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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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1010/1013

986 クマさん、ポスターを描く

 そして、夕刻には4枚のポスターが完成する。

 時間がなかったので、結構、手抜き感がある。


「お疲れさまです」


 フィナが笑顔で言ってくれる。

 シュリは途中で眠そうにしていて、今はベッドで寝ている。

 騒ぎすぎたのだろう。


 ノアとミサは一度帰ってきたけど、すぐにセレイユの父親とバードさんと出て行った。


「本当にノアが言っていたとおりにユナは絵が上手ですね」


 セレイユが4枚のポスターを見ながら言う。

 セレイユは学園から戻ってきて、わたしがポスターを描くところを見ていた。

 なんでも、学園に行ったはいいけど、授業中だったとのこと。

 そういえばセレイユは今日、学校を休むとか言っていた。普通の学生は授業中だ。


「しかも、内容が分かりやすい。去年との違いも分かるし、加速する魔石がどんなものかも分かる」


 四コマ漫画だからね。


「あとは、これを複写して、校舎に貼って、新たに募集ね」


 セレイユは、まずは学校で許可をもらうために校長? 学園長に話をしてきたと言う。

 自由参加ということで、許可はもらえたそうだ。

 そして、明日の朝一から募集をかけるとのこと。


「それで、現状では何人ぐらいが応募しているの?」

「一般の部に応募していたのが10人ほどでした。その10人にお会いして、無事に学生の部に参加をしてくださることになりました。それと簡単に加速の話をしましたら、面白そうと言ってくれました。あとは、人数を集めるだけですね」

「このポスターが役にたってくれたら、いいけど」

「今日中に複写の依頼を出して、明日の朝一で学園に貼りましょう。ユナ、このポスターをお預かりしても、よろしいですか?」

「うん、いいよ」


 そのために描いた。

 役に立たないのが一番悲しい。

 セレイユはポスターを持って、部屋を出ていく。

 そして、セレイユと入れ違いでノアとミサが帰ってくる。


「戻りました」

「お疲れ様」


 ノアとミサは疲れた感じで椅子に座る。


「それで、セレイユの父親と一緒にいて、勉強になった?」

「そうですね。交渉の仕方、立場が下の者たちに無理強いはさせない。お互いにアイデアを出し、どこが妥協点なのか話し合い、合意に持って行くのか、勉強になりました」

「上から、部下に命令して終わりじゃないんだ」


 よく、漫画やアニメだと上司が部下に命令して、終わりが多い。

 ドラマに登場するお父さんも、上からの命令は断れないんだよ。と愚痴をこぼしているシーンを見たことがある。


「そのような貴族はいます。その街の領主に逆らったら、街で暮らしていけませんので、下の者は従うしかありません」

「でも、それは街にとって、よくありません」

「人は流動的です。良い街に引っ越すこともあります」

「経済を回す者たちを手放す事になります」

「それが良い人材なら、なおさら被害は大きくなります」

「人を育てるには時間もお金もかかります。何より、その人の経験は街の財産です」


 人は学ばないと何もできない。

 学ぶには時間がかかる。

 そして、経験は失敗でも成功でも財産だ。

 失敗したことを知れば、二度と同じ失敗をしないようにする。

 成功経験があれば、それに似たようなことができる。

 わずか10歳で、そこまで理解しているノアとミサは凄い。

 わたしが10歳のときを思い返してみるけど、そんな立派なことは考えた事もない。


「2人とも凄いね」

「そんなことはありません。ただ、お父様やお母様に言われているだけです。自分の街に住む住民たちに嫌われた領主に未来はないと」


 そうだよね。

 住民がいてこその街だ。

 お金を稼ぐ住民がいなければ、税金も入ってこない。


「とくにユナさんの件で、お父様は厳しくなりました」

「わたし?」

「孤児院の件もそうですが、ユナさんに見捨てられないようにするため、良い街にしないといけないと言っていました」

「……? 別に、わたしはそんなに偉い人じゃないよ」


 ノアは首を横に振るう。


「偉い、偉くないの問題ではありません。ユナさんはお父様が見えていない部分を見てくれる存在と言っていました。それが真っ直ぐで、純粋だと」


 純粋、そんなことを言われたら、恥ずかしいんだけど。


「それと、ユナさんはお父様が間違ったことをすれば意見を言えるでしょう」 


 初めの頃は言えなかったけど、今なら言える。


「それに、ユナさんは国王陛下にも言えます」


 流石に、国王陛下にまでは……。

 少し、考えると、言うかも。


「わたしも同じようなことをお父様とお祖父様に言われました」


 ノアの話を聞いていたミサが話に加わる。


「ユナお姉様は自分が正しいと思った道を進みます。それが魔物でも貴族相手でも、普通の人は怖くて進めません。でも、ユナお姉様は進みます」


 反論したかったけど、わたしの進む道を塞ぐ者がいたら、魔物でも貴族でも叩き潰して進む。


「ユナお姉様は、たった1人で貴族と戦い、わたしを助けてくれました」


 気恥ずかしいから、やめてほしい。


「分かったから、わたしの話はいいよ」


 わたしが真っ赤な顔をして言うと、ノアとミサが微笑む。


「それで、ユナさんのポスター作りの方は終わったのですか?」

「終わったよ」

「見せてください」

「セレイユが複写するために持って行ったから、今はないよ」

「うぅ」

「複写してきたら、戻ってくるから」


 そして、みんなで、今日一日、なにをしていたか、話し合った。

 途中でセレイユが複写したポスターを持って帰ってきて、ポスターを見たノアとミサは感動していた。

 4コマ漫画からアイデアをもらったから、わたしが褒められることはない。

 4コマ漫画を最初に考えた人が褒められるべきだけど、この世界に4コマ漫画を最初に考えた人はいない。

 漫画家は偉大だ。


 そして、お風呂に入り、夕食をいただき、ベッドに倒れる。


「今日は疲れました」

「たくさん、歩きました」

「そうですね」


 ノア、ミサ、セレイユは疲れている。


「わたし、魔石の仕分けぐらいしか手伝っていないです」

「わたし、寝ていただけだよ」


 フィナとシュリがノアたちの話を聞いて、自分たちが仕事をしてないことに、少し暗い表情をする。


「2人とも、わたしを手伝ってくれて助かったよ。一人だったら、もっと時間がかかったよ」


 特に魔石の管理は面倒だ

 何も考えずに複写ができたから、早く終わった。

 これが数を確認しながらしていたら、その度に手が止まり、時間がかかったはずだ。

 シュリの魔石の手渡しもそうだ。

 なにも考えずに受け取り、箱にセットできたことも時間短縮になっている。

 そのことを説明すると、2人は少し嬉しそうにする。


 翌日、セレイユは学園へ。

 わたしたちはマーネさんのところに行く。

 ちなみに、セレイユからなにも言われていないので、今日はクマの格好をしている。


「マーネさん、おはよう」

「おはよう」

「疲れているね」

「わたしの作業が遅くなれば、あとで作業する人たちが困るからね。でも、わたしの作業も終わったから、今日から休めるわ」


 なら、よかった。

 マーネさんは、わたしたちが帰ったあと、大会関係者と渦巻きの強さを確認したそうだ。

 その後設置場所まで行き、渦巻きを発生させる魔道具を湖に沈め、魔力線で陸まで繋ぎ、渦巻きを自由に動かせたり、止めたりできるようにしたそうだ。

 さらには魔力を渦巻きを発生させる魔道具に注ぎこめるから、レースが終わるたびに魔道具を回収しなくてもいいとのことだ。


「さっそく、今日から始めるそうよ」

「もう?」

「一日でも早くしないと、練習ができなくなるでしょう」

「昨日、セレイユ様のお父様が冒険者ギルドなどに連絡の指示を出していましたので、今日から人が集まってくるかも知れません」

「午前中は10歳以上の部と一般の部に解放され、午後から強者の部だから、午後から来るでしょうね。そのあとに授業を終えた学園の生徒が練習する感じね」

「それじゃ、わたしたちも練習してきましょう」

「はい」


 シュリを残したみんながボートの貸し出しの場所に向かう。


「いいな」シュリはボートに向かうフィナたちの背中を羨ましそうに見ている。

「それじゃ、シュリ、みんなが帰ってくるまで、わたしと2人で散歩しようか」

「ユナ姉ちゃんと?」

「いや?」

「ううん、行く!」


 わたしはシュリを連れて街に向かう。


「どこ行こうか」

「う〜ん……ユナ姉ちゃんと一緒なら、どこでもいいよ」


 シュリは少し考えて答える。

 その言葉は嬉しいんだけど、どこでもいいのが一番困る。

 女の子なら、服や雑貨屋さんに行ったりするかもしれないけど。


「それじゃ、適当に散策しようか」

「うん」


 とりあえず、わたしはシュリを連れて、街を散策することにした。


「なにか、食べたいものや欲しいもの、見たいものがあったら言ってね」


 わたしたちは街の中を歩く。

 シュリが勝手に走り出さないように手を繋ぐ。

 シュリはわたしのクマのパペットを握る。

 やっぱり、クマの格好だと目立つのか、視線を集める。でも、シュリは気にした様子はなく、わたしのクマパペットを握りながら、周りを見ている。

 それが、わたしには嬉しい。

 わたしはシュリの小さい手を優しく握る。


 わたしとシュリは美味しいものを見つけては、一緒に食べ、面白そうなものがあれば見て、ティルミナさんとゲンツさんにお土産になりそうなものがあれば買った。

 シュリはお金の心配をしていたけど、いつもティルミナさんと一緒に孤児院の仕事を手伝ってくれているお礼だから、気にしないでと言った。

 フィナとティルミナさんの影響なのか、最近のシュリはお金にしっかりしてきている。

 ティルミナさんと一緒に買い物に行っているから、ちゃんとした金銭感覚を育んでいるみたいだ。


「あれ、ユナちゃん?」


 屋台で買った果物を食べていると、誰かが声をかけてきた。

 声がしたほうを見ると、ルリーナさんがいた。



このネタを思い付いたのもルリーナさんが水着をこの街で買ったことを思い出したためでした。

登場させるか、悩んだのですが、登場してもらうことになりました。

※キャラを登場させすぎると、作者のキャパオーバーになるので、登場させたくなったのですが……。


2014年10月13日 に「くまクマ熊ベアー」の1話目を書いて、今日が2026年10月10日

次回より、13年目に突入ですね。


※7月3日にくまクマ熊ベアー外伝~ユナのよりみち手帖~ 5巻が発売しました。

※6月5日にくまクマ熊ベアーのコミカライズ14巻と文庫版13巻が発売しました。

店舗購入特典もあります。詳しいことは活動報告にてお願いします。


PASH! BOOKS 10周年記念 POP UP SHOPにて販売されましたグッズがFuuuuオンラインショップにて販売が開始されました。

気になるグッズがありましたら、よろしくお願いします。

※毎月28日は【ふたばの日クーポン】の日らしく、クーポンコードを入力すると10%になります。

クーポンの配布方法:購読者にメールでクーポンコードを配布するそうです。

くわしくはFuuuuオンラインショップにて、お願いします。


※PRISMA WING様より

くまクマ熊ベアーぱーんちのフィギュアが10月に発売予定です。


※22巻の発売の情報はもう少しお待ちください。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
>一般の部に応募していたのが10人ほどでした。その10人にお会いして、無事に学生の部に参加をしてくださることになりました セレイユの話では、レースは「部門」ごとに、10名を一組とした予選を2回行い、…
>「分かったから、わたしの話はいいよ」 >わたしが真っ赤な顔をして言うと、ノアとミサが微笑む ユナは、容姿に関してもそうですが・・・”自己評価”が低いですよね(汗。 なにか幼少期に、”自己肯定感”が…
誰にも忖度せず誰の紐付きでも無く第三者として意見を言ってくれるユナの存在は有難いだろう。 ただ、概ねわざわざユナから何かしら言われた頃には不味いことになってる(孤児院の様に)から、最期のセーフティでは…
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