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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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963 クマさん、竜のまがい物と戦う

 巨大クマを置き続け、巨大沼にT文字のクマの橋が完成する。

 これで、魔石を4分の1のサイズの沼に閉じ込めることができた。

 疲労感を感じるけど、白クマのおかげで魔力の余裕はある。


「ふぅ」


 一呼吸入れ、探知スキルに目を向ける。

 カガリさんのおかげもあって、探知スキルの反応は4分の1のサイズになった沼の中にいる。

 かなり小さくなった。

 それでも、かなりの広さがある。

 もう半分にすれば、一般的なグラウンドぐらいの大きさの沼になる。


「ユナ、まだか」

「もう一本を作るよ」

「もう、持たぬぞ」

「無理そうだったら、逃げてね」


 沼の大きさが小さくなるにつれて、まがい物の数も減っている。


 巨大クマを作る時間は短縮できる。

 わたしはどんどん作っていく。

 そして、完成する。

 魔石をグラウンドぐらいの大きさの沼に閉じ込めた。


 空から確認したカガリさんがわたしのところにやってくる。


「もう、無理じゃ。もう、攻撃はできぬ」


 カガリさんが小さくなる。


「ちょ、呼べないと危険だよ」

「飛ぶくらいの魔力は残っておるから、大丈夫じゃよ」


 ならいいけど。

 カガリさんを守りながら、戦うのは難しい。

 いざとなれば、クマハウスに閉じ込もる方法もある。


「それで、魔石は閉じ込めることはできたのか?」

「うん、あの辺りにあるよ」


 巨大クマを造りながらも、魔石の位置だけは絶対に見逃さないようにしていた。

 無事に小さい沼に移動させた。

 もし、大きい沼の方へ逃がしたら、半分からやり直しになる。

 それだけは防がないといけない。


「ここからは、わたしが戦うから、カガリさんは休んでいて」

「それじゃ、お言葉に甘えて、休ませてもらおうかのう」


 カガリさんはふらふらとしながら、飛び上がる。

 それじゃ、魔石の破壊といきますか。

 巨大クマの炎を投げ込む。

 何発も放つ。

 沼が盛り上がる。

 魔石だけは逃がさない。

 でも、探知スキルの反応は動かない。

 山のように沼が盛り上がる。

 今までの山ではなく、別の姿を形取っていく。

 イヤな予感がする。

 わたしはクマの炎、電撃魔法、あらゆる魔法を放つが沼の動きは止まらない。

 そして、クマで囲んで閉じ込めた分の沼の水全てを使って、1つの形になる。


「……竜」


 初めて見る竜だけど、地竜に近い。

 空を飛ばない、地上の王。地竜。

 地竜の形となった沼が動いたと思った瞬間、尻尾らしきものがわたしに向け振られる。


「ユナ!」


 カガリさんの叫ぶ声が聞こえてくる。

 わたしは反射的に巨大なクマを作り、地竜のまがい物の尻尾を防ぐ。

 巨大な水が壁に当たり、カガリさんの声が消え去る。

 地竜の尻尾はクマの壁に当ったことで、弾けるように激しく飛び散る。

 空から、汚い沼の水がわたしに降りかかってくる。

 今まで、毒沼から守ってきたのに。

 雨にも濡れないから大丈夫だと思うけど、いい気分じゃない。


「ユナ、大丈夫か」


 カガリさんが降りてくる。


「大丈夫だよ。それよりも、あれは竜だよね」

「間違いなく、竜じゃろう」


 氷竜とは違うけど、竜と分かる形だ。


「もしかして、過去にこの沼に竜が取り込まれたってことかな?」

「そうじゃろう」


 考えただけでも、恐ろしいんだけど。

 竜が飲み込まれたってことだ。


「どう思う?」

「どうとは?」

「強さだよ。まがい物だと思う?」

「そんなこと妾が分かるわけがなかろう。ただ、まがい物だと願いたいのう」


 それには同意だ。

 そんな話をしていると、まがい物の竜の口が開く。


「カガリさん! わたしの後ろへ」


 目の前に巨大なクマが現れると同時になにかが弾ける音がしたと同時に巨大クマの左右に液体が飛び散る。


「ユナ、毒じゃ!」


 カガリさんが持っている魔石が赤くなっている。


「カガリさん、離れて!」


 わたしの言葉と同時にカガリさんは逃げるように飛んでいく。

 わたしは竜の攻撃を自分に引きつけるために魔法を放つ。

 竜の口が開くと次から次へと毒沼の水をわたしに向けて吐き出してくる。

 わたしは巨大クマの後ろに身を隠す。

 巨大クマがわたしを守る。

 水がぶつかるたびに大きな音がする。

 まるで、砲撃を撃ち込まれている気分だ。

 クマで作っていなかったら、間違いなく壊されていた。

 さて、どうしたものか。

 砲撃が収まったのを確認してからクマの壁から顔を出す。

 竜モドキが体を捻って、尻尾を振るうところだった。

 クマの頭を土台にして、高くジャンプする。

 下では爆発するように尻尾がクマにぶつかり、沼の水が破裂する。

 尻尾は粉々になって消えるけど、すぐに再生するように元に戻る。

 わたしは空中で電撃魔法を放つ。

 電撃魔法は竜のまがい物の体を帯電させる。

 だけど、そのままなにもなかったように動き、帯電したまま水を吐いてくる。

 空気弾を放ち、水を砕け散らせるが、竜の背中の鱗モドキを飛ばしてくる。

 わたしは空中で空気弾を放って鱗モドキを撃ち落としていく。

 どうにか巨大クマの頭に着地、そのまま巨大クマの頭の上を走る。

 その間も鱗モドキが襲ってくる。

 電撃がダメでも、結局は沼だ。

 沼のほとんどが水分だ。


「これでも喰らって蒸発して」


 わたしは走りながら炎の巨大クマを作り、竜のまがい物に放つ。

 竜のまがい物の体は巨大クマを取り込むと、口の部分に移動させたと思ったら、わたしに向けて吐き出した。

 炎の巨大クマがわたしに向けて飛んでくる。


「ちょ」


 巨大クマの頭の上を走って躱す。

 どうして、自分で作った魔法に攻撃されないといけないのよ。

 あの竜の形をした沼が自由に扱えるなら、吐き出すのも自由だろう。

 当初のときみたいに、鍋が沸騰するみたいに黙って蒸発はしてくれないみたいだ。

 電撃もダメ、炎もダメ。


「それなら、これは」


 竜のまがい物の周りに風が巻き起こる。

 それは竜巻となり、竜モドキは竜巻に巻き込まれる。

 そして、竜の形を保てなくなり、竜巻と一緒に空に巻き上がっていく。

 クマに囲まれた竜となった沼の底は空になり、沼の水を抜きとったかのように沼の底が見える。

 竜と言っても、沼の水でできた竜モドキだ。

 皮膚が硬いわけでもない。

 攻撃すれば崩れ落ちる。

 電撃と炎は効果はなかったけど、所詮、水の塊だ。

 巻き上がった沼の水は汚いシャワーのようにわたしに降り注ぐ。

 クマの服大丈夫だよね。

 今は魔力を少しでも回復するために白クマだ。

 汚れが目立つ色だ。

 わたしは自分の体を見る。

 汚い紫色の雨は、白クマの服が弾くように、下に落ちていく。

 染み込むこともなく、濡れることもない。顔も守ってくれる最強の防具だ。

 だから、クマの服は脱げなくなるんだよね。

 クマの服のことを気にしていると、後ろでポチャと大きな音がする。


「…………」


 わたしはゆっくりと後ろを振り返る。

 それと同時に沼がゆっくりと盛り上がっていく。

 そして、沼の上に竜のまがい物が作り上げられる。

 わたしは咄嗟に探知スキルを確認する。

 ぎゃああああああああああ。

 乙女が出してはいけない心の叫びが外に出そうになった。

 探知スキルの反応が目の前にある。

 つまり、竜モドキを竜巻で空高く舞い上がらせたけど、魔石も一緒に舞い上がった。そして、最初に半分にした沼の方へ魔石が落ちた。

 わたしの苦労が消え去った。

 正確には初めのクマの壁の一本は残っているけど。

 でも、他のクマの壁は無意味となった。


「お主、なにをやっとるのじゃ!」


 カガリさんは上空から、文句を言っている。

 わたしがバカだってことぐらい分かっているよ。

 クマの壁が無駄になったんだから、一番落ち込んでいるのはわたしだよ。

 でも、同じように竜巻で巻き上げれば……。

 先ほどまで、クマの壁で分割した一番小さい沼と違って、今は巨大沼を半分にした大きさの沼にいる。

 それでも、巨大沼なのは変わりない。

 その沼に無数の竜モドキが現れる。

 探知スキルで、魔石の位置の確認をする。

 一番奥。

 また、厄介な位置に。

 わたしと探知スキルの間を沼が遮っている。

 簡単に攻撃を仕掛けられる位置ではない。


 それとも、防衛反応でわたしから逃げているのかな。


 わたしのことを脅威と思ったのか分からないけど、危険を冒してでも戦うしかない。

 わたしは沼の上を走り出す。

 スキル、水中歩行。

 スキルのおかげなのか、クマ靴のおかげなのか、走りやすい。

 でも、後ろが振り向くと、ホラー展開が広がっている。

 わたしが走った後に、人の手モドキが浮かび上がって、わたしを掴もうとしている。

 走りを止めない。

 竜のまがい物が襲ってくる。

 コカトリスのまがい物が襲ってくる。

 ヴォルガラスのまがい物が踊ってくる。

 蜘蛛のまがい物が襲ってくる。

 蟻のまがい物が襲ってくる。

 馬、鹿のまがい物が襲ってくる。

 ウルフ、リスのまがい物が襲ってくる。

 そして、人のまがい物も襲ってくる。

 周囲に竜巻を起こし、液体状ののまがい物を飛び散らせる。

 竜のまがい物に攻撃を仕掛けようとした時には、探知スキルの位置が変わる。

 数の暴力のせいで、周囲を確認し、襲ってくる敵を倒しながら、探知スキルで反応の位置を確認するのが難しい。

 ようは走りながらスマホの画面で移動する反応を確認しながら、周囲が襲ってくる状況だ。

 さらには足元から手が出てきて、わたしを掴もうとするし。

 はっきり言って、無理ゲーだ。

 どうする。

 どうしたらいい。


「…………」


 周囲全てが襲ってくる。

 沼の中に逃げ込めば、まがい物は襲ってこなかった。

 でも、次も襲ってこないとは限らない。

 沼の中に入ったとしても、速く移動することができないから魔石を追いかけることはできない。

 前回みたいに、ジッと動かないでいてくれたら、壊せるんだけど。

 なんとなくだけど、完全にわたしを敵視している。

 それがエサとして見ているのか、魔物としての潜在意識として襲ってくるのか、分からない。

 火、水、風、土、雷、どれもが決定打にはならない。

 …………!

 ある方法が頭に浮かぶ。



次回決着…………のはず。


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参考にしたいと思います。リクエストがあれば活動報告にて、よろしくお願いします。

22巻の発売の情報はもう少しお待ちください。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
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>「もう、無理じゃ。もう、攻撃はできぬ」 >カガリさんが小さくなる 詰まり、カガリさんは今、幼女の身体にブカブカの大人の服を着ている状態なのですね(汗。 和服なら、帯を締め直せば服がずり落ちて脱げる…
デゼルトだっけ?砂漠の町 そこから数キロ離れた所に転移門(どこでもドア?)設置して 沼の水を全部砂漠に流すしか無いんちゃうか? 空っぽに成った沼を火魔法で乾燥させて 残った多数の魔石の塊を破壊して 砂…
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