202話 帰宅途中
「よかった… 気づいてくれたんだね… 今日のところは帰ろう? 送ってくよ」
ごめんなさい、ごめんなさい、としか言えてなかった
継人は理由もきかず うんうんと頷いてるだけだった
どうやって帰りの切符を買って、電車に乗ったのか思い出せない…
わたしはずっと泣いていた…
ちゃんと継人に謝りたい、理由を聞いてほしい、これからのことだってちゃんと話したい…
そんな気持ちが間違いなくあった
だけど実際のわたしはただただ泣くことしかできていなかった
こんなわたしに継人はなにも言わず傍にいてくれた
泣いてる女の子と一緒だなんて周りからどんな好奇な目で見られてるかなんて気にもせずに、ただわたしに寄り添ってついてくれていた
その優しさにわたしはまた泣けていた
泣きながら言葉にならない声で継人になにか話そうとしていた
電車を降りてバスに乗って、いつもの坂道を予期せぬかたちで二人で上る…
こんなかたちでこの坂道を二人で歩くことになるんだ…
この頃には少し落ち着きを取り戻してきていたのだろうか
わたしはこの後のことを考えれるようになってきていた
「ほんとに…ごめんなさい…」
はっきりとした声での『ごめんなさい』に、今までと違うわたしを察したのか継人は
「今度こそホントに落ち着いてきたかな?」
わたしは小さく頷く…
冗談ぽく話すことでわたしの緊張をやわらげようとしてくれてるのがわかる
こんなところまで送らせてしまって…
それだけでも申し訳ないのに継人はまだわたしを気づかってくれてる…
わたしの中には継人への心苦しい想いが幾重にも重なっていた
ちゃんと伝えておかなきゃ…申し訳ないって気持ちも、遅れた理由も…ここまでしてくれてる感謝の気持ちを…
でないと、もうすぐ家に着いてしまう…
「あの、今日は本当にごめんなさい… 子どもが自転車でクルマとぶつかって…警察が来て、救急車が来て、パトカーに乗って…」
はやる気持ちと焦る気持ちで言葉が上手に出なかった
そんな自分に情けなくてまた涙が出そうになる
「慌てないでいいから、今日のところはゆっくり休んで、また今度落ち着いて話してくれればいいよ」
継人はわたしを優しくなだめながら落ち着かせようとしてくれていた⋯
えっ? また今度⋯? 今たしかにそう言ったよね⋯?
わたしは驚きながら継人の顔を見ていた
「ほら、もう家が見えてきたよ」
継人に言われて家のすぐ近くまで帰ってきてたことに気づく
「少し遅くなったしご両親に挨拶だけでもしておいた方が安心するかもしれないね」
こんな状況なのにまだわたしを気づかってくれる継人…
わたしが戸惑っていると継人はわたしの家のチャイムを鳴らした
家の中から慌ただしい足音が聞こえたかと思うと、
ー ガチャッ
と勢いよく玄関のドアが開いた




