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203話 初対面




         「「 美紗緒!! 」」




両親揃ってのお出迎え⋯ その視線は真っ先にわたしに向けられ、即座に継人つぐとの方へと向けられていた


「こんばんは、初めまして。 永久継人と申します。 今日は少し遅くなりましたので娘さんをお送りさせてもらいました。」


丁寧にお辞儀をして両親に挨拶する継人

初対面なのに落ち着いた態度の継人の姿に両親は少し面を食らっているように見えた


「これはこれは、初めまして。 ご丁寧にどうも、美紗緒の父です。 わざわざ娘を送ってくれてありがとうございます…」


継人よりも父の緊張の方がすごかった

そりゃそうなるよね、いきなり見たこともない男の人が娘を家まで送ってくるなんて状況、想像してないだろうし…

思いもよらぬ状況にわたしはいつのまにか平静を取り戻していた


「初めまして、どうも美紗緒の母です… ってそんなことより美紗緒? 警察から電話があって…なにがあったの?? 心配したんだから!!! なにかあったんならうちに電話の一つでも入れなさい!!」


母は継人に挨拶したかと思うと、わたしへの矢継ぎ早な質問攻めへと転じた

母に言われて家に連絡することが頭から抜け落ちてたことを思い知る… さすがに心配かけたであろうことは容易に想像できた ましてや警察から連絡があったと言うのならなおさらだった…


「そうだぞ美紗緒!! なにがあったか詳しくはわからんが 落ち着いてから電話の一つでもできただろう!! 父さんも母さんもどれだけ心配したか⋯」


言い返す言葉もなかった… 継人への想いばかりが先に立ってホントに申し訳ないけど家への連絡まで頭が回ってなかった


「ごめんなさい! ホントにごめんなさい!」


ただただ平謝りだった…

継人の前だけどここまで両親を心配させてしまったことはきちんと謝らなければいけない

親の気持ちが痛いほどわかるのに 今のわたしは継人への想いだけで動いてしまっていた


「それでは、お父さん、お母さん、僕はこれで失礼します。 ゆっくりと美紗緒さんとお話しください。 ちゃんと美紗緒さんのお話し聞いてあげてください。」


いったん親子の会話の流れを絶つように継人は会話に割って入り深々とお辞儀をした

わたしは慌てて大事な話しを継人へ切り出した


「あ、あの…永久さん… 今日はホントにすみませんでした… せっかくのクリスマスを…」


「うん、そうだね… それを言うなら重命しげながさんだってせっかくのクリスマスだったろ? 仕方ないさ」


「⋯さっき言ってた『次』って、わたしがこんなこと言うのもなんなんですけど、『次』って…あるんですか⋯?」


さっき何気なにげに継人が言った言葉…

二人のこの先を考える上でとても大切な言葉だった

わたしの思い違いかも知れないと思うと 怖くてうつむいてしまっていた


「うん? ちゃんと今日なにがあったか?だって聞きたいし、それに…そのカバン、そこには例の本も入ってたんじゃないのかな? だったらその話しも聞きたいんだけど?」


継人の返事に目の前がパッと明るくなったような気がした

顔を上げ継人を見る

わたしのカバンを指さし最後はまた冗談ぽく笑う継人

その表情はおどけて見えた

こんな時にもまだ冗談を言えるなんて、どれだけ余裕あるんだ…?


「もし、落ち着いて電話できるなら9時以降にかけてみて? そのくらいなら出れるから。」


わたしはこくりと頷いた

その表情は安心感から来る笑顔に満ちていたに違いない


「じゃあ!」


わたしと話し終えると継人は もう一度両親に深々と頭を下げて帰って行った


わたしと両親は継人が見えなくなるまで見送ると家の中に入って行った



辺りはいつの間にかすっかり暗くなっていた




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