手紙を確認するまえに尋ねる。


「セレイユ様からです」

「セレイユ? セレイユって、学園の交流会があったときに行った街の領主の娘のセレイユ?」

「はい、そのセレイユ様です」


 セレイユは母親をストーカー男に殺され、セレイユ本人も襲われた。そのときに、たまたま通りかかったわたしが助けたことがあった。

 犯人も死んでいるので、別に危険なことはないと思うけど。

 もしかして、あの事件で今更、呼び出しとか?

 でも、それならエレローラさん経由でクリフから呼び出されると思うんだけど。あの事件のことを知らないノアにセレイユが伝えるわけがない。


「そのセレイユがどうしたの?」

「ユーファリアの湖で行われるイベントがあるので、ぜひ遊びに来てくださいって、招待状が来ました。この前のお礼みたいです」

「イベント?」


 予想外の言葉だ。

 帰って来たばかりで疲れているから断りたいけど、イベントと聞くと行ってみたい気持ちが出てくる。

 体調は白クマで寝たことで疲れは取れているけど、精神的に疲れているので家でのんびりしたい気持ちもある。

 でも、目の前の金髪美少女は目を輝かせている。

 いつの間にかに、わたしはスキル、読心術を覚えたみたいで、ノアが「行きたい、行きたい」と言っているのが伝わってくる。


「ちなみに、いつ?」

「一週間後です」


 なら、少しは休めるかな。

 クマの転移門があるし、王都からくまゆるとくまきゅうに乗って行けば1日もかからない。

 一週間の休みのあとと思えば、気持ち的にも問題はない。

 それにイベントも気になるし。

 だから、わたしは了承する。


「いいけど、クリフの許可はもらっているの?」


 ノアが行きたいと言っても、父親であるクリフの許可は必要だ。


「もちろんです。ユナさんが一緒ならいいって」

「最近、クリフ、ノアに甘くない?」

「ユナさんが信用されているんだと思います」


 だとしても、簡単に貴族の娘の外出の許可を出すのは、あれだと思うけど。


「ちなみに、信用しているのはお父様だけでなく、フィナのお母様もミサのご両親もです」

「……ティルミナさんとミサのご両親?」

「実はフィナとシュリ、ミサも一緒に行くことになっています」


 ミサはノアの幼なじみの女の子で、クリモニアに隣接する領主の娘さんだ。

 ミサは愛称で、ミサーナが名前だ。

 わたしもミサの誕生日パーティーに呼ばれたことがある。



「お母さんに話したら、ユナお姉ちゃんが一緒にならいいって。迷惑ですか?」

「ティルミナさんの許可があるなら、問題はないよ」


 フィナとシュリは未成年だ。

 母親であるティルミナさんの許可があれば問題はない。


「でも、シュリは迷惑かけるかもしれないから、ユナお姉ちゃんがダメと言ったら、連れて行くことはできないです」


 シュリは目を離すと、勝手にあっちこっちに歩き出す。

 だから、いつもフィナが手を繋いでいることが多い。

 あの年頃は仕方ないのかもしれない。

 だからと言って、1人で留守番させるのは可哀想だ。


「シュリはしっかり、わたしが見ていますから」


 フィナが上目遣いで、わたしを見る。

 そんな目をしたら、断れない。


「いいよ。シュリも一緒に行こう」


 わたしが許可をだすと、フィナは嬉しそうにする。


「それじゃ、ミサの確認も」

「もちろん、ミサの両親から許可はもらっています」


 流石、貴族の娘だ。すでに根回しをしている。

 そのあたりはエレローラさんに似てきている。


「でも、招待されたのはわたしとノアだけなんだよね。フィナたちが一緒でも大丈夫なの?」

「手紙に友達もご一緒にと書いてありますから、大丈夫です」


 手紙に書いてあるなら、わたしが口を挟むことではない。

 そして、ノアは少し言いにくそうな表情をすると口を開く。


「それで、出発なのですが、明日でいいですか?」

「えっ」


 変な声が出た。


「移動する門があるし、そんなに急いで出発しなくても」


 クマの転移門のことはノアもミサも知っている。


「セレイユ様が早く来て欲しいと書いてありましたので」


 早く? イベント以外にもなにか用事でもあるのかな。


「でも、今からミサに連絡して、明日、出発するのは」


 ミサがいるのはクリモニアではない。他の街だ。

 くまゆるとくまきゅうが頑張れば、できなくはないけど。


「ふふ、実は、ミサは昨日から家に来てます」


 わたしは驚くけど、フィナも驚く。

 フィナも知らなかったみたいだ。

 話によると、ミサの父親がクリフに会いに来て、ミサが一緒に来たとのこと。

 それで、そのまま許可をもらったとのこと。

 今は、クリモニアを一緒に見回っているとのこと。


「ユナさんのお店にも行くとも言っていました」


 つまり、クマだらけの店を見られるってことだ。

 まあ、すでにクマの制服を見られているのだから、今更だけど。


「わたしが戻ってこなかったら、どうするつもりだったの?」

「そのときは、セレイユ様にお断りのお手紙を出しました」


 わたしは小さくため息を吐く。


「今から準備して、明日に間に合うの?」

「実は、いつでも出発できるように準備は終わっています」


 ノアは胸を張って言う。


「もちろん、ミサもです」

「ちなみにフィナは?」

「えっと、終わっています。ちなみにシュリも……」


 少し言いにくそうに答える。

 明日か……。

 わたしの休息日はないみたいだ。


「分かったよ。明日、出発しよう」

「ユナさん、ありがとうございます。わたし帰ってミサに伝えて来ます」

「わたしもシュリとお母さんに」


 2人は嬉しそうに家を出ていく。

 ノアが思い出したように振り返って、「あっ、ユナさん、水着の準備だけは忘れないでくださいね」と言うだけ言って、走っていく。


「ちょ、水着ってなに?」


 わたしが聞き返した時にはすでに、ノアとフィナの姿はなかった。




そんなわけで、遊びに行きます。

久しぶりのフィナたちとおでかけです。

セレイユ、再登場になりそうですね。

水着? 湖ネタが書きたくなったんです。砂漠と悩んだのですが、セレイユを登場させたかったので、こちらとなりました。


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店舗購入特典もあります。詳しいことは活動報告にてお願いします。


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※22巻の発売の情報はもう少しお待ちください。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
王都に行けばユナとせレイユの共通の知人であるシアにも招待状は届いているだろうしティリア姫も一緒に行くと駄々をこねるしティリア姫が押しかけてきたせレイユは慌てふためくだろうし面白展開になりそうだな まぁ…
>刀っていつできるんだろう >ロージナさんは時間がかかるようなことを言っていたけど 【944 クマさん、刀の材料を用意する】でロージナさんが、刀ができあがるまでの時間を、「はっきりした日数は分からな…
>クマの転移門があるし、王都からくまゆるとくまきゅうに乗って行けば1日もかからない ユナは、【940 クマさん、お酒を購入する】で、「違うよ。お世話になっている人にプレゼントしようと思って」として、…
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