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第27話 大晦日

 十二月三十一日。




 大晦日。




 今年最後の日だった。







 午後。




 映像アーカイ部の部室。




 三人はいつものように集まっていた。




 冬休み中なのに。




 もはや当たり前だった。







「今年最後だな」




 シルヴァが言う。




 ティナも窓の外を見る。




「最後だね」




 クジャも頷く。




「最後」







 部室の中は静かだった。




 クリスマスツリーは片付けられている。




 年末らしい空気だった。







「何撮る?」




 ティナが聞く。




 シルヴァは少し考える。




「一年振り返るか」




 クジャも頷いた。




「あり」







 三人はパソコンを開く。




 春からの動画。




 夏祭り。




 海。




 花火。




 肝試し。




 文化祭。




 イルミネーション。




 クリスマス。







「結構あるな」




 シルヴァが言う。




「思ったより」




 ティナも笑う。




「多い」




 クジャも頷いた。







 動画を見返す。




 春の自分たちは少しぎこちない。




 今見ると分かる。




 まだ距離があった。







「初々しい」




 ティナが笑う。




「言うな」




 シルヴァが返す。




「事実」




 クジャが言った。







 三人は笑う。




 今なら普通に話せる。




 普通に遊べる。




 でも最初は違った。







 夕方。




 今年最後の動画を撮る。




 特別な企画ではない。




 ただ一年を振り返るだけ。




 映像アーカイ部らしい動画だった。







「一番楽しかったのは?」




 ティナが聞く。







「海」




 シルヴァが即答する。







「花火」




 ティナが答える。







「夏祭り」




 クジャが言った。







 三人とも違った。




 でも。




 全部夏だった。







「分かりやすいな」




 シルヴァが笑う。




「夏楽しかったし」




 ティナも笑う。




「楽しかった」




 クジャも頷いた。







 しばらく話す。




 来年のこと。




 やりたい企画。




 行きたい場所。




 色々。







「来年はもっと増やしたいな」




 シルヴァが言う。







「登録者?」




 ティナが聞く。







「思い出」







 一瞬だけ静かになる。




 そして。




 ティナは笑った。




「それっぽい」







 クジャも頷く。




「部活っぽい」







 三人は笑った。







 夜。




 編集。




 投稿。




 タイトル。




『今年最後の動画』







 コメント欄。




『一年お疲れ様』




『来年も楽しみにしてます』




『このチャンネル好き』




『夏祭り回好きだった』




『良いお年を!』







 登録者数。




 五百二十三人。




 ↓




 五百五十八人。







「増えたな」




 シルヴァが言う。







「年末ブースト?」




 ティナが笑う。







「かも」




 クジャも言った。







 部室を出る。




 旧校舎の廊下。




 夕焼けはもうない。




 外は夜だった。







「じゃあまた来年」




 ティナが言う。







「また来年」




 シルヴァも答える。







「また来年」




 クジャも頷いた。







 当たり前みたいな約束。




 でも。




 少しだけ特別だった。







 こうして。




 映像アーカイ部の一年目は終わる。




 そして。




 新しい年が始まろうとしていた。

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