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うむ。なるほど。  作者: たなかそう


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第十六話

そんなある日、俺は、見てはいけない()()を見てしまった。

場所は、騎士団の訓練場から少し森側に移動した辺りであった。


初めは、何か密談でもしているかと思い、静かに音を立てないように近づいた。

だが、ちょっと大きめの(つや)っぽい声が聞こえ始めてからは、正直、進むのを躊躇(ためら)った。

どうでもいいし早く戻ろう、と促してくるメフィスレスに対して、アイッシェンの目はキラキラと好奇心で輝いていた。

俺は、アイッシェンの意見を尊重した。若い者の意見は最優先である。

なんてことはない。ただのデバガメ精神だ。


俺は、極力静かに前進した。

カサカサくらいの摩擦音はしただろうが、奴らはそれ以上に大きな音を立てているので全く問題ない。

そして、木の影からそっと顔を出すと。

案の定、予想していた通りの光景が広がっていた。


メフィスレスは俺の横で完全に呆れかえっており、アイッシェンは俺の横で口元をニヤニヤと歪めている。

だが、俺は予想していたものとは若干()()()の違う光景に、ただ呆然(ぼうぜん)としていた。


俺はてっきり、騎士団の誰かが女を連れ込んでヨロシクやっていると思っていたのだ。

なのに。

そこに居たのは、どちらも騎士団の制服に身を包んだ、むさ苦しい男だったのだ。


凄まじいカルチャーショックである。


前世でも身近にそういう趣味の人間はいたし、知り合いにも「男を好きになってしまった」と苦悩していた奴はいた。何なら自分だって、前世で可愛い男の子に手を出したことくらいはあった。

時代的にも、同性愛カップルは増えていただろうし、認められるようにもなっていた。

だが、五十年の生涯でも、ガチムチ同士のリアルな行為を目撃したのは初めてだった。


衝撃のあまり、俺は声を失い、瞬きも忘れ、呼吸すら止まっていたと思う。

いつの間にか、俺はメフィスレスの背中に乗せられて、自室のベッドまで強制連行されていた。

いつもとは違う、どこか慰めるような感じでメフィスレスとアイッシェンが交互に頬を舐めてくる。

別に偏見はない。恋愛は自由だと思う。だが。

どうも、俺のこの幼い赤ん坊の脳には、まだ早すぎる劇物だったようだ。

いつの間にか、二人の温かいモフモフに埋もれて、現実逃避するように眠りについていた。

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