第四十三話
まず、低音で弦を弾く音がポンポンと聞こえてきた。
ポンポン、ポンポン
静かに始まる事を報せてくれている音だ。
シュルットの大きい版みたいなのを演奏している。
隣でも、小さいソネアを小さい棒で叩いている。
微かな音過ぎて俺には聞こえないけど、きっと何となく体には伝わっているんだと思う。
何となく、心臓がドキドキしてきた。
スッと一人の人が立ち上がった。
今から私が演奏しますよというアピールだろう。
持っていたのは、メヤーラ。
静かに構えると、伸びやかな音が響き渡る。
外で、しかも魔力の壁に囲まれているから聞こえにくいかと思ったら、ハッキリと聞こえてくる。
ハッキリと、だが穏やかに演奏が始まっていく。
ひとフレーズ吹き終わると、一斉に他の楽器が合流し、一気に盛り上がる。
ひと盛り上がりすると、今度はメヤーラよりも小さな楽器の人が立ち上がり、高い音が響き渡る。
その旋律は、メヤーラが引いたのと同じようで少し違う旋律。
今度は、とても大きな、グネグネとした楽器を三人がかりで動かしながらの演奏だ。
同じ旋律で、最初の低音よりも低い、重低音が響く。
その演奏方法は、見ているだけでも圧巻だ。
グネグネとした胴体を行ったり来たりしながら操っている。
いろんな楽器が代わる代わる同じ旋律を紡いでいき、その度にリズムを刻む楽器が増えていく。
間にも、不思議な音がちょこちょこと入ってくる。
まるで鳥の鳴き声のような音が入ったり、水の中で息を吐いた時のようなボコボコという音が入ったり、宇宙を連想するような音が入ったりもした。
同じ旋律が繰り返されるからこそ、楽器ごとの音色の違いが鮮明に伝わってくる。
最初は真面目に演奏している綺麗な旋律だと思っていたのに、繰り返される間に、どんどんポップに変化していくのも面白い。
始めはメインの楽器が立ち上がって演奏していたのに、次から次へと立ったり座ったりするから、誰がメインなのか分からないじゃないかと思っていたら、いつの間にかメイン楽器とか関係なく、音楽に合わせて立ったり座ったりしていた。
子供向けの演奏会としては最高だ。
楽しくなって、俺も音楽に合わせて揺れていたし、ゼンツも足で拍子をとっていた。
やがて佳境に入ると、旋律が変わって、一気に盛り上がっていく。
一度に鳴らされる楽器の数も増え、色んな音が入り混じる。まるで、音の洪水だ。
圧倒されていたら、真ん中で太鼓の大きいヤツみたいな楽器を演奏していた男が立ち上がった。バチを横からゆっくりと上げていく。
それに合わせて、他の楽器の盛り上がりも最高潮に向かっていく。
そのバチが上まで上がり、バンッと振り下ろされた瞬間。
ドンッ
すべての楽器の音が鳴らされ、次の瞬間には一切の音が無くなった。
圧倒された。
非常にいい音楽を聞いた。
俺は、自然と椅子から立ち上がって、痛いほど手を打ち鳴らしていた。




