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光が射す、その前に  作者: march


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6回目の夏の終わりに

夏の終わりに。


普通で言うのなら1回の恋に、この言葉を使って良いのは1回までと決まっている。


2021年から6回目の“夏の終わりに“を迎えた僕は酷いみた目と、恒例行事のぎっくり腰を患い、何事にも我慢できなかった人の典型(孤独、不健康、暇)を突っ走っている。

暇と書いたが暇ではない。僕にはいつも変わらない恋人=仕事がSっ気たっぷりに僕を疲弊させる。

先週は100歳を迎え、監視をしなければ炎天下で畑の草むしりをすると言う祖母に会いに行った。会う前に何か記念となるものを探しに田舎街のギフトショップを徘徊したが、ただでさえお店が少ないのにお盆期間中で全て定休日の張り紙が埋め尽くされた。

当たり前だが、記念品なんていらないだろう。でもせめてカタチとして残したい。多分、彼女は“元気な僕の姿“が1番のギフトとか言うのは容易に想像がつくけど、僕がそれでは嫌なのだ。

「花かな。。」

百寿は白を基調とした物が常識らしい。花屋に入った僕は比較的若くて綺麗な店員からそれを教わった。

ふむふむ、頷きながら店内を見渡した時に、赤の“ プリザーブドフラワー“が目に入り、それにした。祖母は女性だ。100歳の婆さんでも女性だ。

花をプジョーに積み、祖母のいる本家には行かず、実家に帰った。

「今日はおばあちゃんはデイサービスだから居ないよ」

父の情報だった。


翌朝、本家近くの寺に行き、祖父が眠る墓に行き、線香に火をつけたが上手く火がつかず、僅かに火がついた3本の線香を墓の入れ物に入れて、会釈した。

この適当さに祖父は残念がるだろう。もっとちゃんとしろ。と。

そそくさ背を向けて、本家に向かう。

どこにそんな金があるのか、わからないような立派な本家の玄関は鍵もかけられておらず、黙って扉を開けた。

叔母が出てきて、「いらっしゃい。1人なの?」と聞かれ頷く。

親戚には面倒で離婚した事を伝えていない。

「婆さんは?」

「おばあちゃんは今日はデイサービスでいないのよ。昨日なら居たのに。。」

父を恨んだ。と同時にやっぱり心配した。


叔母と最近の親族関連の話をして、超がつくほど熱くて美味しい緑茶とあまり好きではないスイカを食べ本家を後にした。


大渋滞の都心に戻り、今、災害レベルが高いと速報が鳴る愛着のない住居に着いた。


6回目の夏の終わりは切なくとも何ともない。

祖母が赤いプリザーブドフラワーを観て喜んでる。と

気配りのある叔母のショートメール。


僕は幸せ者だ。


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