200話 現実
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階段を下りきると、改札が見えてくる
これが何事もなく、家を出た時のように余裕を持って迎えられていれば どれだけこの瞬間ときめいただろう…
だけど、今は約束の時間を約3時間も過ぎている
それでもここまで来たのは自分勝手なケジメ…
自分自身が納得するためなのだろう…
もし、万が一にも継人が待っていたら…
わたしが待ち合わせ場所に姿を見せないと心配して継人がずっと待っていたら…
そんなことを考えるのも恐ろしけど、だからこそわたしは待ち合わせ場所に行かないといけないと思えていた
継人がそこにいなかったとしても、いないことを確認することがわたしのケジメだ…
わたしが電車に乗った駅と比べると人の行き交いが断然と多い待ち合わせ場所の駅
一通り改札を抜ける人の波が収まるのをわたしは待っていた
決して現実を見るのが怖かったわけじゃない…
それでも中々動き出せない自分がいた
改札へと向かう人の影がなくなると、わたしは意を決して改札へと向かった
ハッキリ言って気は進まない…その気持ちは足に乗り移りまるで重りでもつけてるかのように足取りを重くした…
それでもなんとか改札で駅員さんに切符を渡して構内へと出る
ほんの少し歩けば先週継人と待ち合わせた場所…
あそこで先週子どもとぶつかったんだ…
あの奥のベンチに継人は座ってたんだ…
まるでゼンマイの切れかけたロボットのようにぎこちなく進むわたし…
これだけ遅れてるのに急ごうともしないなんて、そんなこと思わなくもなかったけど、現実を先延ばしにしたかったんだろうか…
待ってるハズがない… そう思ってはいてもそこに継人がいない現実を見るのが怖かった
どれだけ足取りが重くても改札を抜ければ待ち合わせ場所へはすぐだ…
祈るような気持ちで待ち合わせ場所を覗く…
先週継人が座っていたベンチに…
継人の姿は… なかった…
当たり前の光景… わたし自身予想し得たこと…
それでもそこに継人がいない現実を目の当たりにし、
わたしは涙が溢れた
溢れる涙はわたしから視界を奪っていく…
目を開けているのか閉じているのかすら わからなくなっていく歪んだ視界…
ボー然と立ち尽くし目から溢れる涙を止めようともしなかった
わたしの異様な光景に どうしたの?と声をかけられても、ただ首を横に振るしかできなかった
どんな感情が自分の中に渦巻いてるかハッキリ理解していない
ごめんなさい!って申し訳ない感情だったとしても、それが誰に対しての申し訳ないなのか…
未来を知らなければ 素直に継人に対してだけの申し訳ない感情って言える
だけど、だけど現在のわたしは誰に対して謝ればいいのか…
そんな全ての感情が涙となってわたしの目から溢れているんだと思ってた




