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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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992/992

968 クマさん、酒盛りに付き合わせられる

 途中で黒クマに着替えたわたしは街に戻ってきた。

 くまきゅうは残念そうにしていたけど、白クマで街に戻ると黒クマ以上に目立つので、しかたない。


「ありがとうね」


 くまゆるとくまきゅうにお礼を言って送還しようとしたとき、ゴジールさんが声をあげる。


「待ってくれ。お礼を言わせてくれ」


 わたしは送還をやめる。

 ゴジールさんはくまゆるとくまきゅうに近寄る。


「初めはクマに乗るなんてと思ったが、乗り心地は最高だった」

「「くぅ~ん」」

「それと、守ってくれてありがとう」

「「くぅ~ん」」


 ゴジールさんはくまゆるとくまきゅうのそれぞれの頭を撫でながらお礼を言う。

 くまゆるとくまきゅうは嬉しそうにゴジールさんに擦り寄る。


「くまきゅうは、主人であるクマの嬢ちゃんのところに行けなくて、悲しかったかもしれないが、残ってくれて、俺は心強かった。1人だったら、怖かったと思う」

「くぅ~ん」


 その言葉にくまきゅうは嬉しそうにする。

 お礼も終わり、くまゆるとくまきゅうを送還する。

 そして、街の中に入る。


「それじゃ、報酬を貰いに行くとするかのう」


 カガリさんは嬉しそうだ。


「苦労したんじゃ。今日、飲む酒は旨いじゃろうな」

「頑張ったかいがあったよ」

「じゃが、お主はよいのか? お主が一番頑張ったのに、報酬が酒で」

「今回はカガリさんのために頑張ったんだから、問題はないよ。カガリさんが喜んでくれるのが、わたしの報酬だから」

「お主、誰彼かまわず、そんなことを言うのではないぞ」

「なんで?」

「相手が勘違いするからじゃ」

「勘違い?」


 意味が分からない。


「カガリさんがなにを言いたいか、分からないけど。誰彼かまわず言わないよ」


 知らない人の笑顔のために頑張るつもりはない。


「カガリさんにはお世話になっているから、喜んでもらえたら嬉しいだけだよ」


 知らない人が酒が飲みたいと言っても頑張るつもりはない。

 あくまで、親しい人限定だ。


「妾は注意はしたからな」

「よく分からないけど、分かったよ」


 わたしたちの会話を聞いていたゴジールさんは不思議そうにしていた。


「結局のところ、2人の関係はなんなんだ?」

「わたしの知恵袋的な人?」

「妾にとっては、お人好しの友人ってところじゃのう」


 友人と言われると、少し嬉しい。

 そんな会話をしながら、ゴジールさんの家までやってくる。


「ついて来てくれ」


 わたしとカガリさんはゴジールさんの後をついていく。

 ゴジールさんがお酒を造る建物の中に入ると、ゴジールさんの父親がいた。


「親父」


 ゴジールさんに気づくと駆け寄ってくる。


「無事に戻ったか」

「なんでここに?」

「お前が酒の材料を取りに行っているんだ。戻ってきたら、すぐに酒造りを再開するだろう。その準備だ」


 父親はニコッと笑う。


「親父……」

「それで、水は手に入れることができたのか?」

「ああ、持ってきた」


 ゴジールさんはアイテム袋から魔力水が入ったタルを出す。


「これで、酒が造れるな」


 ゴジールさんの父親は嬉しそうにする。


「親父、そのことで話すことがあるんだ」


 わたしたちは部屋の隅にある椅子とテーブルがある場所に移動する。

 そして、ゴジールさんは今回の死の山の出来事を話した。


「毒沼に、毒沼生物。それに、毒を探知する魔石か」

「それで、勝手に決めてしまった」

「構わん。もう酒造りのほとんどはお前に任せている。お前が、そう判断したなら、俺から言うことはない」

「親父……」

「それに、新しい酒を造るんだろう」

「できるかどうか分からないけど」

「俺も手伝うし、俺の親父が残した酒造りの資料もあるだろう」


 父親は息子のゴジールさんの肩を軽く叩く。


「親父、ありがとう」


 話も終わり、父親がわたしたちを見る。

「タロトバ(鍛治ギルドマスター)から嬢ちゃんの話を聞いたときは、信じられなかったが、息子を助けてくれてありがとう。そして、トンネルの件も感謝する。最近、山を登るのが辛くて、息子に任せていた。俺も久しぶりに行ってみる」

「中は暗いから気をつけてね」

「そのクマの形をした小屋も気になるしな」


 親父さんは笑う。


「それでは、報酬を貰うとするかのう」


 カガリさんは待ちきれない感じだ。

 そのために頑張ってきたのだから。


「そうだったな。待っててくれ」


 ゴジールさんは席を立つ。


「ああ、そうだ。親父の隠し酒も渡すことになっているから」

「なんだと!」


 ゴジールさんは父親の言葉を無視して、奥に向かう。それを追いかける父親。

 遠くから、「なに勝手に決めているんだ」「息子の命の代わりだと思えば安いだろう」「それとこれは別問題だ」「これからも酒が造れるのも嬢ちゃんたちのおかげなんだ」「そうだが」「トンネルの代金と考えれば安いものだろう」「……」「小屋から水の場所までトンネルを掘る依頼を頼んだら、親父の酒コレクションなんて、全部出しても無理だぞ」

 などの会話が聞こえてくる。


「ほう、父親は、たくさんの秘蔵の酒を持っているのか」


 カガリさんがニヤリと微笑む。


「全部とか言ったらダメだよ」


 わたしも少なからずオタクの気持ちは分かる。

 好きなもののコレクションは大切なものだ。

 他人にはゴミと思われても、その人には大切なものだ。

 お金には代えられないものもある。

 でも、趣味が同じ人にとっては、それは宝であり、欲しいものだ。


「言うつもりはないが、半分ぐらいならいいんじゃないか?」


 普通は一個でもダメだ。

 せめて、同じものがあって、布教用があれば許容はできるけど。

 そんな話をしていると、また騒がしい声が聞こえてくる。


「そんなに持っていくのか!?」

「これぐらいいいだろう」

「それは、過去最高の出来だった酒だ」

「また、造ればいいだろう」

「造れぬ。温度、気候、全てが噛み合ってできた奇跡の酒じゃ」

「俺が、その酒を超える酒を造るから」

「お前には無理だ!」

「俺を応援してくれるんじゃなかったのか」

「それとこれは別の話だ」

「騒がしいのう」


 それには同意だ。

 奥の扉からゴジールさんと父親がやってくる。

 ゴジールさんはたくさんの酒を抱えている。そんなゴジールさんに父親はしがみついている。

 なんとも情けない構図だ。


「待たせたな」


 ゴジールさんはテーブルの上に酒を並べていく。


「これが魔物が現れる前に造った酒だ」


 そう言いながら、それぞれのお酒の説明をしていく。


「これは親父が造った一番うまい酒だ。俺も、この酒造りを引き継いだときに、お祝いとして飲ませてもらったが、美味かった」

「うぅ」


 父親は名残惜しそうにお酒を見ている。


「それと、知り合いの酒職人の酒だ。これも当時、話題になった酒だ」

「ほう」


 カガリさんは目を輝かせる。

 ゴジールさんは一本一本、お酒の説明をしてくれる。

 わたしには分からないけど、どれも銘酒らしい。

 聞いても、凄いんだね。程度のことしか分からない。


「あと、これは前回の在庫だ。全部持って行ってくれ」


 10本ほどある。


「良いのか?」

「すぐに造り始めるから、問題はない。足りなくなったら、また造ればいいしな。もう、過去の酒は不要だ」

「そう言うことなら、ありがたく貰おうかのう」


 カガリさんは嬉しそうにアイテム袋にしまっていく。

 それをゴジールさんの父親は悲しそうに見ている。

 こればかりは約束だから仕方ない。

 カガリさんもお酒のために頑張ったのだから。

 うん? 頑張ったのはわたしだよね? とは思ったけど、カガリさんが嬉しそうだから、気にしないことにした。


「それじゃ、10本もあるのじゃ。さっそく一本を飲むかのう」

「待て、嬢ちゃんが飲むのか」


 父親が慌てる。


「親父、問題はない。なにも見なかったことにしてやってくれ」

「だが」

「お主たちもコップを持って来て、付き合え」


 カガリさんの言葉にゴジールさんと父親、カガリさんと一緒にお酒を飲み始める。

 わたしはお酒のつまみとして、クマボックスから、作り置きのフライドポテト、ポテトチップス、唐揚げ、焼き鳥、チーズ、豆腐などを提供した。

 わたしの食べ物は3人によって、食べられていく。

 酔ったゴジールさんには、何度もお礼を言われた。

 父親からも、感謝の言葉と酒は大事に飲んでくれと。

 カガリさんも口に合ったのか、美味しそうにお酒を飲む。

 わたし?

 わたしはお子様用の果汁で付き合ったよ。


 しばらくお酒を飲んでいたカガリさんは眠そうにしている。

 子供の姿だから酔いやすいのか。魔力の使いすぎで疲れていたのか分からないけど、船を漕いでいる。

 少し目を離すと目をつぶって、寝ている。


「それじゃ、わたしたちは帰りますね」


 わたしはカガリさんを抱き抱える。


「嬢ちゃん、本当にありがとう。酒が造れるのも嬢ちゃんのおかげだ」

「カガリさんのために、今後も美味しいお酒を造ってね」

「ああ、任せろ」

「新しいお酒の研究も頑張ってね」

「ああ、絶対に、この酒を超えてみせる」


 ドワーフの2人は、流石と言うべきか、酔っているけど、思考はしっかりしている。

 わたしは背中にカガリさんを乗せると、ゴジールさんたちにお礼を言って別れる。


「さて、この酔い潰れたカガリさんをどうしようか」

「妾は酔い潰れていない」


 酔っ払いが、酔っていないと言っている感じで言う。


「はいはい。とりあえず、帰るよ」


 わたしはドワーフの街にある家に帰り、クマの転移門を使って、和の国に転移する。

 そして、カガリさんが使っている部屋に移動し、敷かれっぱなしになっている布団の上にカガリさんを寝かせる。

 カガリさんは気持ちよさそうに寝ている。


「せっかく、和の国に来たんだから、温泉に入ろうかな」


 わたしは脱衣所に向かうと、子熊化したくまゆるとくまきゅうを召喚する。


「今日はお疲れ様。温泉に入って疲れを取ろう」

「くぅ~ん」


 わたしは裸になるとくまゆるとくまきゅうを連れて、温泉に入る。

 仕事のあとの温泉は気持ちいい。

 やっぱり、お酒より温泉だね。

 あと美味しい食べ物があれば最高だ。






これでお酒編、終了です。

お付き合い、ありがとうございました。

次回、まったり回になる予定。少し、設定が決まっていないので、投稿が遅れるかもしれません。

まあ、いつも細かい設定を決める前に書き始めるのですが。


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※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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>わたしはドワーフの街にある家に帰り、クマの転移門を使って、和の国に転移する カガリさんは和の国に帰ってきました。 カガリさんは、ルドニークの街でサクラにはお土産を買っていましたが、スズランさんやシ…
くまゆるとくまきゅうが召喚されてない時はどこで何をしてるのかめっちゃ気になる
>わたしはお酒のつまみとして、クマボックスから、作り置きのフライドポテト、ポテトチップス、唐揚げ、焼き鳥、チーズ、豆腐などを提供した 塩茹でした枝豆も欲しいところですね(笑。 ユナのクリモニアのお店…
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