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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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985/988

961 カガリさん、毒沼と戦う

 ユナが沼に飲み込まれた。

 沼が大きくそびえ立ったと思ったら、柱の上にいたユナに向けて倒れてきた。

 柱の上にはユナの姿はなかった。


「クマの嬢ちゃんが!」


 ゴジールが叫ぶ。


「「くぅ~ん」」


 クマたちが飛び出そうとしておる。


「待て!」

「「くぅ~ん」」


 クマたちを止めると、抗議するような表情で妾に詰め寄ってくる。

 このクマたちはユナの召喚獣じゃ。ユナと繋がっている可能性が高い。


「確認じゃ、お主たちのご主人は生きておるのか?」

「くぅ~ん、くぅ~ん」」


 クマたちは首を縦に動かす。

 でも、クマたちは心配そうに沼を見ている。

 ユナにもしものことがあったら、このクマたちなら、悲しみ、泣いていたじゃろう。

 なにより、ユナが死んだなら妾の言葉など聞かず、飛び出していたはずじゃ。

 でも、妾の言葉で止まった。

 つまり、ユナは生きておる。


「妾がユナを助けに行ってくるから、お主たちはユナの言葉を守って、こやつのことを頼む」


 妾はゴジールに目を向ける。

 妾が離れればゴジールを守る者がいなくなる。

 それにユナはクマたちにゴジールを守るように頼んだ。

 それがクマたちの役目じゃ。


「嬢ちゃん、なにを言っているんだ。あのクマの嬢ちゃんは毒沼の中に飲まれたんだぞ。生きているわけがない」

「このクマたちが生きていると言っておるから、ユナは生きておる。それに、あのぐらいで死ぬようなヤツではない」


 ユナなら、なにかしらの方法で生きているはずじゃ。

 大蛇を倒したユナのやつが、あんなスライムみたいな生物に負けるわけがない。


「このクマは本当にクマの嬢ちゃんのことが分かるのか?」

「ユナの召喚獣じゃ。繋がっているから、分かるのじゃろう」

「召喚獣って、凄いんだな」


 このクマたちが特別かもしれぬが。


「だが、助けに行くと言っても、どうやって行くんだ? 下には毒が流れているかもしれないだろう」


 毒対策をしないと妾でも危険じゃ。

 ユナのように対策方法はない。

 風を纏う方法もあるが、毒を巻き込む可能性もある。

 このクマたちのように毒を感じることはできないから危険なのは変わりない。

 なにか方法は……。

 妾の視線がゴジールが持つ魔石に向かう。


「お主、その魔石を貸してくれぬか?」

「この魔石をか?」


 ゴジールは自分の持つ魔石に目を向ける。


「そうじゃ。その魔石は毒が近くに寄ってくれば赤くなるのじゃろう。それがあれば、安心して沼に向かうことができる」

「本当に、あのクマの嬢ちゃんは生きているんだよな」

「クマたちが悲しんでないからのう」

「嬢ちゃんを助けることができるのか?」

「絶対とは約束は出来ぬが、毒沼に取り込まれても生きているから、救い出すことはできる。もしくは、妾たちの心配をよそに、勝手に現れるかもしれぬ」


 ユナは規格外の強さじゃ。

 なにごともなかったように現れる可能性は十分にある。

 でも、それにはきっかけが必要かもしれぬ。

 ユナの現状が分からないと言って、ほっとくわけにはいかぬ。


「だが、この魔石があったとしても、どうやって助けに行くんだ? あんなに距離があるんだぞ」


 普通に行けば、大変かもしれない。

 でも、妾は飛ぶことができる。

 問題点があるとしたら、どれほどの間、飛ぶことができ、どれほど戦えるか問題だ。

 ウルフや(アント)ぐらいなら、なにも問題はない。

 でも、相手はスライムのような巨大な生物。

 幼いままでは本来の力は発揮はできぬ。

 妾はアイテム袋から、大人用の服を取り出す。

 そして、服を脱ごうとしたとき、クマたちが動く。


「なんだ?」


 ゴジールが叫んでいるが気にせずに大人用の服を着る。

 後ろを振り返ると、クマたちが妾を守るように立っていた。


「お主たち、なにをしておるのじゃ?」

「「くぅ~ん」」

「なるほど、着替えから守ってくれていたのか」


 ダメじゃのう。無頓着になっておった。


「感謝する」


 クマたちにお礼を言って、ゴジールの前に立つ。


「嬢ちゃん、その服は?」


 妾はブカブカの服を着ている。


「これから見ることは誰にも言うのではないぞ」


 妾は大人の姿になり、服のサイズが体に合う。


「……嬢ちゃんが、大人になった」

「魔石を貸してくれ」

「ああ」


 ゴジールは呆けた表情で魔石を差し出してくる。


「ユナを助けてくる。お主はクマたちの指示に従え。クマたちもゴジールのことは頼んだぞ」

「「くぅ~ん」」


 クマたちの頭を撫で、沼のところに向かうため体を浮かす。


「嬢ちゃんが浮かんだ」


 ゴジールの言葉は気にせずに空を飛び、毒沼に向かう。


「それにしても、ユナのやつ、本当に生きておるのか?」


 クマたちは心配そうにしていたが、悲しんでいなかった。

 ユナが生きている証拠だ。

 じゃが、現れないってことは、なにかしらの理由で沼から出てこられないのかもしれぬ。

 沼の中で拘束されておるのか、身を潜めてチャンスを窺っているのか。

 拘束されておるなら解放してやらないとならぬ。

 攻撃の好機を窺っているなら、妾がその好機を作ってやることもできる。

 毒沼に近づくと、毒沼で作られたヴォルガラスが襲ってくる。

 篝火を飛ばして倒す。

 あまり、魔力は使いたくないが、襲ってくるなら倒すしかない。

 次々と襲ってくるヴォルガラスを倒し、沼の上までやってくる。

 魔石を確認するが、無色なままだ。

 やはり、毒は地上付近だけみたいだ。


「じゃが、どうやって、ユナのやつを救い出すかのう」


 ユナの現状が分からないので、最善策を取ることができない。

 どうするか考えておると、沼が動き出す。

 空を飛んでいる妾を餌と見たのか、


 山のように盛り上がる。

 そして、沼の一部が口みたいに開く。

 嫌な予感がして息を止め、魔石を見る。

 魔石が薄い赤に変わったと思った瞬間には赤くなる。

 毒だ。

 上に向けて魔石が無色になるまで逃げる。

 そして、魔石が無色になるのを確認してから、息を吐く。


「ふぅ」


 魔石がなかったら危なかった。

 それにしても、ユナのやつはどんな魔法を使って、毒から守っておるのじゃ?

 本当に謎の女じゃ。


 とりあえず、あの沼の化け物の気を逸らすことにする。

 沼に向けて、篝火を放つ。

 効果は期待できぬが、引きつけることはできる。

 もし、沼の中でユナが逃げだそうとしておるなら、助けになるはずじゃ。

 沼は妾を襲うように次々と魔物の形をしたものを生み出す。

 沼の上には人の形もある。

 この山で死んだ者たちじゃろう。

 じゃが、どうして、この沼は沼で死んだものたちの形を作り出しておるのじゃ?

 コカトリスのまがい物が近づいてくる。

 毒沼で作られているから、触れたら危険かも知れぬが、遠くから攻撃を仕掛ければ、脅威にならない。

 ただ沼の液体で作られただけの生物。

 それに倒し方はユナのヤツが教えてくれた。

 空気弾を作り、コカトリスの液体状の体に穴を数カ所開けると、形状を保つことができず、崩れ落ちる。

 じゃが、沼の上に落ちるだけだから、再度復活してくる。

 面倒じゃのう。

 ユナのヤツは、どうやって、巨大な沼を倒すつもりでいたのじゃ?

 逃げずに戦い始めたってことは、倒す算段があったはずじゃ。

 ユナの行動を思い返してみる。

 沼に向かってクマの炎を放っていた。

 まさか、沼の水を蒸発させようとしていたわけじゃないよな?

 流石のあやつでも、そんなバカなことを考えておるまい。

 あやつは規格外じゃから、妾が思い付かない方法で倒すつもりでいたのかもしれぬ。


 とりあえず、妾にできることをする。

 ただ、あまり魔力を使いすぎると飛べなくなり、危険じゃ。

 妾は襲ってくる魔物のまがい物を倒しながら、沼の上を飛び回る。

 どこかにユナがいるはずじゃ。

 ユナを探しながら、襲ってくるまがい物を倒していく。

 沼から細い液体状が伸びてくる。

 風魔法で切るが、すぐにくっつく。

 ユナがコカトリスを倒したときを思い出す。

 そういえば、切り離した後の間隔が近いとくっついたことを思い出す。

 面倒じゃのう。

 倒すなら、粉砕させるか、蒸発させるかしかない。


「篝火」


 炎を出し、蒸発させる。

 手に持つ魔石が薄く赤くなる。

 空に上がり、毒を薄めるために風魔法を放つ。

 空から襲いかかるヴォルガラスとコカトリスのまがい物に対処しながら、沼が盛り上がり本体まで襲ってくる。

 飛び回りながら攻撃を躱し、まがい物を倒していく。

 ユナ、生きておるなら、さっさと出てこい。

 妾にできることは注意を引くことだけじゃ。

 攻撃を躱していると、後ろから妾の名を呼ぶ声が聞こえる。

 後ろを振り向くと、柱の上にユナがいた。

 いつのまに……。


「やっぱり、お主、生きておったか」


 ユナの姿を見て、妾は安堵する。


「勝手に殺さないでよ。でも、やっぱりって?」


 ユナは怪我をした様子も、毒に冒された感じもない。

 逆に妾の言葉に言い返してくる。


「お主のクマたちが心配はするが、悲しんでいる様子はなかった。お主が死ねば、あのクマたちは泣くじゃろう。でも、泣かずに、心配しておった」


 やっぱり、あのクマたちはユナの状況を把握していた。

 ユナとクマたちは繋がっておるのじゃろう。

 それにしても元気そうでよかった。

 それから、ユナと一言二言、確認をする。


「それで、この沼はなんなんじゃ?」

「カガリさんでも分からないの?」

「初めはスライムかと思ったのじゃが」

「違うの?」

「分からん」


 スライムのように見えるが、なにか違うように感じる。

 妾も長いこと生きておるが、知らぬことも多い。

 この手のことはいろいろな国を冒険してきたムムルートのほうが詳しいじゃろう。


「じゃが、どうやって倒すかのう」


 妾に向かってくるヴォルガラスのまがい物を火の魔法で倒しながら尋ねる。


「そのことだけど」


 ユナは沼に取り込まれていたときのことを話す。


「魔石の集合体か……」

「それを壊せば、倒せると思うんだけど」

「お主、それが分かっていて、目の前にして、壊せなかったのか?」

「攻撃を仕掛けようとしたときに、誰かさんが沼と戦い始めて、沼が動き出して、攻撃ができなかったんだよ」


 助けになると思って、沼を引きつけたことが裏目に出たようじゃ。


「それはすまなかったのう」

「でも、わたしを助けるためだったんでしょう」


 ユナは怒らず、優しく言ってくれる。

 倒す機会を邪魔されたのじゃ、普通は頭ごなしに怒ってもおかしくはない。

 でも、ユナは妾の行動を理解してくれる。

 それが、なんとなく嬉しい気持ちになる。



カガリさんはユナを救うために戦っていました。

ユナを救うために戦ってくれる数少ない人です。


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参考にしたいと思います。リクエストがあれば活動報告にて、よろしくお願いします。

22巻の発売の情報はもう少しお待ちください。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
毒沼があるから毒獣以外の魔物が寄り付かず、 ガス警報機があるから、他の魔物を出し抜けた環境なのに、 毒沼潰しちゃったら、普通にヤベー猛獣だらけになるのでは? ガス警報器が指針にならない分、むしろ出入り…
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