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12.想定外が起きているようです。③

 うーん。

 一時的に結界を解くにしても、その魔法の構成を知らなくてはいけない。

 ゲームでこの祠が現れたのは、世界が綻びはじめ、結界を維持する精霊の力も弱まり、代わりに中の魔獣が力を増したからだ。

 今はまだ、ラスボスらしき姿はない。

 おそらく、女神の力も、精霊の力も上手く作用しているのだろう。

 イベントを思い返してみる。

 《森の探索》で採取できるはずの薬草や鉱石が、大陸中で採れなくなったのがはじまりだった。

 魔獣の数が日に日に増えてきていて、浄化するためのアイテムの消費も増えていく中、その材料が枯渇するのは死活問題だ。

 そこで、問題の原因を探り解決することが、聖女候補最後の課題となる。

 攻略対象を協力者に調査をはじめるのだが、この課題は引いては聖女王エンド確定イベントだ。

 精霊王に会い、神殿内に封じられている強大な魔獣を倒さなければならないこと、そもそも女神の力が不安定になってきており世界そのものが危機に瀕していること、それを救うのが「聖棺」の「聖女王」であること、それらのことが明かされ、誰が聖女王になるべきなのか、攻略キャラとヒロインの懊悩がはじまる。

 聖女王エンドはメイン攻略対象の四王子だけのシナリオだが、誰のルートに行っても号泣しかなかった。

 読み返すのも辛くて、二周は出来なかった。

 概要はこんなものだが、果たして、ラスボスの正体はなんだっただろうか。

 少なくとも、誰が何のために結界を張っているかを理解しない限り、ここから出ることすら出来ないだろう。

 精霊王にラスボスとなる魔獣が封じられていたのは確かだ。

 世界の綻びがきっかけで、とにかく強い魔獣が大地の、精霊の力を奪っていて、封印も解かれそうだという話で、その案内で綻びかけた結界の中の祠に辿りつき、そしてすぐにラスボスの魔獣にエンカウント。

 攻略対象と倒し、浄化してイベントクリア。

 魔獣の正体に言及はしていない。

 とにかく魔獣は魔獣で、女神の負の余剰が集まって発生するもの、という理解なので、そもそもが何か、なんてことは考えていなかった。

 けれどよく考えたら、はじめから封じられているのだから、魔獣以前に何某かであったはずなのだ。

 うーーーん。

 思案しているわたしに、アレクシアもミシェルも何も言わない。

 祠に対する警戒はしているようだが、今すぐに、あそこから魔獣が飛び出してくるということは無さそうだ。

(祠、祠かあ。祠ってことは、何かを祀っているんだと思うんだけど)

 周囲からは、精霊の強い力を感じる。

 中に閉じ込められてしまっているわたしたちに対し、結界の外から様子を伺っているような気配だ。

 しかし祠自体は不気味なほど静かで、何かを抑えこんでいるような様子はない。

 薄黒い石祠が、森の中に穴がぽっかりと空いたような、白く固い土が剥き出しになった更地の中心に建っている。

 外周を歩くのに一分もかからないような狭さだが、その中には草一本も生えていない、生茂る森の樹々の中にあって、異様さを携えていた。

 祠自体は特に凝った造りでもなく、前世で見かけたことがあるような小さくて単純な構造だ。小さな屋根に、中を覗く縦穴がひとつ。長年そこにあると分かるのに、けれど苔すら生していない。

 ぐるぐるとその周りを歩いてみた後、ひょいと、わたしはその石祠の穴を覗き込んだ。

「「ディアナ様」」

 慌てるアレクシアと、諫めるミシェルの声が重なる。

 何があるかわからないのに、不用意なことをしたからだろう。

 けれどこれそのものが何かがわからないと、結界を構成している魔法もわからないんだよなあ。

 周りにいる精霊は、力を貸してくれそうな感じでもないし。

 覗き込んだ穴の中は、真っ暗だった。

 穴が狭く光が差さないせいでよくは見えないが、石をくり抜いた以上のものでもなく、何かあるようにも思えない。

「何もないようです。何が祀ってあるのかと思ったんですが」

 そう、二人を振り向いた直後だった。

 ぐいと、肩を引かれたような気がした。

「?」

 後ろにあるのは祠だけ、何が起こっているかもわからないまま、わたしの体は突然、宙に投げ出された。



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