206話 家でのクリスマス
◇
「もうすぐご飯できるからね〜」
部屋に戻る途中キッチンから母さんの声が聞こえた
【ごはん】、そのワードを聞いた途端お腹が空いてくる
確かに…バタバタしていてお昼を食べてなかった…継人と一緒に食べる予定だったランチ…
⋯ってことは、継人もお昼を食べてなかったのかも!?
また継人への聞きたいことと罪悪感が一つ増えた…
「はーい! できたら呼んでねー!」
わたしは母さんに返事をすると部屋へ急いだ
◇
夕飯は毎年恒例のクリスマスチキンだった
鳥の骨付きもも肉一枚に手で持つところをアルミホイルで巻いてるやつ
現在に戻ってからは毎年クリスマスの定番だ
未来じゃケンタッキーばかりになってたっけか…
家族で食べるクリスマスの夕食だけは毎年変わらなかった
こんなクリスマスだって来年からは少し変わるのかも…
以前のわたしは来年のクリスマスを継人と過ごしていた
継人と過ごせるクリスマスに浮かれてたわたしは残された両親二人きりのクリスマスを想像することなんてなかった
まだ来年のクリスマスのことを考えていいのかわからない状況だけど少しでも現在の家族でのクリスマスを楽しもうと思った
夕飯を終えクリスマスのケーキを食べる
母さんの淹れてくれるコーヒーの香りがたまらない
この時ばかりは普段あまり甘いものを食べない父さんも揃ってケーキを食べていた
ケーキを食べながら時計を見る
時計の針は8時30分を少し過ぎている
もう少し、そしたら継人へ電話しよう
中々進まない時計の針が焦れったく感じる
クリスマスが終わらないで欲しい…なんて思ってた時期もあったけど、今日のクリスマスだけは早く九時をまわってほしかった
「どうした? 随分とそわそわしてるじゃないか?」
父さんが嬉しそうにわたしに声をかける
母さんも同じように嬉しそうだ
二人して公然となったわたしの異性の(まだ)友達?の存在に興味津々なんだろう
「わかってるくせに… ちゃんと話しをしておきたいの! 迷惑ばっかりかけちゃってるんだから…」
それだけ言うとわたしはコーヒーを口に運んだ
わたしの反応に父さんと母さんは顔を見合わせ微笑んでいた




