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第4話 放課後ゲーセン

 登録者が一人になった翌週。




 放課後。




 シルヴァは部室のパソコンを見ていた。




「これ多くないか?」




 ティナが隣から画面を覗く。




「何が?」




「コメント」




 クジャも近付いてくる。




 画面には同じような内容が並んでいた。




『ゲーセン回やってほしい』




『ゲームセンター行こう』




『ゲーセン企画見たい』




 思った以上に多い。




 もちろん大人気というほどではない。




 そもそも登録者はまだ一人だ。




 だがコメント欄には確かに書かれていた。




「本当だ」




 ティナが言う。




「多い」




 クジャも頷く。




 シルヴァは立ち上がった。




「行くか」




「軽いな」




「いつも通り」




 三人は笑った。







 学校帰り。




 駅前商店街。




 その先にあるゲームセンターへ向かう。




 シルヴァは少しだけテンションが高かった。




「来たことあるの?」




 ティナが聞く。




「見るだけなら」




「悲しい」




「悲しい」




 クジャまで追撃してくる。




 シルヴァは少しだけ悔しかった。







 ゲームセンター。




 自動ドアが開く。




 電子音。




 ゲーム音楽。




 クレーンゲーム。




 音楽ゲーム。




 格闘ゲーム。




 思った以上に賑やかだった。




「おお……」




 シルヴァの目が輝く。




「子供みたい」




 ティナが笑う。




「子供」




 クジャも言う。




 否定できなかった。







 最初に向かったのはクレーンゲームだった。




 狙うのは大きなぬいぐるみ。




 百円を投入する。




 アームが動く。




 持ち上がる。




 落ちる。




「嘘だろ」




「知ってた」




「知ってた」




 即答だった。




 シルヴァは納得できない。




「まだ一回目だから」




 だが。




 五百円後。




 結果は変わらなかった。




「難しくないか?」




「今気付いた?」




「六回目」




 クジャの言葉が刺さる。




 シルヴァは真顔になった。







 次に向かったのは音楽ゲーム。




 ティナが興味深そうに画面を見ていた。




「やる?」




 シルヴァが聞く。




「やる」




 即答だった。




 ゲームが始まる。




 流れてくるノーツ。




 軽快な音楽。




 そして。




 ティナは意外と上手かった。




「上手いな」




 シルヴァが驚く。




「上手い」




 クジャも頷く。




 ティナは少しだけ得意そうだった。




「ふふん」




 その顔が少し面白くて。




 二人は笑った。







 気付けば時間は過ぎていた。




 シルヴァはクレーンゲームに負け続け。




 ティナは音楽ゲームで盛り上がり。




 クジャはその様子を撮影していた。




「いい映像」




 クジャが言う。




「撮るな」




「撮る」




 即答だった。







 帰り際。




 三人はプリクラ機の前で立ち止まった。




「撮る?」




 シルヴァが言う。




「記念に?」




 ティナが聞く。




「あり」




 クジャが頷く。




 決まりだった。







 プリクラの中。




 三人は並ぶ。




 シルヴァは変顔。




 ティナは笑顔。




 クジャは少し困った顔。




 フラッシュが光る。




 そして完成した写真を見て。




 三人は同時に吹き出した。




「誰だこれ」




「盛れすぎ」




「別人」




 ゲームセンター中に響きそうなほど笑った。







 帰り道。




 夕焼けが街を赤く染めていた。




 三人は少しだけ歩く速度を落とす。




 シルヴァはプリクラを見つめた。




 たった一枚の写真。




 それなのに。




 今日一日のことを思い出せる気がした。




「残るんだな」




 思わずそう呟く。




「何が?」




 ティナが聞いた。




「こういうの」




 プリクラを見せる。




「昔の写真とか見ると、その時のこと思い出すだろ」




 ティナは少しだけ写真を見る。




 クジャも覗き込んだ。




「記録だから」




 クジャが言う。




 映像アーカイ部らしい答えだった。




「じゃあ捨てられないね」




 ティナが笑う。




「捨てない」




「私も」




 クジャも言った。




 夕焼けの中。




 三人は少しだけ笑った。







 その日の夜。




 動画は投稿された。




 コメントも増えた。




 再生数も少しずつ伸びた。




 そして。




 登録者は一人から二十三人になった。




 数字だけ見れば小さい。




 だけど。




 三人にとっては十分大きかった。




 映像アーカイ部の放課後は。




 少しずつ前へ進んでいた。

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