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うむ。なるほど。  作者: たなかそう


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第二話

これが転生というものか。


ザーザーと血液の流れる音。

ドッカンドッカンと鼓動する響き。

ギュルギュルと唸る腹の虫。

水の中で話すように、曖昧に響く人の声。


どうやら、これが母体の中というものらしい。

目はまだ見えていない。だが、手や足の感触は徐々に出来てきた。音が聞こえるということは、耳の機能も完成しつつある。時々、無意識のうちに口から液体を摂取しているので、口もあるのだろう。飲み込んでいる感覚もあるし、排泄も行っていると見える。

何となくの感覚で、手や足をふらふらと動かしてみるが、まだ母の腹には届かない。外の音に耳を澄ます限り、母はひどい悪阻(つわり)に悩まされているようだ。申し訳ないが、いましばらくはなんとか耐えていただきたい。


しばらくは、ふわふわと浮きながら、ただ羊水を飲むだけの日々を満喫していた。

そんな、ある日。

母が悪阻で苦しんでいると思しき時に、何となく労わりを込めて胎内(たいない)で手を広げてみた。

すると、手のひらから「何か」が外へと抜けていった気がした。

最初は気のせいだと思ったのだが、とりあえず何度か繰り返してみた。気持ち悪いの無くなれ~との思いを込めて。すると驚いたことに、その度に母親が元気になった気がした。


これは、もしや治癒(ちゆ)魔法か?!

俺は本当に、剣と魔法の世界に生まれ変わったのか?!

ビバ!!

異世界転生など、俺の妄想かと思いきや、実現するとは!


異世界転移の天命は無くとも、俺には異世界転生の運命が待っていたのだ。


そうなれば、もう遠慮はいらない。

念願叶った俺を止める者など居やしない。いや、居てはならない。

悪阻の気配がするたびに労わりを込めて力を送り、治まった後も、愛情と感謝を込めて力を送り続けた。

しばらくすると、母は力を送らずとも悪阻に悩まされなくなった。時期が過ぎたのだろう。


しかし、俺は休まず力を送り続けた。

何となく寒そうな時には、ポカポカするイメージで。

何となく暑そうな時には、涼しくなるイメージで。

とにかく、前世で重ねたイメトレ通りに力を送り続けた。


なにせ。

「初期段階から力を使い続けることが、魔力の器をデカくする」

というのが、異世界のテンプレだからな。

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