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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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976 クマさん、ボートの乗り方を教わる

 マーネさんがボートの乗り方を教えてくれることになり、マーネさんも水着に着替えてくる。

 マーネさんの水着はワンピースタイプだ。

 可愛いけど、少し子供っぽい。

 でも、そんなことを言ったら、怒るし、いじけるかもしれないので、口にしない。

 わたしだって、体型のことでいじられたら、嫌だからね。


「まずは、見本を見せるから、しっかり見ておいて」


 マーネさんはボートに乗り込む。

 ボートに乗った瞬間、ボートが左右に揺れるけど、気にした感じはない。


「椅子があるから座って、舵輪をしっかり握る。舵輪の握り方は、ここに魔石があるから、魔石を包むように握って」


 マーネさんはハンドルというか舵輪を握る。


「そして、魔石を握っている手から魔力を流す」


 マーネさんがそう言うと、ゆっくりとボートが動き出す。


「動きました」


 ノアたちが歓喜の声をあげる。


「速度を上げたかったら少し魔力を多く流す」


 ボートの速度が上がる。


「曲がるときは、魔力を流すのをやめるか、魔石から手を離し、速度を落としながら曲がる」


 ブレーキはないのかな。

 そもそも船ってブレーキってあるんだっけ?

 うろ覚えだけど、ボートにはないよね。

 船の速度を落とすにはプロペラを逆回転させるんだっけ?

 女の子がボートレーサーを目指す漫画を読んだことがある。

 ボートレース用のボートにはプロペラが付いていた。

 プロペラを逆回転させると減速したり、バックしたりしていた。

 プロペラは速度を落としたりバックするだけでなく、僅かな角度で水流の流れが変わり、最高速度や曲り方が変わるって描いてあった。

 このボートにはプロペラがついているの?

 魔石から風を出すだけかな。

 そんなことを思いながら、マーネさんが操縦するボートを見る。


「速度を上げるには魔力を増やす。曲がりたい方へ舵輪を回す。曲がるときの注意は速度を落とすのがコツね」


 マーネさんは手本を見せるようにわたしたちの周りを走って見せる。速度を上げたり下げたり、綺麗な円を描く。

 まるでレースゲームみたいだ。

 まあ、ボートレースだけど。

 過去にゲームの中におまけ要素にボートレースのミニゲームがあった。

 体重が軽いと、出だしと直線は速いけど、コーナーが安定しない。

 体重が重いと、出だしも直線も遅いけど、コーナーが安定して曲がれた。

 車レースでも似た感じだった。

 マーネさんのボートの動きを見ながら、そんなことを考えていると、マーネさんが戻ってくる。

 ボートの開発者だけのことはあって、ボートの扱いは上手かった。


「基本的な説明は以上よ」


 マーネさんは身軽にボートから下りる。

 もしかして、マーネさんって運動神経がいい?


「マーネ姉ちゃん、かっこいい」

「そう?」


 マーネさんはシュリに褒められて嬉しそうにする。

 それともマーネ姉ちゃんと呼ばれたのが嬉しいのかもしれない。


「基本の乗り方は、魔石に触れて、魔力で速度の調整。舵輪を動かして方向を変える。以上だけど、なにか質問はある?」


 マーネさんはわたしたちを見ながら尋ねる。

 わたしは気になったことを尋ねる。


「魔力をたくさん、魔石に込めたら、速度は上がるの?」

「安全設計になっているから、組み込まれている魔法陣が一定量以上の速度は出ないようになっているわ。だから、大量の魔力を流しても最高速度は変わらないわ」


 速度に限界がなかったら危険だ。普通の道路を高速道路と同じ速度で車が走ったら危険だ。そのあたりはしっかりしているみたいだ。


「もし、人の魔力で速度が上がったら、魔力が多い人が勝ってしまうでしょう」


 確かに魔力=エンジンだったら、魔力が大きい者が勝つ。それでは平等ではない。

 

 でも、その速度の調整って魔法陣でしているのかな?

 いまいち、魔法陣に関しては知識がないから、なにができるのか、分かっていない。

 ゲームや漫画でも、主人公が、魔法陣を見ながら、ここがあれで、ここがあれだから、ここを修正すれば。とか言って、魔法陣を作ったり、修正しているのを見るけど、実際に魔法陣を目にすると、意味不明だ。


「それじゃ、魔石に魔力を込め続けたら、ずっと走り続けられるの?」


 次の疑問を尋ねる。


「できるわよ。でも、大会の勝利には関係しないわね。魔石にある魔力分の距離しか走らないから、有利にはならないわよ」


 距離に制限があるなら、魔石に魔力が残るだけで、レースには関係ない。

 マラソンみたいに長距離なら、有利になりそうだね。


「それじゃ、魔力を多く持っている人が船を動かせば、多くの人や荷物も運べるんじゃない?」


 魔力を魔石に注ぎ込み続ければ、走り続けることができる。

 海を渡ることも可能だ。


「可能だけど、もし途中で魔力が尽きたら、動かなくなるわよ」


 確かに、海の真ん中で止まったら大変だ。

 

「でも、ユナの言うとおりに可能性はあるから、研究はしているわよ」

 

 魔力が回復すれば動かすことはできるし、交代してもいい。方法はある。


「ユナ、質問は、そのぐらいにして乗りましょう。みんな乗りたそうにしていますから」


 みんな、乗りたそうにしている。しかも、セレイユもだ。


「それでは、みなさんは青い旗が付いているボートに乗ってください」


 ボートの後ろに青い旗が付いている。

 他には赤色の旗がある。


「旗の色に意味があるの?」

「赤い色の旗は通常ボート、青色の旗のボートは初心者用です。初心者用のボートは、速度が出ないようになっているのよ。上手に操縦できないのに、速度が出たら危険でしょう」


 確かに、車でも間違ってアクセルを全開に踏み込んだら、危険だ。ゲームで速度を出しすぎて、壁に何度もぶつかった。でも、速度が遅ければ、危険も少ない。練習するには適している。


 ボートの説明を受けたわたしたちはボートに乗り込む。

 乗った瞬間、揺れる。


「あわわ、揺れます」

「思っていたよりも揺れます」

「それでは、まずは各自で練習しましょう。そのあとに疑問がありましたら、マーネ様に相談ってことで」

「はい」

「分かりました」

「落ちた時は、無理しないでくださいね」


 シュリを見ると羨ましそうに見ている。

 乗せてあげたいけど、年齢制限があるならしかたない。

 そんなシュリを見たマーネさんが優しく声をかける。


「あなたは年齢的に乗れないのね」

「うん」

「誰かと一緒に乗ろうと思っているのですが」


 マーネさんとシュリの話を聞いていたセレイユが言葉を挟む。


「全員素人ね。いいわ。わたしが一緒に乗ってあげる」

「本当!」


 シュリは嬉しそうにする。

あとで、わたしが乗せてあげようと思ったけど、上手に乗れるマーネさんのほうがいい。

 シュリのことはマーネさんに任せ、わたしはハンドルを握る。

 未成年のわたしは車やバイクの運転はもちろん、船の操縦もしたことはない。

 あるのはゲームの中だけだ。

 アクセルは足ではない。ボタンのような魔石だ。

 ハンドル型コントローラを握っていると思えば、できないことはないはずだ。

 わたしは握っている魔石に魔力を流す。

 ゆっくりと動き出す。

 バイクも車も運転したことがないから、少し感動。

 ハンドルというか舵輪を少し、動かしてみる。

 ボートが右に曲がる。

 面白いかも。

 子供が遊園地のゴーカートではしゃぐ気持ちが分かる。

 わたしも童心に返った気分だ。

 速度を上げる。

 初心者用のボートなのか、それほど速度は出ない。

 速度が出るボートでも、最高速度が同じなら、勝負はコーナー。

 いかに、速度を落とさずに曲がれるかが勝負になるってことだ。

 それには、まずは速度制限されている初心者用のボートは卒業して、普通のボートに乗らないとダメだ。

 わたしは周囲を見る。

 フィナはゆっくりとボートを動かしている。

 ノアは「うわ、意外と速度が出ます」と言いながら、速度をあげている。

 ミサはゆっくりと円を描くように、ぐるぐると回っている。

 シュリはいつのまにか、マーネさんと一緒に2人用のボートに乗って、楽しそうに騒いでいる。

 1人で寂しくしていなくてよかった。

 マーネさんには感謝だ。

 でも、こうやって見ると、子供が2人乗っているようにしか見えない。

 そんなことは本人の前では言わないけど。

 そして、わたしの勝負相手のセレイユだけど、なにをやらせても上手のようで、滑らかに、ボートを動かしている。

 綺麗な旋回。

 本当に、初めて乗るんだよね?

 わたしに勝つために、こっそり練習とかしていたんじゃないの?

 と思うぐらいに、ボートの扱いがうまい。

 わたしが勝てるのはゲームや漫画で得た知識だけだ。

 問題は知識だけで、ボートを上手に操縦できるかだ。

 もし、知識だけで操縦ができるなら、車の教習所なんて必要はなくなる。

 だからと言って、知識が不要ってわけじゃない。

 学科の授業だって何十時間もあると聞いた。

 知識は無駄じゃない。

 知識を上手に操縦に活かせるかだ。

 ともかく、勝負を挑まれたからには、負けるつもりはない。

 今は練習するのみだ。

 それ以上に、今はこのボートを楽しみたい。



説明回です。

ユナも未成年なので、車もバイクの経験はありません。

あるのはゲームや漫画の知識だけです。


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※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
千話達成おめでとう御座います‼️これからも楽しく読ませていただきますのでよろしくお願いします。
千話到達おめでとうございます! まだまだ先は長そうですが、引き続き楽しい話を書いてください。
1000話達成おめでとうございます! ここからどんなバトルが見られるのか楽しみで仕方ないです
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