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光が射す、その前に  作者: march


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夕立音

今日は休みだ。前日は異動が決まった同僚と個人的な送別会と称したお酒の席があった。

今更になってビールが美味い。昼間の仕事で年甲斐もなく現場を徘徊し、汗をかいたから水分が欲しい。正常な身体の反応だ。


少し頭痛を伴い、例外なく、早朝に目覚める。溜まり気味の業務が頭を霞める。

以前、発表の席で涙を流した23歳から自身の業務上の意思が記されたメールだけを読んだ。返信はしない。

僕は彼女を認めている。配慮のある進め方には好感が持てる。何度も彼女を誉めた。多分、まだまだ誉めて欲しい欲求があるのだろう。


7時。平日だし、この古びたアパートの駐車場には車が1台も停まっていなかった。だから洗濯機を回して良いと思った。

今日は午後から雨予報であった。でも洗濯ものは溜まっている。あくまで僕の閾値だが、人から言わせれば溜まってはおらず、誰も洗濯機は回さないだろう。

早めに乾く“風乾燥モード”を選び、いつもより倍の時間を設定した。どうせ時間がある。やることもないのだ。


水を入れると1分程度で沸騰するケトルで熱いお茶を淹れた。僕の中ではここ20年、サプリメントと呼んでふさわしい鎮痛剤を流し込み、喉を伝う熱さが少し痛かった。


株価のチェックをして、売りだの買いだの、結果論しか示せないアナリストのウンちく記事を読み、その先の一般人のコメント欄を見る。好き勝手な事を言う。こんな事に時間というコストを掛ける。アナリストもコメント一般人たちも最近流行りの承認欲求の塊のように思えた。23歳の部下もそうだ。僕が23歳の時はそんな概念もなかった。でも流行りには敏感な小僧だった。


シャワーを浴び、外に出た。

目を瞑っても何が陳列されているかわかるくらい常連であるスーパーで、いつもと同じもの、ただし最安値でないと買わないロジックはそのままにつまらないショッピングを終え、プジョーに乗り込んだ。

雲が重なり15時を過ぎて、この世の終わりを知らせるくらい暗さが増した。風乾燥モードを無事に終え、外に干した衣類が危機であったが、最悪の事態は逃れた。


激しい夕立。雨音は僕の心を落ち着かせる。


昨日、現場で忙しい中、業務の監査があり、若めの女性が甲高い声で指摘を繰り返し、脳を疲労させた。元嫁との婚姻時代に仕事でヘトヘトになって帰宅した時に、詰められた。あの声と同類だった。。


それでも、いろいろな役割なのだろう。承認すれば良いのだ。興味がないけど興味があるふりをして承認すれば良いのだ。


雨音は僕を落ち着かせる。



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